白の血族
第一章(31)
「……これが千梨さん? 綺麗な人だね」
綺華はデスクに出しっぱなしになっていた写真を手に取り、感想を口にした。
「……ああ。でも見かけだけじゃないぜ。千梨は話も面白いし頭の回転もずば抜けて速い。囲碁や将棋で勝てないのはまだ理解できるが、運の要素が絡むトランプでも一度も勝てなかった」
「――えっ、統詞くんが将棋で負けたの?」
富士原高校の将棋部はそこそこの名門だ。オレは別に将棋部に所属しているわけじゃないが、富士原高校が団体戦に出場する際、頻繁に助っ人として駆り出される。将棋部部長と互角の力量と言えるだろう。
「……まあ、将棋はもともと知ってたようだけどな。見たことない戦法だったから戸惑ったのもあるけど、それでも太刀打ちできるレベルじゃなかった」
「すごい人なんだね……」
「それに、運が絡むトランプまで勝てないのはな……。トランプの一枚一枚を裏側から全て記憶していた、としか考えられない。それぞれのカードに細かいキズは付いてるだろうから、それを覚えていたんだろうな」
「それってもう超人だね……」
「だから惚れたんだよ」
オレにとって、千梨以上の女性はもう現れないだろう。これは絶対、と言っていい。
綺華はデスクに出しっぱなしになっていた写真を手に取り、感想を口にした。
「……ああ。でも見かけだけじゃないぜ。千梨は話も面白いし頭の回転もずば抜けて速い。囲碁や将棋で勝てないのはまだ理解できるが、運の要素が絡むトランプでも一度も勝てなかった」
「――えっ、統詞くんが将棋で負けたの?」
富士原高校の将棋部はそこそこの名門だ。オレは別に将棋部に所属しているわけじゃないが、富士原高校が団体戦に出場する際、頻繁に助っ人として駆り出される。将棋部部長と互角の力量と言えるだろう。
「……まあ、将棋はもともと知ってたようだけどな。見たことない戦法だったから戸惑ったのもあるけど、それでも太刀打ちできるレベルじゃなかった」
「すごい人なんだね……」
「それに、運が絡むトランプまで勝てないのはな……。トランプの一枚一枚を裏側から全て記憶していた、としか考えられない。それぞれのカードに細かいキズは付いてるだろうから、それを覚えていたんだろうな」
「それってもう超人だね……」
「だから惚れたんだよ」
オレにとって、千梨以上の女性はもう現れないだろう。これは絶対、と言っていい。
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