白の血族

九条一

第一章(27)

「……で、統詞くんの方は?」
「ん、ああ、地下室か? 母さんの遺影があった。オヤジが仏壇代わりに使ってたようだ」
「えっ、お母さんの? わたし、お母さんの顔、覚えてないんだ……」
「無理ないさ。オヤジは母さんの写真とか全部処分したとか言ってたからな。杏奈のおばあちゃん、ってことになる」
「杏奈の……おばあちゃん?」
「そうだ。母さんはオレが三歳、綺華が一歳の時に死んだんだ。オレもほとんど覚えちゃいない。写真を見て驚いたよ」
「驚いた? 写真を見て? なんで?」
「……見ればわかるさ。明日にでも三人で行ってみよう。オレも線香を上げたいから」
「うん、わかった」
「――さ、メシにしようぜ。今日はオレと綺華で作ろうか。杏奈の歓迎パーティーしないとな」
「あ、杏奈も作る!」
 三人で一緒に作った料理は、今までで一番楽しく、美味しかった。

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