白の血族

九条一

第一章(15)

「……まあ、杏奈についてはこのぐらいにしておこう。……手記には続きがあって、遺跡と神代家、つまり杏奈の一族だな。その二つには関連性があるらしいんだ」
「杏奈ちゃんが、古代遺跡と……?」
「杏奈は千梨からなんか聞いてないかな?」
「……よく覚えてない。ママ、ちっちゃい頃に死んじゃったから……」
「そっか。ごめんな、嫌なこと思い出させちゃって」
 ぽんぽん、と杏奈の頭を撫でた。
「――コホン。実はオレもちょっと心当たりがなくはないんだ。だから、この夏休みはまたあの遺跡に行ってみるつもりだ」
「え、またお父さんの手伝いに?」
「ああ。おそらく夏休み中あっちにいることになると思う。……で、お前はどうする?」
「わたし? それって、わたしもついてっていいの?」
「オヤジが言うには、遺跡の奥は危険らしいんだけど……。まあ、オレより力あるしな。お前なら、教えればある程度古代文字も読めるようになるかもしれない」
「あ、でも、杏奈ちゃん……。杏奈ちゃんも連れてけないかな?」
「綺華がいれば杏奈の面倒を見られるし、ちょうどいいか。よし、杏奈も連れていこう」
「ホントに! 杏奈、もうひとりぼっちなのはイヤだったんだ……。みんなと一緒にいたい」
 こんな顔をされると、もうひとりにはさせられないな……。

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