白の血族

九条一

第一章(13)

「――あ、統詞くん、どうだった?」
 二人は仲良く座ってプリンを食べていた。和気あいあいとおしゃべりをしていたようだ。
 オレは杏奈の隣の座布団に腰を下ろした。
「あー、まずは落ち着いて聞いてくれ。……杏奈はオレの娘だ」
「やっぱり! よかったー!」
 杏奈はにぱっと満面の笑みを浮かべて抱きついてくる。頬についたプリンの欠片がオレの服になすりつけられた。オレは苦笑しながら杏奈の頭を撫でてやる。
「――そ、それって、ホントだったの?! だ、だって、それじゃ統詞くんが小学生の時に……その……」
「ああ、それは違う。杏奈はこう見えて二歳だ」
「えっ!? も、もうわけがわからないんだけど……」
 そりゃそうだろう。オレだっていきなりこんなおっきな娘ができるとは思ってなかったさ。
「オヤジの書斎に手記があって、そこに書いてあったんだ。杏奈とその母親である千梨は普通の人間じゃないそうだ。まあ、ざっくり言うと、成長が早くて知能が高い。あと、もの凄く長生きで老化しないようだ」
「…………何、その超人?」
「事実なんだからしかたないだろう。ちなみに二年前の春休みに会った千梨は四百歳を超えていたらしい。見た目は二十歳そこそこだったが」
「……………」
 綺華は額に指を当てて考え込んでしまった。まあ、いきなり信じろという方がムリかもしれない。

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