転生プログラマのゴーレム王朝建国日誌~自重せずにゴーレムを量産していたら大変なことになりました~

堀籠遼ノ助

14 クラス登録

(ゴーレムが装備出来る武器に遠距離攻撃はあるか?例えば弓とか。あとは鉄砲が作れるかどうかも知っておきたい)


≪解。鉄砲はスキルが不足しているため作成不可能。弓は作成可能です≫


 鉄砲はスキル不足か。火薬の爆発を火の魔法で応用するとしたら、火の魔法習得が必要なのかもしれないな。ただ、作れたとしてもこの世界に鉄砲が無ければ目立ってしまう。それだけは避けなければ俺のメガスローライフの夢が破れる。今後作れるようになったとしても、自分の護身用として一丁だけ作っておくことにしよう。


(よし、では人形ひとがたのゴーレムに弓を装備。)


≪形状:通常型、装備へ弓を追加。命令を受け付けました。≫


 敵が近づいてきたらそのまま接近戦もやってもらうか。ってことはサムライゴーレムかな。
(前回グレータウルフを倒した時の鎧と刀を装備に追加)


≪命令を受け付けました。また、提案です。次に示す内容をサムライゴーレムとしてクラスの継承を実施致しますか?≫


【クラス名】
 サムライゴーレム
【親クラス】
 クリエイト・ゴーレム
 【形状】
 人形ひとがた
【装備品】
 ・全身鎧当世具足とうせいぐそく
 ・刀
【ベース能力】
 ・身体能力強化1(身体能力2倍)
 ・武器強化1(鋼)
【オプション能力】
 弓




 提案? と不思議に思っていると、目の前に白い文字がパッと浮かんだ。


(すげえ、拡張現実ウィンドウかよ。魔道コンパイラ先生有能すぎる。これからはコン先生と呼ぶことにしよう)


≪魔道コンパイラへの命名:コン。受け付けました。≫


 おお、そんなつもりじゃなかったけど。まあ、呼びやすくなっていいだろう。
 ちなみに継承というのは、機能の拡張のようなものだ。クリエイト・ゴーレムの基本機能を継承しつつ、サムライゴーレムクラスへ拡張する。
 つまり、これからはサムライゴーレムと伝えれば、『ほら、あの大きな狼を倒した時のやつだよ。狼の名前? なんて言うんだったかな……グレータおおかみ? なんか違うな……。 とにかくあれを倒したやつだってば!』などというめんどうな指示をしなくともよくなるのだ。


(ありがとうコン先生! それで、クラスの呼び出しかたは?)


≪解。クリエイト・ゴーレムの代わりにクリエイト・サムライゴーレムと唱える、若しくは念じることで発動します≫


あー、いつも最後にクリエイト・ゴーレムと念じていた所でクリエイト・サムライゴーレムと念じればいいわけだ。


(ついでに狼ゴーレムと灯台ゴーレムもクラス継承しといてくれ)


≪命令受領。サムライゴーレム、狼ゴーレム、灯台ゴーレムをクリエイト・ゴーレムからクラス継承致しました≫


(うむ。これは便利だ。特に戦闘中等でタイムリーな対応を求められるときは重宝するだろう。
 さて、ゴーレムの最大作成数は確か3体だったよな。前回はサムライゴーレムを生命力を使って作成したからどのくらい作れるか分からない。もしかしたら1体も作れないなんてオチは無いよな。んーありえる。3体作成したのは狼ゴーレムだ。サムライゴーレムとは消費量が違うかもしれない。……とりあえず最大数で作成してみよう)


(コンさん、サムライゴーレムの作成数は最大数で。動作条件は柵の内側からゴブリンを迎撃、3メートル以内に敵が近づいてきたら刀で攻撃。柵が破られた箇所があれば優先だ)


≪作成数最大、柵の内側からから弓で迎撃、3メートル以内で刀へ武器切り替え、柵破壊箇所守護優先、命令を受け付けました≫


(よし、ではーークリエイト・サムライゴーレム)


compileコンパイル. クリエイト・サムライゴーレム、実行≫


ドン! ゴゴゴゴ……


「うわ! 地震か?!」「危ないぞ! 全員伏せろ!」


凄まじい振動が周囲を揺るがし、村民達がざわめく。


(……あれ?おかしいな。なんかもっと控えめに『ズズズ……』って感じだったと思ったんだけど。なんだかすごーく嫌な予感がする……)


「おお、しもた。いい忘れておった」


(……何でしょうか鈴音さん)


「主の魔法量はこの半年間で爆発的にあがっとる。造りすぎに気をつけたほうが良いぞ。あまり造りすぎて目立ってしまうと、主の目指しているめがすろーらいふとやらに影響するだろうからのう」


 鈴音がにっこりとほほ笑む。いや、にやりと。


(コ、コン先生! サムライゴーレムの作成数はおいくつでしょうか?!)


 ≪解。84体です≫


 つくりすぎだ!!!!!


 土のなかから青白い瞳を光らせて次々と生まれるサムライゴーレム達。


 俺は村民さん達が腰を抜かして立てなくなっている姿を眺めながら、速くもメガスローライフの夢ががらがらと音を立てて崩れていくのを感じていた。



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