魔導学園での下剋上 

味噌ラーメン

英国オクスフォード学院編 #19 心の在処

舞姫「それにしても翼君も剣を使うんですね?」

翼「まあな~」

暁「楽しみだなあ~ランキング戦は本気じゃなかったんだね」

天理「当然よ、本気なら1位は翼だもの」

なぜお前が自慢気なんだ

雅「個人的にどんなものなのか興味あるわね」

翼「なあ、一つ言いたいんだが、、」

そう、どうしてなんだ

翼「なんで皆いるの!?」

全員「「面白そうだから!!」」

翼「仲いいなお前ら、、」

いつからこんなに仲良くなったんだ

翼「まあいい、着いたぞ」

そう、俺たちが向かったのは麻上道場、輝夜さんの実家で俺と天理は子供のころここの生徒だった

輝夜「来たね、、全員で来たの?」

翼「ああ、なんかついてきた」

輝夜さんも苦笑いである

輝夜「じゃあ、早速始めようか?みんなは危ないから離れていてね」

天理「翼、気を付けてね?」

翼「そんな不安そうにすんなよ、俺は大丈夫だから」

不安そうな天理の頭を撫で道場の中心に向かう

輝夜「じゃあ、お父さん呼んでくるから少しまってね?」

翼「先生もくるのか?」

輝夜「うん、今回の事話したらお父さんも立ち会うって」

まさか、こんな風に会うことになるとは

舞姫「会長のお父様?」

天理「ええ、ここの師範であり私と翼の先生なの」

暁「二人の師範なんてきっと強いんだね」

あの人は強さの次元が違うからな

「久しいな、翼よ」

そこにいたのは、この道場の師範であり輝夜さのお父さん

翼「お久ぶりです、先生」

源十郎「ああ、大きくなったな」

麻上源十郎、この国でも最強の組織であるダークソサエティの三代目党首であった男

源十郎「翼、いいんだな?本当に」

翼「はい、俺はこの戦い負けるわけにはいきません、それにこれは乗り越えなくてはいけないことだと思うんで」

ふむ、と少し考えこちらを射抜くような視線をまっすぐに受け止める

源十郎「お前がその気で決めたことなら俺は何も言わん弟子を信じるののも師範の務めだしっかりとやりなさい」

翼「はい!」

輝夜「それじゃあ始めるね?」

翼「ああ、始めてくれ」

そうだ、俺はあの時とは違うんだ

輝夜「行きます」

その時、空間が裂けその中から赤雷を纏いながら一振りの刀が現れる

暁「あの刀は!?」

舞姫「凄い魔力です!」

雅「なんなのあれは!?」

天理「妖刀村正、、、」

出現した刀から発せられる魔力の密度と激しさに一同は驚く

暁「そうか、妖刀村正ここにあったのか!?」

舞姫「妖刀って、大丈夫なんですか?」

源十郎「ああ、制御できれば問題はない」

天理「先生、お久しぶりです」

源十郎「ああ、久しいな天理」

天理にとっても源十郎は師匠である

源十郎「妖刀村正、翼に再びあの刀を持たせる決意をさせたのはお前か天理?」

天理「いえ、きっかけはそうでも、決意をしたのは翼自身です」

そう、あの刀は翼が過去に制御に失敗したものでもある

舞姫「あの、過去に何があったんです?」

天理「それは、、」

源十郎「話しても問題あるまい、皆は翼の仲間なのだろう?」

天理は唇を噛み、ゆっくりと話し始める

天理「十年前、翼は代々鳴神家が受け継ぐあの村正を受け継いだ時に制御に失敗したの、制御できればあの刀は使用者にとてつもない力をもたらす、でも失敗したときのリバウンド、つまり反動は想像を絶するものだったわ」

舞姫「そのリバウンドって?」

暁「妖刀のリバウンドといえば、精神を喰われるのさ」

雅「精神を喰われる?」

源十郎「ほう、宮本の息子よく知っているな?」

感心したように言う源十郎

暁「ええ、僕はそんな人間を多く見てきた、だからその恐ろしさは知っているつもりです」

舞姫「精神を喰われるとどうなるんですか?」

天理「心を無くし、ただの殺人マシーンとなる」

舞姫は息を飲む

天理「理性を無くし感情を無くし、目の前の人を斬って斬って斬って」

舞姫「そんな、、、でも翼君は」

源十郎「そう、翼は精神を一度喰われている、そしてあの刀を輝夜の魔法で封印し喰いつくされる前に異空間に閉じ込め精神を守ったんだ」

天理「あの時の翼は、心を無くして誰に対しても反応を示さなかった、、、」

源十郎「それに翼の魔力の大半は村正に封じ込められている、今の翼の力は当時の三分の一程度だろうな」

暁「そんなことが、、、、」

源十郎「ああ、輝夜と天理の必死な看病と心のリハビリを行いようやく今の状態まで持ち直したんだ、だがあの刀にもう一度触れ今度失敗すれば今度こそ、、」

天理「大丈夫よ、翼は必死に欠けた心を拾い集めて今の翼がいるもの私は今度こそ制御できると信じているわ」

がんばって、負けないで、、、つーくん、、、、





輝夜「じゃあ、行くよつー君」

翼「ああ、始めよう」

異空間からそいつは出てくる

翼「よぉ、十年ぶりだな」

妖刀村正、俺の刀今度こそ必ず制御してやる!!

翼「妖刀村正、、、」

そっと、村正を握る

翼「あ、、、、、、、、、ぁ」

暴風が吹き荒れているーーーーーーー

触れた途端に、心が3割欠けたーーー

俺は、、、、俺って?------

何もわからないーーーーーーー

こんな暴風の中、どうやって進めばいい?------

痛い、怖い、どうして?------

心が挫けてしまいそうだーーーーーーー

倒れてしまえば楽になれるーーーーーー

そうだ、どうして頑張るんだ?------

だけど、何かを忘れている気がするーーーーー

その時、一人の女の子が泣いている夢を見たーーーー

おれは、誰だったかなーーーーーー

大切な思い出のはずなのにーーーーー

そうだ、あれは俺を繋ぎ止めていてくれた女の子ーーーーー

泣き虫で、意地っ張りで、怖がりなのにーーーーー

それでも、俺の為に強くあろうとしてくれたーーーー

大切なーーーー

その時、俺の目の前に10年前の俺がいたーーー

そう、知っているーーー

これは俺が無くしてしまったものだーーーーー

「ねえ、君はどうなりたい?」

「俺は、大切な人たちを守りたい」

ああ、そうさその為の力だ

「なら、この先に進まなきゃ」

そうだな、こんなところで村正お前の力に負けるわけにはいかないもんな

「なあ、お前はどうなりたいんだ?」

「僕?僕はね、輝夜おねえちゃんと天理ちゃん、あとみんなを守れる英雄になりたいんだ!!」

そうだったな、これは俺が無くした心だったんだろう

「そうか、なあ俺もなれるかな?世界の人々を守れる英雄でなくても目の前の大切な人たちを守れる英雄に」

「なれるよ!だって君は僕で僕は君だもん!」

そうか、俺は村正に負けたんじゃなくて自分の心に自分自身に負けていたんだな、、、

「ありがとう、これから俺と一緒に戦ってくれるか?」

「うん、僕の心を一緒に連れて行って君の無くした心はここにあるよ」

迷いはない、ここを出れば俺は俺でなくなるかもしれない、それでも渾身の力でこの暴風を踏破するーーー





輝夜「つー君!!」

村正を掴んだ瞬間から浸食が始まった

輝夜「負けないで!!自分の強さを信じて!!」

天理「つーくん!!!」

天理が駆け寄り手を握る

輝夜「天理ちゃん、、」

天理「輝夜ちゃん」

握る手に力が籠る

天理「二人でつーくんを守ろうって約束したもんね」

輝夜「うん、最後まで一緒だよね三人で」

そう、約束したもの、、、





源十郎「まずいな、、、」

雅「まずいとは?」

暁「時間がかかりすぎている」

源十郎「ああ、時間がかかればそれだけ妖刀に喰われる可能性が上がる」

舞姫「そんな、、」

翼が村正の制御を始めて既に1時間、、、

源十郎「翼、、お前はここまでなのか?」

その時、魔力の暴風が吹きやんだ





魔力が収まり、翼の手には村正が握られていた

天理「つーくん?」

輝夜「まって、天理ちゃん」

まだわからない、彼がいまどっちなのか

その時、ゆっくりと腕を上げる翼

天理「つー君、、、」

源十郎「いかん!!」

そして、刀を肩に掛ける

翼「ふう、ただいま」

天理「お帰り、、な、さい、、」

輝夜も言葉にならず、涙を流す

翼「二人のおかげで帰ってこれたありがとう」

天理「うん、うん!心配したよぉ!!」

輝夜「まったく、いつまでも手がかかるんだから、、、」

俺は、この景色を守りたかったんだ、、ただいま、、、

「魔導学園での下剋上 」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く