異世界でバイオハザード
ヤタガラスへの誘い
「それで、どこに向かってるんですか?」
ルピーリエがふと思い出したかのように僕に訪ねてくる。
「人間の国だよ。」
「人間の国!?そんな…私たち、殺されちゃいますよ!!」
ルピーリエには僕のことを魔族と言っているためどうやら人間に敵対されると思い込んでいるようだ。
「えっと…、そうだね…。」
どうする…。ここで僕が人間だと言うべきなのか…。
ルピーリエの顔を見るとまるで小動物のような顔でこちらを心配そうに見ている。可愛らしさを残しつつ美しさを兼ね備えているその顔に思わず顔を背けてしまった。
クソっ…僕はどうしてしまったんだ…。今まで研究一本に情熱、時間、努力を費やしてきたというのに、たった一人の女の子に狂わされるなんて…滑稽だ!…僕は何も変わってなどいない、そうこれまでもこれからも同じだ!
「ルピーリエ…、聞いてくれ…。」
ルピーリエは不思議そうな顔して首を傾けながら僕を見る。その視線が、その表情が、その愛しさが僕の胸を苦しめる。
こんな一瞬で一度決めたことを曲げるのか!?いや、違う!僕は彼女に言わなければ…一生彼女の目を気にして生きなければいけない!!僕の信念を曲げることなどあってはならない!!言え!言うんだ!ここで…、僕が…人間だと!!
「じ、実は…。」
「ようやく見つけたぜ、研究者くんよ〜。」
「だ、誰だ!?」
後ろには木の上に腰掛けている男らしき人物がいた。紫色の羽が刺繍された黒いマントに身を包み、フードを奥深く被った男で正体がわからない。
「俺はイービル、ヤタガラスの一員…と言えばわかるか?」
口元はかろうじて見える。めちゃくちゃドヤ顔の笑みをしていることだけはわかった。
「ヤタガラス…?そういや冒険者が言っていたっけか…。」
「何ですか?そのやたがらす…って?」
ルピーリエが可愛らしい顔でこちらへと顔を傾ける。その姿だけで愛おしい。
なぜ、今邪魔されるんだ?あと少しで言えたのに…?クソっ…何であれコイツは許さない…。
「…ヤタガラスは確か…闇組織の中でも最悪最恐と言われる組織でその生業は強盗、強姦、殺人、薬物売買などなどあげればキリがない。この組織の特徴はメンバー全員が単体で街一つ壊滅できるくらいの実力者で全員が揃えば止められる者はいないと言われていることだ。」
「えぇ!?そんな組織が…に、逃げましょう!!殺されちゃいますよ!!急いで逃げましょう、ヴァンさん!!」
「まあまあ…そう言わずに話を聞いてくれよ嬢ちゃん。」
男はニヤリと笑いながらルピーリエを嘲笑う。なぜか僕はルピーリエが笑われたことに怒りを感じていた。
「俺はお前…ヴァンって言うのか?ヴァン、お前を勧誘しに来たんだ。」
「僕を…ですか?どうして僕が…?そもそもなぜ僕のことを知っているのですか?」
男はその言葉を待っていたかのように大きく笑い、マントの中から何やらバスケットボールくらいの球状のモノを投げてきた。
「こ、これは…!!」
「ひえぇぇぇぇぇぇ!!ヴァンさん!!」
そこにあるのはかつて僕が作り出したZ−4号のプロトバーサークの首だった。冒険者《朱雀》を倒してもらった記憶が懐かしい。
「…なるほど…まさかZ−4号から僕を見つけるとは…信じられません。」
「お仲間ですか…ヴァンさん?」
「あぁ…これはかつて僕が作り上げたB.F.Wの一体であるZ−4号だ。共食いの影響で突然変異し、のちのバーサークの始祖となったプロトバーサークだ。」
「ぷろと…?びーえふ?…よくわからないですけど?」
「…まあ、仲間…と言うことになるかな…。」
しかしなぜZ−4号から僕までたどり着いたんだ。この男…危険だ…。
「で、どうして僕をヤタガラスに引き入ろうとしてるんですか?僕は所詮ただの一般人ですよ。」
「ハハハハハハハハハ!!」
突然イービルは笑い出す。まるで全てお見通しとでもいうかのように…。
「おいおい…俺にそんなこと言ってくれるなよ…。俺はヤタガラスの中で情報員の役割を任せられているんだ。そんな俺に嘘はよくないな〜。もうお前の実験室も発見している。そして…お前がこの化け物たちを作ったこともな!!」
「なっ!!」
「えぇぇ!!」
ルピーリエが横で大きく口を開けて驚く。
くそっ…ルピーリエに知られてしまった…。今までずっと言えずじまいだったのに…。こんな時に…、こいつ…絶対に許さない!イービルとか言ってたな…こいつだけは死ぬまで追いかけてやる、首洗って待っとけよ!
「ま、まさか…そうだろうなとは思ってましたが本当にそうだったなんて…。」
ルピーリエは驚愕のこと口にする。
「え!?…き、気付いていたの…?」
ルピーリエはゆっくりと振り返り、そのつぶらな瞳を僕に向けてくる。全然関係のないこんな時でも僕はルピーリエに心を動かされる。
「だって…毎日毎日夜遅くに研究しながら独り言で言ってましたよ…。」
終わった〜…。いや、マジで俺運悪すぎない!?流石にもう無理だよ…。何回目だよこんなの…。これは言い訳できないしな〜。確かに独り言多いって自分でも感じてたけどそんな無意識でも言ってるなんて…。あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、……本当にこの男確実に◯す!!
「ん?なんか寒気がするな…。」
イービルがなんか呟いていたけどなんて言ってたんだ?どうせこの俺を嘲笑っているんだろ…。うん、やっぱりこの男は◯す!!
「す、すまない…。君の言う通り、僕は…実は…生物を使って有機生物兵器を作っているんだ…。」
「ゆ、ゆうき??何か分かりませんが初めからどんなことがあってもヴァンさんについて行きますから!!」
「る、ルピーリエ…。ありがとう…。」
本当にルピーリエは素晴らしい。こんな僕に真実を聞いてもついてきてくれるなんて…。
「おいおい…俺を忘れてるんじゃねえだろうな!ヴァンよぉ〜。」
ちっ…!コイツはいつもいつもタイミングの悪いときに……。
「確か…あなた方の組織、ヤタガラスに入団するか、しないか…でしたね…。」
「ヴァンさん、だめですよ!!悪い組織なんかに入ったら…何をさせられるか分かりませんよ!!」
ルピーリエはまたもやその輝かしいサファイアのような目で僕を見る。その目には若干の水分を含んでいる。
本当に僕のことを心配してくれているんだな…。
「さっきから…嬢ちゃん、ちょっと喋り過ぎだせ…………殺すか?」
「ひっ………!!」
とてつもない殺気だ…。体の芯まで凍りそうな雰囲気が漂う。こんな殺気を出すとは……やはりヤタガラスの一員…敵にすると危険だ…。しかし、まぁ…こんな殺気を向けられてルビーリエを殺すだと…?
ふざけるなよ!!コイツ!どこまでも腹立たしいヤツだ!!
「ルピーリエを殺す…だって?そんなことをすれば…ここのB.F.W全員で貴方を倒させてもらいますよ?」
「……ふっ…怖い怖い…。で?どうするんだ…?」
「ヴァンさん…ダメです…こんな組織に入ってしまったら……」
やっぱりこんな悪の組織なんかに入ることを良しとしない善人さ…優しさの塊だな…。
そうだな…考えれば考えるほど結論は決まっている!
「いや…入るに決まってるでしょ!」
「え?」
ルピーリエが口を開けて問う。
「え?」
「「……………。」」
ルピーリエがふと思い出したかのように僕に訪ねてくる。
「人間の国だよ。」
「人間の国!?そんな…私たち、殺されちゃいますよ!!」
ルピーリエには僕のことを魔族と言っているためどうやら人間に敵対されると思い込んでいるようだ。
「えっと…、そうだね…。」
どうする…。ここで僕が人間だと言うべきなのか…。
ルピーリエの顔を見るとまるで小動物のような顔でこちらを心配そうに見ている。可愛らしさを残しつつ美しさを兼ね備えているその顔に思わず顔を背けてしまった。
クソっ…僕はどうしてしまったんだ…。今まで研究一本に情熱、時間、努力を費やしてきたというのに、たった一人の女の子に狂わされるなんて…滑稽だ!…僕は何も変わってなどいない、そうこれまでもこれからも同じだ!
「ルピーリエ…、聞いてくれ…。」
ルピーリエは不思議そうな顔して首を傾けながら僕を見る。その視線が、その表情が、その愛しさが僕の胸を苦しめる。
こんな一瞬で一度決めたことを曲げるのか!?いや、違う!僕は彼女に言わなければ…一生彼女の目を気にして生きなければいけない!!僕の信念を曲げることなどあってはならない!!言え!言うんだ!ここで…、僕が…人間だと!!
「じ、実は…。」
「ようやく見つけたぜ、研究者くんよ〜。」
「だ、誰だ!?」
後ろには木の上に腰掛けている男らしき人物がいた。紫色の羽が刺繍された黒いマントに身を包み、フードを奥深く被った男で正体がわからない。
「俺はイービル、ヤタガラスの一員…と言えばわかるか?」
口元はかろうじて見える。めちゃくちゃドヤ顔の笑みをしていることだけはわかった。
「ヤタガラス…?そういや冒険者が言っていたっけか…。」
「何ですか?そのやたがらす…って?」
ルピーリエが可愛らしい顔でこちらへと顔を傾ける。その姿だけで愛おしい。
なぜ、今邪魔されるんだ?あと少しで言えたのに…?クソっ…何であれコイツは許さない…。
「…ヤタガラスは確か…闇組織の中でも最悪最恐と言われる組織でその生業は強盗、強姦、殺人、薬物売買などなどあげればキリがない。この組織の特徴はメンバー全員が単体で街一つ壊滅できるくらいの実力者で全員が揃えば止められる者はいないと言われていることだ。」
「えぇ!?そんな組織が…に、逃げましょう!!殺されちゃいますよ!!急いで逃げましょう、ヴァンさん!!」
「まあまあ…そう言わずに話を聞いてくれよ嬢ちゃん。」
男はニヤリと笑いながらルピーリエを嘲笑う。なぜか僕はルピーリエが笑われたことに怒りを感じていた。
「俺はお前…ヴァンって言うのか?ヴァン、お前を勧誘しに来たんだ。」
「僕を…ですか?どうして僕が…?そもそもなぜ僕のことを知っているのですか?」
男はその言葉を待っていたかのように大きく笑い、マントの中から何やらバスケットボールくらいの球状のモノを投げてきた。
「こ、これは…!!」
「ひえぇぇぇぇぇぇ!!ヴァンさん!!」
そこにあるのはかつて僕が作り出したZ−4号のプロトバーサークの首だった。冒険者《朱雀》を倒してもらった記憶が懐かしい。
「…なるほど…まさかZ−4号から僕を見つけるとは…信じられません。」
「お仲間ですか…ヴァンさん?」
「あぁ…これはかつて僕が作り上げたB.F.Wの一体であるZ−4号だ。共食いの影響で突然変異し、のちのバーサークの始祖となったプロトバーサークだ。」
「ぷろと…?びーえふ?…よくわからないですけど?」
「…まあ、仲間…と言うことになるかな…。」
しかしなぜZ−4号から僕までたどり着いたんだ。この男…危険だ…。
「で、どうして僕をヤタガラスに引き入ろうとしてるんですか?僕は所詮ただの一般人ですよ。」
「ハハハハハハハハハ!!」
突然イービルは笑い出す。まるで全てお見通しとでもいうかのように…。
「おいおい…俺にそんなこと言ってくれるなよ…。俺はヤタガラスの中で情報員の役割を任せられているんだ。そんな俺に嘘はよくないな〜。もうお前の実験室も発見している。そして…お前がこの化け物たちを作ったこともな!!」
「なっ!!」
「えぇぇ!!」
ルピーリエが横で大きく口を開けて驚く。
くそっ…ルピーリエに知られてしまった…。今までずっと言えずじまいだったのに…。こんな時に…、こいつ…絶対に許さない!イービルとか言ってたな…こいつだけは死ぬまで追いかけてやる、首洗って待っとけよ!
「ま、まさか…そうだろうなとは思ってましたが本当にそうだったなんて…。」
ルピーリエは驚愕のこと口にする。
「え!?…き、気付いていたの…?」
ルピーリエはゆっくりと振り返り、そのつぶらな瞳を僕に向けてくる。全然関係のないこんな時でも僕はルピーリエに心を動かされる。
「だって…毎日毎日夜遅くに研究しながら独り言で言ってましたよ…。」
終わった〜…。いや、マジで俺運悪すぎない!?流石にもう無理だよ…。何回目だよこんなの…。これは言い訳できないしな〜。確かに独り言多いって自分でも感じてたけどそんな無意識でも言ってるなんて…。あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、……本当にこの男確実に◯す!!
「ん?なんか寒気がするな…。」
イービルがなんか呟いていたけどなんて言ってたんだ?どうせこの俺を嘲笑っているんだろ…。うん、やっぱりこの男は◯す!!
「す、すまない…。君の言う通り、僕は…実は…生物を使って有機生物兵器を作っているんだ…。」
「ゆ、ゆうき??何か分かりませんが初めからどんなことがあってもヴァンさんについて行きますから!!」
「る、ルピーリエ…。ありがとう…。」
本当にルピーリエは素晴らしい。こんな僕に真実を聞いてもついてきてくれるなんて…。
「おいおい…俺を忘れてるんじゃねえだろうな!ヴァンよぉ〜。」
ちっ…!コイツはいつもいつもタイミングの悪いときに……。
「確か…あなた方の組織、ヤタガラスに入団するか、しないか…でしたね…。」
「ヴァンさん、だめですよ!!悪い組織なんかに入ったら…何をさせられるか分かりませんよ!!」
ルピーリエはまたもやその輝かしいサファイアのような目で僕を見る。その目には若干の水分を含んでいる。
本当に僕のことを心配してくれているんだな…。
「さっきから…嬢ちゃん、ちょっと喋り過ぎだせ…………殺すか?」
「ひっ………!!」
とてつもない殺気だ…。体の芯まで凍りそうな雰囲気が漂う。こんな殺気を出すとは……やはりヤタガラスの一員…敵にすると危険だ…。しかし、まぁ…こんな殺気を向けられてルビーリエを殺すだと…?
ふざけるなよ!!コイツ!どこまでも腹立たしいヤツだ!!
「ルピーリエを殺す…だって?そんなことをすれば…ここのB.F.W全員で貴方を倒させてもらいますよ?」
「……ふっ…怖い怖い…。で?どうするんだ…?」
「ヴァンさん…ダメです…こんな組織に入ってしまったら……」
やっぱりこんな悪の組織なんかに入ることを良しとしない善人さ…優しさの塊だな…。
そうだな…考えれば考えるほど結論は決まっている!
「いや…入るに決まってるでしょ!」
「え?」
ルピーリエが口を開けて問う。
「え?」
「「……………。」」
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