異世界でバイオハザード

チーズフォンデュ

求めていたモノ

「へ〜、そうなんですか!!少しはヴァンさんのこと分かった気がします。」

机を返して前に座るルピーリエが満面の笑みで話返してくる。

とりあえず今人間とバレるわけにもいかず、適当な魔族で村を離れて旅をしているという設定にしておいた。B.F.Wはそこで出会った旅の仲間たちと言うことにしている…がこれはすぐにバレるだろう。

なぜならB.F.Wは話すことはできないためだ。B.F.Wはそこまでの知能をもっていないため、言語能力は皆無なのだ。しかしこれからも話すことまで出来るB.F.Wは作ることはしない。言語能力までもったB.F.Wはいずれ意思が芽生えてしまうかもしれないからだ。僕の考えに相違えてしまえばそこで僕はB.F.Wにいずれ殺されてしまう。そうならないためこの先、彼らに知力を上げることはしない。  

「じゃあ、そろそろ僕のことも分かったようですし彼らの衣服をお願いしてもいいですか?」

するとルピーリエは慌てた様子で否定してきた。

「え、いや、まだまだヴァンさんのことわかってないですよ!!」

この人…いつまでおしゃべりを続けるんだ…。すでに3時間は話してるんじゃないだろうか?だいたい途中でどうでもいい自分の話をし始めたときは退屈だった。こんなことをいつまでするんだよ…。あぁ…研究したいな〜。

「わ、わかりましたよ!!作りますよ!!……でもその代わりにまたお話しに来てください…。」

どうやら、顔に出てしまったようだ。

しかしこれで服を作ってもらえることになったけど…、また来てくれだって?それはまた大切な時間を浪費しろと言うことだろうか?それは絶対に嫌だ!もうこんなことするくらいなら大人しくB.F.Wの研究でもしよう…。

「ハハハ…考えておきます…。」

「ホントですか!?待ってますからね!」




そうこうして僕はルピーリエの家から出た。

外はすでに日が暮れている。

「う〜〜ん!!はぁ…疲れた。さっさと家に帰って研究でもしよ…。」

僕がB.F.Wたちと歩いていると目の前にこの魔族をまとめる族長のシャァクスさんとその他の魔人たちを引き連れてやって来た。

「ど、どうしたんですか?」

「ふん、知らばくれたって無駄だ。」

な、何!?もう人間だとバレたのか!?や、ヤバい…。まだ服も手に入れていないのに…。

「お前が…怪しげな研究をしていることはわかっている!!」

「な、なんの証拠があって、そんなことを…?」

「貴様に貸した家を常に監視をさせていた結果…怪しげな金属でできた物や謎の透明な瓶たち、そして…魔物が大量にバラバラにされていた。あれはなんだ!?」

あ〜、あれか〜〜…。マジ終わったー。もう物的証拠完璧にあるしもう言い逃れはできないじゃん…。 

どうする!?このままじゃあシャァクスさんに殺されそうだし、B.F.Wで殲滅さそるってのもシャァクスさんたち魔人の力があまりわからない状態で戦闘になるのは危険だ。

「……はぁ…、せっかくここまでしたのに衣服を手に入れることに失敗とは…。もう、やめだ…。」

「何を言っている?」

シャァクスさんは僕が自暴自棄になり、壊れたと思っているかも知れないがそうではない。

「仕方がない…。Z−12号、ここにいる奴らを殲滅しろ。」

Z−12号は《朱雀》と呼ばれるパーティーの冒険者の一人でアルと呼ばれていた女だ。ステータスはこれで

Z−12号

種族 バーサーク
年齢 ???
体力 4890
魔力 0
筋力 4637
耐力 4072
速力 429
知力 60

と他のバーサークより速度が少し高い能力だ。まあ僕の後ろにはB.F.Wの中で最速のイージスであるZ−9号がいるためZ−12号程度のB.F.Wは失っても痛くも痒くもない。この場はZ−12号に任せて、僕たちは研究道具を置いている宿に戻るとしよう。

「待てっ!逃げるつもりか!?」

「ふっ…、あなた方にはこのZ−12号を止められるんですか?聞いたところによるとオークすら倒すのに苦戦しているようなあなた方にこのバケモノを止められますかね?では…、さよなら…。」

僕の言葉の後にZ−12号は魔人たちに襲いかかり、すでに三人殺している。意外と脆いものだな。魔人と言うからにはそれなりにステータスが高いかと思っていたが聞いていた通り、ルネート族は人間並みのステータスしかないようだ。

「ヴァン!!」

シャァクスさんが大きな声で呼び止めてくる。思わず振り返ってみると…

「どんなに逃げたって無駄だ。俺は地べたに這いずり回ってでも絶対にお前を殺す…。覚悟しておけ…。」

「ハハ、では首を洗って待っていることにしましょう。では今度こそ、さよなら。」





目の前には粉々に破壊されたかつては家だったモノがあった。研究道具はすでにB.F.Wに持してあるし、ここからおさらばするとしよう。

「待ってください!!」

この声は…。
後ろを振り返るとやはりそこにはルピーリエがいた。息は上がっているし、可愛らしいワンピースは汗を染み込み、汚れが付いている。ここまで急いで走ってきたのだろう。そしてその最中に転んだ結果、白いワンピースは泥だらけだ。

「ルピーリエ…、どうしたんですか?そんなに汚れて、しかも膝に怪我してますよ。早く治療した方がいい。」

「…。」

ルピーリエは何も話返してこない。そりゃそうか。なんたって僕はB.F.Wを使ってこの魔族を殲滅しろと命令した。僕があの場から立ち去るまでにすでに十人は殺していたし、もしかしたらその後にライたち子供まで殺しているかも知れない。その主犯格といってもいい僕を許すわけがないのだ。

もちろん、ライたちには感謝しているし、死んでほしくはない。だがそれでも僕は自分の研究をこんなところでやめるなんてごめんだ。それならば僕は迷うことなくライたちを切り捨てる。最低と言われようと構わない。実際、最低なんかじゃ済まされないことをしているのだから…。だからこそ、僕はこの研究をやり続けなければならない。今まで犠牲になってきた全ての者たちのためにも。

ルピーリエの顔を見ると彼女は泣きそうな顔を必死に耐えている。僕はなぜかそんな彼女を見て綺麗だと思った。夕日に照らされ、青い髪が風で揺れるたびにその長い髪に釘づけになる。思わず、見とれてしまった。こんな状況だというのに何をしてるんだ僕は…。

「あ、あの…。」

ルピーリエは覚悟を決めて声を出した。
何を言われるかは分かっている。どうしてこんなことをするのか?どうして仲間を殺したのか?それか誹謗中傷だ。その言葉を受け止めなければいけないのはZ−ウイルスを作った時から覚悟していたことだ。

「…わ、私も旅に連れて行ってください!!」

「…………え?……あれ?君、僕がやったこと分かってるよね!?僕は君の仲間を大量に殺すようにB.F.Wに命令したんだ!今もZ−12号は君の仲間を殺しているかも知れないし、もしかしたらライたちを殺しているかも知れない!!」

「え?びーえふ?ぜっとじゅう?よくわかりませんけどヴァンさんがルネート族のみんなを殺すようにしたのはもちろん知ってます。それでも私はヴァンさんと一緒に旅をしたいんです。」

「…どうしてなんだ…。どうして僕に付いていこうとするんだ…。」

「だって…そんな泣きそうな顔してるヴァンさんを見て、見て見ぬフリなんてできませんよ。…ライくんたちを殺しているかも知れないのは確かに考えたくはないことです。でもヴァンくんが背負ってる辛さの少しは私にも背負わせてください。じゃないと…いつか壊れちゃいますよ…。」

僕は平気なフリをして実際は命を奪うたびに少しずつ命の重みを感じていたのだ。そして僕が必要としていたのはこの心を理解して、そして支えてくれる人を求めていた…。

ザク、ザク、ザク…

ルピーリエは僕の前まで来てその小さな身体で僕を包みこむ。

「大丈夫。私も付いていますよ。これからは私がヴァンさんを守ります…。」

「う゛、う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!」

「大丈夫、大丈夫、私がいるよ。大丈夫、大丈夫、大丈夫……。」






それから少しして僕は泣き止んだ。精神年齢は立派なおっさんだというになんて情けない。しかも女の子前で泣くなんて、一生の恥だ。でもなぜか清々しい気持ちでいっぱいだ。
隣を見ればルピーリエが笑ってこちらを見てくる。彼女を見て僕はなんて弱い男なんだと感じる。年下の女の子に慰めてもらい、ルピーリエが横にいるだけで心が満たされていく。

「さ、行きましょうヴァンさん!!」

「…あぁ。行こう…俺たちの旅はこれからだ!!」

僕の手にはルピーリエの暖かい手を握り、次の場所へと歩いていく…。























「って、完じゃないから!!」

「誰に向かって話しかけてるんですか?」

「いや 、こっちの話…。」





まだ続くよ…
















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