異世界でバイオハザード

チーズフォンデュ

スローライフの始まり?

緑の風景から少しずつ見えてくる集落の街並みにようやくヴァンは声を出した。

「着いたぁ〜!
疲れたなー、それにしてもあの女冒険者すぐに着くとか言ってた割に時間がかかったな…。」

ヴァンが長年住んでいた研究所の洞穴に来た女冒険者を拷問し、情報を聞き出したのだが女は最後の抵抗に近くの魔族の集落について1日で着くと言っていたが実際は5日もかかってしまったのだ。

「ま、過ぎたことは忘れるとして…ここが魔族の集落か…。」

目に映るのはほとんど木製で出来た建物だった。建物と言っても実際は住宅で見る限りは商人も武器屋もおらず、ここは売り買いをしていないみたいだ。

「貴様ら!!何者だ!!」

いつの間にかヴァンはここの集落の魔族たちに囲まれていた。正面には木に登ってこちらを見下げてる者たちが、後ろにはかなりの距離をとって見つからないようにつけていたのだろう。

「すいません…。僕はヴァンと申します。突然の訪問をお許しください。仲間たちと共に旅に出ていたところにちょうどこの集落を見つけたものですから、少し気になったもので…。」

ヴァンはしれっと嘘をつく。自分たちは旅をしている魔族としてこの集落に入ろうとしていた。

「貴様ら、まさかとは思うが人間ではなかろうな。」

(ふーむ、どうやらこの男がこの集落の責任者か。金色の髪に2本の角が額から生えてるところを見ると本物の魔人のようだな。)

「僕は確かに分かりづらいですが後ろの彼らは顕著でしょう。」

「確かにその大きな巨体は巨人族に近いな。それにその半透明の皮膚をした者は特に分かりやすい。……いいだろう、では貴様らはこれからどうするつもりだ?」

「少し、この集落の観光でもしてまた別の所へと旅をするつもりです。」

魔人は少し迷い、近くの魔人とヴァンに聞こえない声で話し合い、5分後には意向が決まったようで、ヴァンのもとへ戻ってくる。

「せっかく来てもらったのだ、もちろん歓迎したい、がそれにはこの集落の規則は守ってもらうが構わないかね?」

「もちろんですとも。」





「この家を使うといい。ただし器物破損などは気をつけてくれ。では、私はこれで。」

さっきの責任者が僕たちに寝所まで用意してくれた。さすがはこの集落の長だ。なんとあの金髪の男は100歳という若さで長を任命された天才らしい。いや、魔族は確かに長命で平均300年は生きるというが人間の僕としては信じられない。

この集落の長、シャァクスさんと言うらしいが現在105歳らしいのだが見た目は三十代にしか見えない。あれでも老けているほうだと言っているが十分若い。

「タダで貸してくれた家にしては広いな…。リビングだけで15畳はあるんじゃないか?」

寝所を確保したわけだし、外に出て色々と確認しよう。

僕は荷物をおろして外に出ることにした。




この集落はどこを見てもザ・田舎としか感じられない。それもそうだろう、山の中央に魔人たちが住んでいるだけのなんの文化も感じられない集落なのだから。

僕たちは集落の周りを一周するが誰も僕たちに話しかけない。後ろにつれているB.F.Wが怖いのだろうか?それともシャイなだけかも知れない。

しかし今回の目的としてはB.F.Wたちの衣服が欲しいのだが商人たちが居ないとなると困ったな…。衣服を着せれば人間の国に侵入出来ると思うのだがまさか商人がいないなんて…。

「はぁ…、どうしたものかなぁ…。」

「おい!なんか困ってんのか?」

後ろから声がしたので振り返ってみるとそこには好奇心旺盛そうな赤髪の男の子とその友達であろう子供たちがいた。合計5人の子供たちが僕に話しかけたきたのだ。

「あぁ、僕たちは彼らの衣服が欲しいんだけどどうにかならないかな?」

「服…?あぁ…、それなら任せろよ!ルピーリエが確かできたぜ!」

子どもたちに引っ張られ、僕たちは赤髪の子、ライに連れられて一つの家についた。
その家はここの集落では至って普通の家だ。

「ルピーリエ〜!!」

元気な声でライは叫ぶ。

ガタガタッという音とともにロングヘアの青髪の女の子が出てきた。まぁ、歳はは女子高生くらいだろう。顔は整っている方でこの子どもたちとは何歳も年が離れているように見えるが気さくに話しているのは同年代の少ない子供たちが見つけた年の差が少ない友達ということだろう。

「痛てて…、どうかしたんで…、ひゃっ!誰ですか!?その人たちは…!?」

ルピーリエと呼ばれる魔人がB.F.Wの姿を見て怯えているようだ。ここは安心させるために一つ手を打つとしようか。

「初めま…」

僕が話始めた瞬間にルピーリエは僕に怯えていた。あれ?何かしたかな僕?まだ君たちに対しては何も人体実験もしていないのに怯えられる理由なんて無いはずなのにな…。

「おい、兄ちゃん…。ルピーリエはあんたに怯えてるんだから俺が説明してやるよ…。」

「え!?僕に!?どうしてさ!?」

「そら、その長すぎる髪に酷い隈、そして怪しげな雰囲気を見れば誰だって怖いぜ。俺は勇敢だからな、そんなの気にしてないけど。でも俺以外の皆は誰も兄ちゃんに怖くて近づこうとはしないぞ。」

な、何だって…!?……誰にも話しかけられなかったのはB.F.Wのことを怖がっていたわけではなく、まさか僕が怖がってたとは…。

「そ、そうか…、すまない…。」

B.F.Wたちを見るとなぜな勝ち誇ったような顔をしている気がして、もう一度振り返ると次の瞬間にはいつもの真顔に戻っていた。 
気のせいだよな。前の記憶は無いはずだし…。

「こいつらは旅人でたまたまこの集落を見つけたついでに観光しに来てる変わり者だぜ!んで…なんか服が欲しいんだってよ。だからいつもみたいに作ってくれよルピーリエ!」

「……。ちょ、ちょっと待ってください…。あの…、いきなり来て、おいそれと作るのはできません…。作るのには…条件があります!」

「え〜なんでだよ〜ルピーリエ。いつも俺たちには作ってくれるじゃんかよ〜。」

「ライたちは友達ですし、よく知ってる中じゃないですか!でも…、そちらの方々は知らないですし…、ちょっと怖いし…。」

最後にぼそっとつぶやかれた言葉を僕は見逃さなかった。つまり、僕たち…、いや僕が怖くなくって、僕のことをよく知ってもらえばいいわけだ。

「わ、分かりました。ではまた、明日来ます。そのときに少し時間をもらってもいいですか?」

ルピーリエは怯えながらもコクコクと頷いてくれた。一応歩み寄ろうとしてはくれてるみたいだし、絶対にこのチャンスをものにしなくては!!




「でもよ〜、兄ちゃん。どうすんだよ…。」

ライが僕に素朴な疑問をぶつける。それもそうだ。ルピーリエが話しやすくなり、そしてお互いを知る方法なんて難しい。

「フフ、大丈夫だ。秘策がある!」

僕は笑みを浮かべる。その顔を見た子どもたちは皆、恐怖で顔をいっぱいにしていた気がするけど気のせいだろう…。





「異世界でバイオハザード」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く