異世界でバイオハザード

チーズフォンデュ

新たなB.F.W

「さて、まず何から始めるかな…。そうだな…性別が違うことによる違いや魔法が使える個体がどのような変化が訪れるのか知るためにも君のことを少し知るとしようか…。」

僕は椅子を持ってきて手足が縛られているモルモットである個体の前に座る。

「まずは君のステータスを見せてもらえないかな?」

ステータスは本来自身の脳内に流れてくる情報だが他人にも知らせるには閲覧石というステータスを写す石に身体の一部を10秒以上触れることで現れるのだが閲覧石は滅多に見つからない超貴重鉱石だ。

「どうやって見せると?口頭で話すのなら私が本当のことを言うとでも思っているのですか?それともまさか閲覧石でも持っているというのですか?」

モルモットは嘲笑うかのように僕に質問してくるが僕は袋から一枚の板を取り出した。

「な!?まさか本当に閲覧石を持っているというのですか!?どうやってその鉱石を!!?」

しかし僕は4年前に隣の山で見つけている。そりゃあ研究道具をいろいろ用意するにはこの世界にはないモノを用意しなければいけなかったから自分で作るしかないため鉱石から発掘し、作っていたのだ。その際に奇跡的に見つかったのがこの閲覧石というわけだ。

「そんなことは今は重要じゃない。今は君のステータスが見たいんだよ。」

僕は彼女の顔に閲覧石を押し付け10秒間待った。

「ちょ、い、息がぐるじい…。き、きごえて、まずよね!」

その間は謎の絵面があったが忘れよう…。

「さてさて君のステータスは…。」

リーナ

種族 ヒューマン
年齢 17
体力 140
魔力 74
筋力 69
耐力 102
速力 136
知力 149
「ふむ…あまり高くないな…。」

「私は回復担当だからステータスは高くはないんです!」

え?何この人…。地味にステータス低いの気にしてるじゃん。

「回復担当ってどのくらいの傷まで治せるの?」

「…私はまだ未熟者ですから擦り傷や火傷くらいしか治せませんがあの有名な7英雄の一人であるナヴィ様ならなら死者を蘇らせることもできるんですから!!」

聞いてもいないことを話してくるあたり少し精神的におかしくなっているんではなかろうか。ちょっと追い込みすぎたかもしれないな…。これがZ−ウイルスの反応に影響したら困るな。多分大丈夫だろうけど…。

「…うん、それは知ってるから…。今話しているのは君のことだから。…しかし擦り傷や火傷程度しか治せないとすると初歩段階の回復魔法しか使えないってことか…、あまり期待はできなさそうだな…。」

するとモルモットが僕をすごい形相で睨んでくる。
あっいけね…。また口に出ちゃった。でも本当のことだしそれくらいの不満は言わせてほしい…。
「だいたい君のことはわかったしそろそろ実験を始めようか。」

「私をど、どうする気なんですか!?まさかあのゴブリンみたいに死霊使いの駒にするつもりですか!?」

「死霊使い?僕は魔法なんて使えないよ。これはただの科学さ。フフ、でも禁忌と呼ばれる類いのものだろうけどね。」

彼女の脊髄に黄金の果実の栄養素をだけを抽出したものを注入した。

「あっ、ああ…。」

特にこれといって変化はない。当然だろう。なぜならこれを注入されたからって食料や睡眠が半年以上取らずに済むくらいの効果しかないため今変化が起こるわけではないのだ。
まあ僕はこの効果のお陰でずっと洞穴の中で篭って研究に集中できたわけだし感謝しても仕切れないが今は置いておこう。

「いよいよだ…、これで君は人間という身から大きく進化して新たな生物として生まれ変わる!!」

僕はモルモットの脊髄に2本目の注射を行った。もちろん中身はZ−ウイルスだ。

「あ、ああ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

あとは変化するのを待つだけだ!この変化を待つ時間が1番ワクワクするのだ。どんな形にどんな構造に、どんな性質に変化するのかドキドキで胸が高鳴る。






今回は生者ということもあり時間がかかった…。あれからすでに5時間が経過しているが未だ変化はあまりない。
変化という変化はモルモットが頭痛とめまいが襲っており、体温が上昇していることくらいだ。そして目が充血していることと異常に空腹を訴えていたので黄金の果実の栄養素を抽出したものをなんと4度も注入してようやく収まったらしいがこれでモルモットには5回黄金の果実の栄養素を取り込んだことになり、最低でも2年半の食料を食べたことになるのだ。やはり言語が通じ、なおかつ生きている生者に感染させることにより、感染の症状が事細かくわかるメリットがある。こんなにも大量の栄養素があれば完全なるB.F.Wが生まれるだろう。空腹とはつまり身体の再構築に必要な栄養素の量が不足している証拠であり、これを満たすことで完全なる進化が行えるだろう!

「今の状況はどう?」

僕はさらに2時間経過したモルモットに聞いてみる。

「が、たまうぇいfぢゔぁrがy…。」

すでにモルモットは言葉が通じなくなっており、会話は成立しなくなっていた。しかし問いかければ何かしらの返事はあるのでまだ知能はあるみたいだ。
身体の変化としては何層も再構築された皮膚により、肌はきめ細かな皮膚になっており、しかし半透明な色をしており人間らしい肌ではなくなっている。そして背丈は少し大きくなっており、もともと百五十センチくらいしかなかったが今では百七十センチにまで上る。体格は女性らしさを残した曲線のあるB.F.Wに進化しようとしていた。顔は口はなくなり目は白眼になっている。半透明な肌に白眼の顔はまるでUMAのようだ。

栄養素を脊髄から送り続けてしまったため口が閉じてしまい、篭った声が聞こえるようになってしまったらしい。

ここまで変化しているが未だ変化の最中らしく、ステータスは流れ込んでこない。






そしてさらにあれから2時間が経ち、ついにステータスが頭の中に流れ込んできた。つまり、完全にZ−ウイルスに感染したわけだ。

ちなみにステータスはこれだ。

Z−9号

種族 ???
年齢 ???
体力 4390
魔力 603
筋力 3021
耐力 6894
速力 1083
知力 72

このステータスとZ−8号のステータスを比較すると分かるがこの個体は体力がそこまで高くないが耐力がZ−8号よりかなり高いことから、この個体に傷をつけることはかなり至難にちかいだろう。試しに彼らが持っていた剣をぶつけてみたが僕の筋力では傷一つつかなかった。
そして速力がB.F.Wのなかで1番高く桁も違う最速のB.F.Wが出来たのだ。女性を使ったからかはわからないが非常に喜ばしい実験結果だ。
最後になんといっても魔力を持ったB.F.Wが出来たという一番の実験結果だ。初の魔力持ちのB.F.Wだが変化によってどこまで魔法が扱えるようになったのか、それとも魔力はあるが使えないのかこれから調べる必要がある。

僕はZ−8号とZ−9号を連れて洞穴の外に出た。
「Z−9号、あそこにいるゴブリンを捕まえてきてくれ。」

僕が指差した方向にいるゴブリンに向かってZ−9号は目にも止まらない速度でゴブリンの目の前まで行き、片手で頭を掴み、こちらまで足のバネを使い、たった一度の地面を蹴っただけでこちらのところまで戻ってきた。すでにゴブリンはあまりの速さに気を失っているらしい。

「おお!!さすがは最高速のB.F.Wだ!ここまでの速度とは…。いや、まだ出るのか?また検証しなければ…フフフ。」

僕は冒険者たちから取った剣でゴブリンの腕を刺す。

「ブギャアアァァ!!」

痛みで目が覚めたらしいがZ−9号が捕まえているため身動きがとれない。

「Z−9号、こいつの怪我は治せるか?」

「…。」

Z−9号は何も話さず、ゴブリンに手を当てた。そして魔法陣がゴブリンの腕を中心に描かれ、みるみるうちに怪我が治ってくる。

「す、すごい!!Z−ウイルスは感染した個体の能力を引き上げてくれる効果は身体能力だけじゃなく、魔法にもあるのか!!」

その後腕を引きちぎったり、腹を斬ったりしたが見事に治った。身体の一部が損傷、欠損しても回復させることができるらしいが頭を切ると治すことはできても生き返ることは出来ず、Z−9号では死体を蘇らせることはできないみたいだ。だが頭を潰されない限りはZ−ウイルスに感染させれば再び蘇り、新たな生物として生まれるので問題はないが僕が万が一死んでしまったときに生き返れないことを考えると不安だ。次はもっと回復魔法を扱える素材をB.F.Wにするとしよう。

そしてこの個体の種族が決まってなかったことから僕がこのB.F.Wの種族名を名付けると高い耐力にある程度の傷や欠損を治す回復力はまさに鉄壁と言える。つまり神の盾を意味する《イージス》と名付けよう。

Z−9号

種族 イージス
年齢 ???
    .
    .
    .





コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品