異世界でバイオハザード

チーズフォンデュ

侵入者

シャリン山に今、五人の冒険者が来ていた。パーティー名は《朱雀》、C級冒険者である。
男三人に女二人のパーティーで一人は大柄な男でタンクを担う。顔は温厚そうな顔つきでいつも仲間に気を使っている男だ。

そして、二人目の男は目がギラっとした細い男で死角からの攻撃を得意とする。いつも真っ先に魔物の存在に気づくこのパーティーの目になる男だ。

三人目の男は顔の整った男で体格は平均ほどで剣の使い手である。このパーティーの前衛を務める。またパーティー《朱雀》のリーダーでもある。

女のうち一人はショートカットの髪型のするすらっとした印象の女で短剣の使い手でもう一人の女を守る役割だ。

最後の女はこのパーティーの回復役で小柄な体格である。

「なあ、やっぱやめないか?」

大柄の男でありタンクの役割をする男、ガメルがいう。

「何言ってるんだよ。ここまで来てまだそんなこと言うなんてやめろよ。俺たちならゴブリンキングだって倒せるさ!」

前衛役の男、パーシェイスがそう話す。

「そうだぜ。俺たちには回復役のニーナもいるんだし、大丈夫に決まってんだろ。」

このパーティーの目の役割をするギジイが軽口をいう。

「そうそう、だいだいあんたねぇ、いっつもそんな逃げ腰じゃない…。ちっとはその逃げ腰直しなさいよ。」

ショートカットの女、アルがいう。

「しかしだなぁ今回はいつもとわけが違うんだぞ。なんたってゴブリンキングだ。あのかつていくつもの街を破壊し回っていたというゴブリンキングに挑むわけだぞ。」

不安そうに顔を歪めながらガメルが話すがパーシェイスたちが笑って返す。

「そんなの伝説だよ。実際はゴブリンの進化した上位種程度がそこまでの力を持つはずがないって言われているじゃないか。」

「それはそうだけどさ…、もし、万が一があると…。」

「おいおい、あまり弱音を吐いて志気を下げるようなことするんじゃねえよ。もしもの時は逃げればいいんだしよ 。」

いい加減ガメルの逃げ腰に怒りを芽生えたギジイがそう言い放つ。

「わ、私も精一杯頑張りますし頑張りましょう、ガメルさん。」

回復役のニーナがガメルを勇気づけようとそう話す。

「はら〜、ニーナにこんなこと言わせんじゃないよ。ガメル分かったね。私たちにはニーナがいるしゴブリンキングやゴブリンエンペラーだって倒せるさ!」

「アル…、分かったよ。覚悟は決めた!俺がみんなを守る!だから安心してくれ!」

「そうだよ!それを待ってたんだよ!いつも通り頼むぜ、ガメル!」

「パーシェイス…、任せろ!!」





パーティー《朱雀》は歩き回っているとたしかにゴブリンとよく遭遇していたがゴブリンキングとは未だに会えていなかった。

「ギジイ…見つからないのか?」

「すまねえ、パーシェイス…。だがゴブリンキングほどになると知力が人間並みになると聞いたことがある。きっとどこかに隠れているんだ。」

「なるほどねぇ〜、怪しいとこなんてあったっけ?」

アルが疑問を口にするとニーナが思い出したように話す。

「わ、私…シャリン山ではないんですけどその横の山《バル山》に怪しげな洞穴を見たという冒険者の声を聞いたことがあります。」

「なるほど!通りでこんなに探しても見つからないわけだ!よし!じゃあバル山に向かうぞ、みんな!」






「ここ、か…。確かに怪しげな洞穴だな。」

パーシェイスがそう呟くとアルが口を開く。

「ふふ、ここに何かいるって雰囲気してるわね。」

パーシェイスは唾をのみ足を踏み出した。

階段が続く中ある部屋にたどり着く。そこは山積みの書類と本に書かれた机があり、奥には怪しげな研究道具が置かれていた。

「ゴブリンキングが研究なんてするかな?」

正直な気持ちが出たパーシェイスはあまり嘘がつけないようだ。

「さあね。でもここまで来たら何がいるかくらい見てみましょうよ。」

「ああ…そうだな…。」

ニーナが一枚のメモを手にとって見てみるとこう書かれている。

「バーサークを人工的に作るにはある程度の素質ある個体に十分な有機物を与え、Z−ウイルスを与えることで超常的な新陳代謝に追いつくだけの栄養を送る必要がある。
これには黄金の果実の毒素を完全に無くしたものを与えることで解決できるとわかった。しかし素材となる個体が知力が低いとZ−ウイルスに感染することによって起こる知力低下により、命令の聞かない個体ができてしまう。これを解決するためには根本的にウイルスを変える又は他の物質を使い、中和させる、そして知力の高い個体をベースに使うという方法しかない。どうしたものか…。」

と書かれていた。

「な、何?ウイルス、バーサーク?なんのことですかこれ?」

「なんだそりゃ?聞いたことねえな…。」

ギジイは顔をしかめて答えるがこの世界には科学は発展しておらず、ウイルスなんて知る由もないのだ。

「おい!奥にも階段があるぞ!行ってみよう!」

彼らは奥へと進んでいった。





牢獄のある部屋へと入った瞬間、鍵が閉められる音がした。

「な、なんだ!!?」

パーシェイスたちが振り返ると一人の青年が立っていた。
髪は真っ白で顔全体を覆い隠すほどの毛量で髪の毛の間から見える目はひどい隈の紫色の目の色をしていた。
体格はガリガリで身長は百六十センチほどしかないだろう。しかし顔は整っていて、パーシェイスよりも何枚もイケメンである。

「あなたがこの洞穴の住人?」

アルが悪びれもなく洞穴の住人に問う。

「はい。初めまして僕の名はヴァンと言います。」

ヴァンは何気なく自己紹介をしてきた。

「勝手に入ってすまない…。しかし俺たちは今ゴブリンキングの討伐に来ていて少し怪しげな洞穴があるから確認しに来たんだ。」

パーシェイスが勝手に侵入した理由を話す。

「だって、こんな危険な山に住んでる人間がいるなんて思わないんだからしょーがないでしょ。」

アルは少しバカにしたように言ってくる。

「おい…アルいい加減にしろよ。俺たちは勝手に入ってきた不侵入者なんだぞ。」

「おいおいパーシェイス、いいじゃないか。こんな国から離れた所に住んでいるのなんて大抵は大罪人って相場が決まってるんだぜ。」

「ギジイの言う通りよ。こんな怪しい所に住んでるだけじゃなくて見る限りここは牢獄なんてある洞穴の持ち主がいい奴なわけないでしょ!…あんたいったい何者なの?」

アルの言ったことに全員が納得し、疑惑の目でヴァンを見る。

「……別に至って普通の科学者ですよ。」

「カガクシャ?なによそれ?」

「えっ…?あ〜そうか…科学なんてない世界だったんだ…。久しぶりに人と話すけど研究に集中していてこの世界の常識とか知らなかったんだよな…。」

「何をぼそぼそ独り言話しているのよ!!」

「え?あ…すいません…。僕ずっとここで研究していたもので考えてることを話してしまう癖がついちゃってるみたいですね。…ま、ちょうど知能の高い個体が欲しかった所ですし僕の実験に協力してもらいますね。」

「は?どうゆうことだ!?やっぱりこいつはやべえやつだぜ…。パーシェイスやっちまおうぜ。こういうやつをほっとくとあとあと面倒だ。」

「しかし…何もしていないやつを殺すのは…。」

「話している途中で申し訳ないんですが戦闘データも取っておきたいのでこいつの相手をお願いできますか?」

そういってヴァンが檻から出したのはプロトバーサークであるZ−4号だった…。



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