異世界でバイオハザード

チーズフォンデュ

研究は何十年かかるものさ…

あれから更に5年の月日が経った。未だにゾンビは作れておらず、毎日毎日寝ずに徹夜しているため目にはひどい隈が出来ていた。身長も寝ていないからかあまり成長しておらず、身体はガリガリだ。

「これもダメか…。クソ!!やはり僕みたいな素人が科学も未発達なこの世界で前世でも存在しなかったゾンビを作ることは不可能なのか!!」

最近の僕はやつれていた…。五年もかけて遺伝子を改変するものを探したが見つからず、それでも見つかった時に遺伝子操作できなければゾンビが作れないので色々な知識を蓄え、親にねだり、研究で必要な顕微鏡や培養器などを買ってもらい日々研究しているが未だに遺伝子改変出来るものがなければ何も進まない…。

前世では始祖花と呼ばれる花から採れるウイルスを改良し、あのみんな知っているウイルスを作り、結果としてゾンビができたわけだが始祖花に変わるものをこの世界で見つけなければゾンビ作りはできない。

この10年で僕は徐々にだがゾンビ作りなんて不可能ではないかと思えてきた。

「いや、ここで逃げたら僕はゾンビに対しての愛が偽りだったということになってしまう。僕がこの世界で必ず作って見せるんだ!!次は《愚恋草》について調べてみよう…。」





「坊っちゃま、旦那様が帰ってきましたので全員揃っての晩餐があります。18時にテーブルにおすわりください。」

ユリアード家のメイドであるパアルさんが僕の部屋の前で伝えてくれた。僕は基本的に部屋から出ないのでこうやって用事があるときは僕の部屋の前で話してくれるのだ。

「…父様がもう帰ってきたのか。仕方ない、久しぶりに兄様や姉様に会うとするか。」





下に降りてテーブルに向かうとすでに兄のアークと姉のリリンシャが座っていた。

「久しぶりだな、ヴァン。前にあったのは2ヶ月前だったか?」

兄のアークが僕に話しかけてくる。
アークは17歳になり体格は百八十センチ前後で身体には無駄な脂肪がひとかけらもないと思われるガッチリとした肉体だが細マッチョと呼ばれる筋肉のつき方をしている。

「ふん!こんな落ちこぼれと一緒の空気を吸ってるなんて嫌になるわ!アークにぃもいちいちこんな奴と話をする必要なんてないわよ!」

僕を落ちこぼれと言い放つのは姉のリリンシャだ。彼女はすっかりと大人の一歩手前となり、グラマラスな身体つきへと成長しており、初めて彼女を見ると惹かれてしまうのだが気の強い性格で結局放れてしまうのだ。魔女の中でも最強と謳われている三魔女の一角である氷獄の魔女の弟子となってはや5年が経っており、今ではこの国でも有名な魔術師として名を挙げている。

「リリンシャ、家族を愚弄することは許さんぞ。」

「ふん!こんな奴家族と思ったこと一度も無いわよ!昔から意味のわからないことばっか研究して結局何の成果もあげていないポンコツじゃない!」

「おい!いい加減にしろよ!リリンシャ!」

や、やばい…。この二人はただでさえ国も認める実力者なのに喧嘩なんてしたら家が潰れるだけじゃ済まない…。

「あ、アーク兄様!落ち着いてください!実際僕はリリンシャ姉様の言う通り、何の才能もなく、研究も成果もあげられていないのも事実ですから!」

「…ヴァン、お前は心配しなくてもユリアード家の家族だ。お前の研究がいつかきっとあっと驚かせてくれると俺は信じているぞ。」

「に、兄様…、ありがとうございます…。」

やはりアーク兄様は僕の気持ちに寄り添ってくれる存在だ。この家で1番の理解者と言っていい。僕の研究道具や本は全てアーク兄様が用意してくれたのだから頭が上がらない。

「あれ…もう集まってたんだ。早いね兄さんたちは。」

百七十センチほどの身長の兄、ラリスだ。ラリスはのらりくらりとした動きで椅子に座り、いつも笑みを浮かべていて何を考えているかわからない。今では自由を求めて冒険者と呼ばれる冒険者ギルドに登録している。すでに中級の位置まで上がっており、期待の新星と呼ばれている。

「ラリス、久しぶりだな。確かオーガの討伐に出ていたんじゃなかったか?」

「終わらしてきて今戻ってきたんだ。兄さんこそペガサスと契約した勇者の再出現なんて言われているらしいじゃないか。さすがだね〜。」

「あれはたまたま運が良かっただけさ。まだまだ実力が足りていない未熟者には勇者は重いさ。」

するとテーブルの向こう側からコツコツと足音がする。

「みんな集まっているようだな。」

そう、僕たちの父であり、大貴族の一角の当主であるダニエル・ユリアードである。

「と、父さん、お久しぶりです。」

「うむ、アークよ。お前の活躍は聞いておるぞ。我が息子として誇りに思うぞ。」

「ありがとうございます。」

「ねえねえ、私は父様?」

先ほどとはまるで違う子供のような態度をとるリリンシャ姉様は父様の前ではべったりなのだ。

「うむうむ、リリンシャも素晴らしい魔力量で我が国最強の魔女たちに次ぐ実力と聞いているぞ。さすがは我が娘だ。誇りに思うぞ。」

「ふふふ!」

「 そしてラリス、冒険者のC級に上がったらしいじゃないか。さすがだな。幼少期か
ら才能の高さは家族の中でも1番だと思っていたがまさに今才能が開花したようだな。さすがは我がユリアード家の息子だ。」

「ありがとうございます。」

「さて席につこうか。久しい家族同士の晩餐だ。」

もちろん僕については一切話題に出ない。僕は父様のまえでは空気に等しいのだ。





食事を食べながら僕以外の人は皆、話をしながら家族の団欒を楽しんでいた。
しかし僕が5年も探しても見つからなかった情報が僕の耳に聞こえた。

「そういえば10年に一度採れる黄金の木から黄金の果実が採れたらしいぞ。」

父様が何気なく話した言葉だった。

「あの過去に勇者様が生まれたという黄金の果実ですか!?」

珍しくアーク兄様が驚いていた。それもそのはずアーク兄様が唯一興味のある勇者の話だからだ。

勇者とは人間のなかで最強と呼ばれる存在のことを国が勇者と名ずけ世界に存在する魔物や魔人、そして魔王に対しての最終兵器となるわけだ。勇者はすべての人から頼られ希望の象徴であるためアーク兄様は憧れているのだ。

「たしかに黄金の果実といえば食べた者を驚異的に強化し最強の存在へと変えるが一方、身体に合わなかったものは身体の内部から炎症を起こし、最終的には身体が枯れてしまうと聞きました。」

ラリス兄様も知っているようだ。

「その通りだ。黄金の果実は選ばれた者のみに力を与え、ふさわしく無い者には死を与える果実で又の名を禁断の果実と呼ばれている。」

「と、父様!!それはどこで手に入れることができるんですか!?」

僕が急に喋り出したことに父様も驚いたようだ。

「…禁断の果実と呼ばれてはいるがたしかに昔、勇者を生み出した奇跡の果実でもある黄金の果実は今でも人気だ。それに10年に一度、一つしか採れないため超貴重アイテムとなっているためそう簡単に手に入るものじゃないぞ。…それに貴様に渡すギリはない!」

「父様!お願いです!!黄金の果実をもらえるならこれ以上の望みは言いません!…お願いします…。」

「ヴァン…やはりお前も勇者に憧れていたんだな…。わかるぞ、お前の気持ち…。」

何やらアーク兄様が意味のわからないことを言っている。あれ?もしかして僕の気持ちに寄り添っていると思っていたが気のせいだったのだろうか。

「そこまで言うなら黄金の果実を渡す代わりにユリアード家から出て行ってもらう。もちろん親子の縁を切らしてもらう。」

「ま、待ってください!父さん!それはいくらなんでもやりすぎでは無いですか。」

アーク兄様はやはり僕の気持ちに寄り添ってくれていたようだ。

「いいじゃない、そんな奴がいなくなっても。逆にユリアード家の面汚しが消えて清々するわ!」

「……わかりました。父様、黄金の果実を受け取ったらすぐに家からでます。ですのでお願いします…。」

「…ほう。いいだろう。では後日黄金の果実を渡す。その日までに荷物をまとめておくことだ。…では今日はこれで晩餐を終わるとしよう。」







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