転生したら妖狐な幼女神になりました~前世の記憶と時空創造者~
天然エリスとぼけぼけアルマ
ティータイムの後、アクアは二人の女の子をボクの前に連れてきた。
「アルマです! 人界ではこっそり活動している『探求者』です! 職業精霊の剣士ですよ!」
「も~、アルマちゃんったら~。こんにちは~。アルマちゃんと組んでいる職業精霊の術師をしてます~、エリスと申します~。ちゃ~んと『探求者』ですよ~?」
「よ、よろしく」
元気そうな女の子のアルマとのんびりした感じの女の子のエリス。
二人は組んで長いのだろう、ボクは二人から言わなくても言いたいことが伝わりそうな雰囲気を感じ取っていた。
「二人は幼馴染なんです。ですので、連携はピカイチでしょう」
「えへへ。そうなんです! 他の人にもたまに誘われるんですけど、やっぱりエリスとじゃないと調子でなくて」
「アルマちゃんはフォローが必要なんですよ~。なので私がぜ~んぶやってあげてるんですよ~? アリス様も~、私たちのメンバーに入ってほしいです~」
「ん? ボクも? なんで?」
「エリスは説明しないからだめなんだよ。ええっと、アクア様が言っていたというのもあるんですけど、それ以上にエリスから感じるものと同じものを感じるんです!」
「アルマちゃんと私とアリス様の三人でなら完璧な構成になると思うんです~。ぜひぜひ~」
ぐいぐい迫ってくる二人の女の子。
「あ、うん。ええっと、まぁ……いいけど?」
「やったー!!」
「やったです~」
なんだかなし崩し的に了承する羽目になった気がする……。
さて、まずはアルマという女の子についてかな。
共に行動することになったアルマは、綺麗な黒髪を肩口まで伸ばした黒い瞳の大きめな目が特徴的な可愛らしい女の子だ。
身長は百五十五程度と思われる、比較的小柄な感じの子だ。
白と黄色の中間のような肌の色をしている。
本人の性格は好奇心旺盛なため、猫に近い印象を受けるかもしれない。
続いてエリスだけど……。
エリスは茶色い髪の毛を背中まで伸ばした黒い瞳の大きな目が特徴的な女の子だ。
身長はアルマと変わらず、肌の色もアルマと同じだ。
性格は見た目のわりに気風が良い感じの女の子で話していて楽しい。
しかし話し方はのんびり。
好奇心の塊のようなアルマを御しつつ、一緒に色々なことを楽しんでいるようだ。
「ボクを誘たって出来ることは少ないよ?」
「構いませんよ! アリス様と遊ぶのが良いんですから!」
「そうですよ~? 冒険も魔物との戦闘も楽しんでなんぼですよ~?」
「君たちって戦闘民族か何か?」
可愛い顔してニコニコしながら、戦いを楽しもうと言うとは思わなかった。
まぁボクだって戦いは嫌いじゃないけど、アリオス時代と今は全然違うからなぁ~。
魔術とか魔道具での戦いはアリオスを超えると思うけど、肉弾戦というか白兵戦はものすっごく弱くなってると思う。
「まぁ今のボクに出来ることは魔術攻撃と支援くらいかな~。いずれは格闘とかそっち系も取り戻したいけど、五歳児にはさすがに無理だよ」
「いえいえ、それでも十分です! 人界にはダンジョンも多いので一緒に戦って遊びましょう!」
「ついでにお金もがっぽり~」
アルマの頭の中には「戦いは遊び」といった謎理論が展開されているみたいだね。
まぁそれを間違いといって正すつもりはないけど、戦いを神聖なものとして捉えてる人々が聞いたらものすごく怒りそうだ。
「エリスはお金のことばっかりだね? 精霊でもお金必要なの?」
「当たり前ですよ~? アリス様、職業精霊の住む精霊の都の通貨はエリュシオンの通貨と同じなのをご存知ですか~?」
「いや、まったく知らなかった。ということはクレセント貨幣なの?」
「そうですよ~?」
「通貨の設定は私が担当しましたので、アリス様はご存じないかもしれませんね。そもそも今までお買い物に出られたことはありましたか?」
エリスとの会話の途中、エメからそんな情報が飛び出してきた。
えっ? ボクそんなに外出てなかったっけ?
「そうかな~? 結構出てたと思うけど……」
「アリオス様の時代は主に人界に出ていたと記憶しています。こちらにはほとんど存在しないダンジョン資源をお求めに降りていたようなものでしたから」
「あ~、たしかに。そうそう、ダンジョンって言えば、何で出来るんだろうね? あれについてももっと詳しく調べなきゃな~」
「露骨に話を逸らしましたね? エリュシオン事情については少しずつでいいので明るくなってください」
「は~い」
まぁ露骨に話を逸らしたわけじゃないんだよ。
前々からずっと思ってて、まだ解決できていない問題だったから気になっただけなんだけどな~。
まぁダンジョン研究は後ほどかな? 探求者にならないとダンジョンに入れないしね。
「うふふ。そうですね~。ダンジョン資源も良いお金になるんですよ~。精霊の都にもない品物が多いですからね~」。楽しみです~」
「エリスったら、ほんと楽しそうにお金の話するよね?」
「いざ働けなくなった時の頼みの綱ですからね~。それに貯金額が増えていくのは楽しいんですよ~?」
「姉様、職業精霊たちってこんなにお金好きなんですか?」
「オニキス? 精霊にもいろいろあるのよ? 元素精霊なのに、商売が上手な精霊王もいるでしょ?」
「何か文句でもあるんですか? ダイア」
「いえいえ、滅相もない」
「あ~こら。エメもダイアもそれくらいにしなよ? オニキス、ボクだってお金は好きだよ? それも変?」
「いえ、アリス様がお好きなものはボクも好きです!」
「あ、うん」
好きなものについて語る時、どうしても熱くなるのは人間も精霊も変わらないのかもしれない。
ここだけの話、ダイアはエメにああ言ってるけど、エリュシオンで流行っている少女漫画の愛好家なのをボクは知っているし、オニキスはオニキスで甘味の食べ歩きにはまっているのを知っている。
なんだかんだ言いつつ、みんな同じように『精霊らしくない』のだ。
人間が考える精霊は大抵『純粋な者』だと思う。
まぁそういう精霊がいないわけではないから、あながち間違いではないんだけど、精霊も人間と同じように多種多様なのだ。
「ふふ。君たちはみんな揃いも揃って可愛いよね。ボクは満足だよ」
まるで人間のように揉める精霊たちを見て、ボクはなんとなくうれしくなった。
純粋だった精霊王をホムンクルスの体に移したのは間違いではなかったのかもしれない。
あの時、真っ先に人間の感覚を感じてみたいと言ったのは、誰でもないこの六体の精霊王だったのだから。
「どうしました? アリス様。そんなに嬉しそうにして」
「ちょっとね。君たちの昔を思い出してたんだ」
「あら。お恥ずかしい。でも、あの時の選択は間違っていたとは思いませんよ? そのおかげで大切なものが見えてきたのですから」
言い合う精霊たちを見守りながら、ボクとアクアは昔のことを語り合った。
昔の彼女たちと今の彼女たちは別人と言ってもいいほどに違うけど、今の彼女たちと未来の彼女たちはまた違ったものになるに違いない。
アリオスの体とは違い、ほぼ不死のホムンクルスの体は、彼女たちを長い間見守るだけの時間を与えてくれている。
それに、運命神としての権能も少しずつ現れてきているしね。
ボクはこの先どんな風に生きていくのだろうか?
「アリス様、どうしました? 遠い目をして」
「ん~。不死の体に神の権能。ボクは何になるんだろう? って考えちゃってね」
「さぁ? ですが、やることは前と変わらず人々のため、自分のために研究したり開発したりする
でしょう。この際、神かどうかは考えなくてもいいのでは? 私たちは精霊王であることを今は考えないようにしています。もちろん、アリス様のためにです」
「ん。ありがと。アクア」
「どういたしまして」
アクアはボクの頭を撫でると、柔らかく微笑んだ。
「アルマです! 人界ではこっそり活動している『探求者』です! 職業精霊の剣士ですよ!」
「も~、アルマちゃんったら~。こんにちは~。アルマちゃんと組んでいる職業精霊の術師をしてます~、エリスと申します~。ちゃ~んと『探求者』ですよ~?」
「よ、よろしく」
元気そうな女の子のアルマとのんびりした感じの女の子のエリス。
二人は組んで長いのだろう、ボクは二人から言わなくても言いたいことが伝わりそうな雰囲気を感じ取っていた。
「二人は幼馴染なんです。ですので、連携はピカイチでしょう」
「えへへ。そうなんです! 他の人にもたまに誘われるんですけど、やっぱりエリスとじゃないと調子でなくて」
「アルマちゃんはフォローが必要なんですよ~。なので私がぜ~んぶやってあげてるんですよ~? アリス様も~、私たちのメンバーに入ってほしいです~」
「ん? ボクも? なんで?」
「エリスは説明しないからだめなんだよ。ええっと、アクア様が言っていたというのもあるんですけど、それ以上にエリスから感じるものと同じものを感じるんです!」
「アルマちゃんと私とアリス様の三人でなら完璧な構成になると思うんです~。ぜひぜひ~」
ぐいぐい迫ってくる二人の女の子。
「あ、うん。ええっと、まぁ……いいけど?」
「やったー!!」
「やったです~」
なんだかなし崩し的に了承する羽目になった気がする……。
さて、まずはアルマという女の子についてかな。
共に行動することになったアルマは、綺麗な黒髪を肩口まで伸ばした黒い瞳の大きめな目が特徴的な可愛らしい女の子だ。
身長は百五十五程度と思われる、比較的小柄な感じの子だ。
白と黄色の中間のような肌の色をしている。
本人の性格は好奇心旺盛なため、猫に近い印象を受けるかもしれない。
続いてエリスだけど……。
エリスは茶色い髪の毛を背中まで伸ばした黒い瞳の大きな目が特徴的な女の子だ。
身長はアルマと変わらず、肌の色もアルマと同じだ。
性格は見た目のわりに気風が良い感じの女の子で話していて楽しい。
しかし話し方はのんびり。
好奇心の塊のようなアルマを御しつつ、一緒に色々なことを楽しんでいるようだ。
「ボクを誘たって出来ることは少ないよ?」
「構いませんよ! アリス様と遊ぶのが良いんですから!」
「そうですよ~? 冒険も魔物との戦闘も楽しんでなんぼですよ~?」
「君たちって戦闘民族か何か?」
可愛い顔してニコニコしながら、戦いを楽しもうと言うとは思わなかった。
まぁボクだって戦いは嫌いじゃないけど、アリオス時代と今は全然違うからなぁ~。
魔術とか魔道具での戦いはアリオスを超えると思うけど、肉弾戦というか白兵戦はものすっごく弱くなってると思う。
「まぁ今のボクに出来ることは魔術攻撃と支援くらいかな~。いずれは格闘とかそっち系も取り戻したいけど、五歳児にはさすがに無理だよ」
「いえいえ、それでも十分です! 人界にはダンジョンも多いので一緒に戦って遊びましょう!」
「ついでにお金もがっぽり~」
アルマの頭の中には「戦いは遊び」といった謎理論が展開されているみたいだね。
まぁそれを間違いといって正すつもりはないけど、戦いを神聖なものとして捉えてる人々が聞いたらものすごく怒りそうだ。
「エリスはお金のことばっかりだね? 精霊でもお金必要なの?」
「当たり前ですよ~? アリス様、職業精霊の住む精霊の都の通貨はエリュシオンの通貨と同じなのをご存知ですか~?」
「いや、まったく知らなかった。ということはクレセント貨幣なの?」
「そうですよ~?」
「通貨の設定は私が担当しましたので、アリス様はご存じないかもしれませんね。そもそも今までお買い物に出られたことはありましたか?」
エリスとの会話の途中、エメからそんな情報が飛び出してきた。
えっ? ボクそんなに外出てなかったっけ?
「そうかな~? 結構出てたと思うけど……」
「アリオス様の時代は主に人界に出ていたと記憶しています。こちらにはほとんど存在しないダンジョン資源をお求めに降りていたようなものでしたから」
「あ~、たしかに。そうそう、ダンジョンって言えば、何で出来るんだろうね? あれについてももっと詳しく調べなきゃな~」
「露骨に話を逸らしましたね? エリュシオン事情については少しずつでいいので明るくなってください」
「は~い」
まぁ露骨に話を逸らしたわけじゃないんだよ。
前々からずっと思ってて、まだ解決できていない問題だったから気になっただけなんだけどな~。
まぁダンジョン研究は後ほどかな? 探求者にならないとダンジョンに入れないしね。
「うふふ。そうですね~。ダンジョン資源も良いお金になるんですよ~。精霊の都にもない品物が多いですからね~」。楽しみです~」
「エリスったら、ほんと楽しそうにお金の話するよね?」
「いざ働けなくなった時の頼みの綱ですからね~。それに貯金額が増えていくのは楽しいんですよ~?」
「姉様、職業精霊たちってこんなにお金好きなんですか?」
「オニキス? 精霊にもいろいろあるのよ? 元素精霊なのに、商売が上手な精霊王もいるでしょ?」
「何か文句でもあるんですか? ダイア」
「いえいえ、滅相もない」
「あ~こら。エメもダイアもそれくらいにしなよ? オニキス、ボクだってお金は好きだよ? それも変?」
「いえ、アリス様がお好きなものはボクも好きです!」
「あ、うん」
好きなものについて語る時、どうしても熱くなるのは人間も精霊も変わらないのかもしれない。
ここだけの話、ダイアはエメにああ言ってるけど、エリュシオンで流行っている少女漫画の愛好家なのをボクは知っているし、オニキスはオニキスで甘味の食べ歩きにはまっているのを知っている。
なんだかんだ言いつつ、みんな同じように『精霊らしくない』のだ。
人間が考える精霊は大抵『純粋な者』だと思う。
まぁそういう精霊がいないわけではないから、あながち間違いではないんだけど、精霊も人間と同じように多種多様なのだ。
「ふふ。君たちはみんな揃いも揃って可愛いよね。ボクは満足だよ」
まるで人間のように揉める精霊たちを見て、ボクはなんとなくうれしくなった。
純粋だった精霊王をホムンクルスの体に移したのは間違いではなかったのかもしれない。
あの時、真っ先に人間の感覚を感じてみたいと言ったのは、誰でもないこの六体の精霊王だったのだから。
「どうしました? アリス様。そんなに嬉しそうにして」
「ちょっとね。君たちの昔を思い出してたんだ」
「あら。お恥ずかしい。でも、あの時の選択は間違っていたとは思いませんよ? そのおかげで大切なものが見えてきたのですから」
言い合う精霊たちを見守りながら、ボクとアクアは昔のことを語り合った。
昔の彼女たちと今の彼女たちは別人と言ってもいいほどに違うけど、今の彼女たちと未来の彼女たちはまた違ったものになるに違いない。
アリオスの体とは違い、ほぼ不死のホムンクルスの体は、彼女たちを長い間見守るだけの時間を与えてくれている。
それに、運命神としての権能も少しずつ現れてきているしね。
ボクはこの先どんな風に生きていくのだろうか?
「アリス様、どうしました? 遠い目をして」
「ん~。不死の体に神の権能。ボクは何になるんだろう? って考えちゃってね」
「さぁ? ですが、やることは前と変わらず人々のため、自分のために研究したり開発したりする
でしょう。この際、神かどうかは考えなくてもいいのでは? 私たちは精霊王であることを今は考えないようにしています。もちろん、アリス様のためにです」
「ん。ありがと。アクア」
「どういたしまして」
アクアはボクの頭を撫でると、柔らかく微笑んだ。
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