ゾンビになって生き返ったので 復讐してやる

カイガ

115話「今この時この瞬間 幸せになれている」

*書きたいこと書いてたらこんな文字数になってました。読んでくれるとありがたいです。そして今回はもっと過激描写です。恐らく今後のエピソード含めても今回がいちばんだと断言します。





 「何なのこの男は...!?相手は一人一人の戦力が、最上級の屍族レベルなのよ!?」


 大量のモニターがある部屋、床に幾何学模様が何重にも巻かれた術式に手をついたまま、ベロニカは冷や汗を流しながらモニターに映っている亜空間の中の様子を見ていた。始めは自身の駒たちによって蹂躙されてズタボロになって無様に這いつくばる皇雅の姿を予想していた。
 だが現実は彼女のそれを大きく覆された。蹂躙されているのはこちら側で、武術・魔法を駆使して彼らを圧倒して、しかも残酷に殺している様を見て、ベロニカは戦慄した。
 しかし殺す度にこちら側の戦力が増す以上、いずれはこちら側に勝機が訪れることだろうと高を括り、魔術の質をさらに上げる。

 「私自身も余力はたっぷり残っている。焦ることはない...いずれ精神をすり減らしきって憔悴しきった彼を無力化させるのは容易だ...!」

 そのはずだ、と自身に言い聞かせて魔術に集中する。
 (だが何だ...この凄く嫌な感じは?払拭できない...!何か、マズい予感が......)


 彼女の漠然とした悪い予感は、数分後的中する...。





 とりあえず全員殺すまで同じ奴をまた殺すのは無し、というルールを敷いて、俺はこのゲームを1周クリアした。
 そう、これはゲームだ。究極の超リアリティ殺人ゲームだ!全員1回ずつ殺したことを確認した俺は、2周目と呟いてまた大西を痛めつけるところから再開する。


「「「「「死ね甲斐田ああああああああああ!!!」」」」」

 2周目...全員変わらず元気よく俺を殺そうとかかってくれる。俺はその想いに精一杯応えてあげた。同じ奴を同じように殺すのはつまらないので、それぞれ別の奴に行った殺害方法をまた別の奴らに実施する。

 大西を斬撃混じった竜巻に放り投げてスプラッタ光景をつくりあげたり、
 「ぎぱがあああああああああああ!!!」


 片上を重力で縛り付けてまな板上の魚を解体するように、何枚にも卸斬りをやってのけて遊び殺したり、
 「いだあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!てめえ”え”え”え”え”え”!!!」


 安藤に至っては、執拗に顔面ばかり攻撃を浴びせまくって、女の尊厳をこれでもかっていうくらい踏みにじって潰してやった。途中泣いてたな、あのゲロカス女 
 「ぎゃああああああ!!も”う”やめでえええええ”え”え”え”!!」


 老害ゴミ国王に対しては、精神攻撃も与えてあげた。テメーの国は滅んだだの、王妃も死んだだの、召喚した奴らはもう全員死んだだの...これは少し嘘だが。そういう言葉もぶつけながら色んな魔法攻撃を浴びせて、首の骨を砕いて殺した。終始醜い豚みたいに鳴いて、キモい犬みたいに吠えて悲鳴を上げるものだから爆笑した。
 「そんなはずない......そんなはずはない!!でたらめ―を”......ば...」



 3周目...連中をの復讐心は萎えることなく、まだ元気よく殺しにかかってくる。俺も精一杯のもてなしをしてあげる。
 「「「「「殺してやる!!このクソ野郎が!!!」」」」」
 「あはははははははは!!来い!!」

 暗黒魔法で雑につくった化け物を男鈴木の体に齧らせた。手足末端から徐々に真ん中部分に亘って侵食される様に悲鳴を上げて制止を求めるカスの顔は滑稽だった。
「ぎ、があああああ”あ”あ”あ”あ”あ”!!止めろ止めろ止めろ止めろめろ止めろォ!!!」


 たまたま近くにいた女鈴木の後頭部を掴んで、即席でつくった強酸の水溜まりに何度も叩きつけて押し付けて沈める。地面を何度もタップして止めて!の仕草をする糞女の腕を切断してそれすらさせなくしてから同じ拷問をさらに続ける。
 「がごぼげろどろぼぼっぼおぼぼごぼぼげらおぎょぼ......!!」
 「いや声キモw」


 その間攻撃してきた早川や柿本を重力で潰して炎熱と雷電で丸焦げにして片手でバラバラに細かく斬り裂いた。汚い焼肉の完成。もちろん食うことなく酸に溶かして廃棄した。
「「熱い痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛いいだい”いだい”いだい”......!!」」


 ハーベスタンでちょっかいかけてきた豚王族の体の部位を一つ一つ馬鹿力で千切っていって、骨をへし折って内臓を引きずり出して殴り潰すという雑な殺人もした。
 「ぶぎょお”お”お”お”お”!!!ぐ、ぞがあああああああ!!!」



 5周目...少し俺に攻撃することを躊躇いだしたのがチラホラいたが、まだまだ元気よく殺しに来てくれたので存分に暴虐の限りを尽くした。大西もマルスも山本もカドゥラも片上も、全員たくさん殴って蹴って斬って刻んで潰してあげた...!


 10~周目...あれ?最初いた時と数が合ってないな?具体的に言うと、男鈴木や冒険者どもあたりの姿が消えていた。どうやらこの魔術にも何か穴があるらしいな。

 「おいおいテメーの駒が数体消えたぞ?しっかり維持してくれよ魔人族ぅ!?俺の復讐相手を減らすなよなぁ!!」

 真上を見てそう吠えてから俺はまた連中を徹底的に蹂躙すべく駆け出す。最初に比べて連中の勢いが少し小さくなってる気がする。数が減ったせいだ、と言い聞かせて魔力光線を気持ちよく放出しまくる。これだけ殺してるんだ、こいつらもさぞ俺が憎くて殺したくて仕方ないはずだ。まさか、たかが10回程度殺されたくらいで心が折れた、なんてことないよなぁ?
 光線を切らしたところで残った奴らに跳びかかって何百発も殴り続ける。アレンたちの教え通り、急所に的確に拳を入れる。こいつらを使って技のおさらいも実践だ!

 「ん...?おいテメーら、俺は今この糞王子一人につきっきりだぞ?後ろから刺す絶好のチャンスだろうが。来いよ?殺し放題だぜ?」

 マルスに乗りかかって殴りながら後ろ向いて大西や須藤らに話しかける。隙だらけの俺だというのに何やっとんじゃあいつら。

 「う...う、おおおおおおおお!!」
 「い、言われなくても、ぶち殺してやるわああああああああ!!」

 少し躊躇いを見せるも叫び声とともに武器を構えて突進してくる。1秒で俺に接近して思い切り剣を横薙ぎに振るう。が、大地魔法で超堅牢化した俺の体にぶつかった瞬間、ボキリと折れた。青い顔して折れた剣を見る間抜け野郎に糞王子を投げつけた後、「身体武装硬化」で左腕を大砲に変えて焼夷弾を放ってまとめて灰にした。
 おいおい、最初に比べてマジで勢い弱くなってんじゃん...殺す度強化されるんじゃないのか?
 心の中で愚痴りながら復活したのを確認してまた殺戮を繰り返しに出た...!







 「はぁ、はぁ......!そんな、嘘でしょう!?こんな、あり得ないことが...!!」

 ベロニカは息を乱しながら、モニターに映っているものを信じられないという様子で見て驚愕していた...いや、恐怖したというべきか。
 この魔術は、3回殺したあたりで魔人族でも手を焼く程に戦力が増すようにしてある。だというのに、あのイレギュラーゾンビは5回、10回と殺し続けている。しかも彼に疲労の様子は微塵も見られない。

 さらには大勢いた屍族のうち、数体程ベロニカの命令無しに消滅したのだ。こんなこと今までに無い事態だ。消滅した際、彼らから伝わってきた感情は......純粋な“恐怖”だった。

 憎しみと殺意以外の感情など持ち合わせていない駒が恐怖を抱くなど考えたこともなかったし、それが原因でこの世から消滅したなどさらに予想外の出来事だ。
 それ程までにあのカイダコウガという男が規格外の化け物で恐ろしい男だというのか。疑問に思ったベロニカは、ここで彼のステータスを覗き見ようと試みた。「鑑定」以外で相手のステータスを知る手段は基本無いとされているが、ベロニカ独自の方法で可能にしている。

 「魔眼」...目に超高魔力を込めることで、疑似的に「鑑定」を発動できる。この方法は、彼女程の魔力が無いと実現できない。実質彼女だけに使える覗き法だ。
 そうしてベロニカは皇雅のステータスを見たのだが...彼女はそれを見たことを、酷く後悔した。

 「な...!?何よこのステータス!?こんなの、どの魔人族でも敵いっこないわ...!!ザイ―ト様を除いて、は......」


 あまりにも規格外で次元が違い過ぎる様に、青褪めて呆然としてしまう。
 その後も、彼女は皇雅の一方的残虐な殺戮ショーを、ただ震えながら見ることしかできずにいた......。

 



 何十回か周回繰り返していくうちに、連中の様子が変わった。連中の顔が、怒りや憎しみから恐怖へと変化していった。
 あれだけ殺すだの憎いだの唱えていた奴らだが、その勢いはすっかり無くなっていた。殺しても連中の能力値は大して伸びなくなっていった。俺に対する憎悪や殺意が弱くなっているからだ。

 連中は元気ないように見えるが、俺は全く心がすり減っていないし、元気いっぱいだ!ゾンビだから体力も魔力も無限。この殺戮ゲームも楽しんでいるから飽きたりもしない。このまま日夜続けても問題無いくらいだ。もっと痛めつけて苦しめて殺したいと思う!この消えることない復讐心が、俺を突き動かしてくれる!!


 「さぁもっと俺に復讐させろぉ!力を持て余し過ぎて全然殺し足りねーんだよおおお!!あっははははははあははあははぁ!!」
 「ひっ、あ、あああああ.........!」
 「た、助けて...助けてえええええええ!!」
 「おい魔人族ぅ!ここから出してくれ!!もうあんな奴と戦いたくない!復讐なんかどうでもいい!!出せえええええ!!」

 
 やる気満々の俺に対して、連中はもう復讐する気力は無くなっており、心が折れていた。

 「はぁ?......くはははは!?何だそりゃ?テメーら俺を殺したいんじゃなかったのか?狂う程、憎んでたんじゃなかったのか!?テメーらの復讐心はその程度かよぉ!?つまんないなぁ、ははははははは!」

 そんな連中を俺は嗤いながら、山本の髪を掴んで頭蓋に膝蹴りをくらわして顔面を粉々に砕いてやった。面白いくらいにキモい絵面だ。
 「あ”あ”あ”!や、べてぇ......!」


 間を置くことなく、須藤の両腕・両脚を素手で引き千切ってその四肢を奴の胴体・股間・頭にぶっ刺してやった。うん、キモい絵面だ!
 「ぶごばがぁ......もう、いや......だぁ」


 さらに休む間もなく、嵐・雷電・水魔法を同時に発生させながら日本刀を振るって大西をサイコロステーキ状に切り刻んだ。雷の刃・風の刃・水の刃・日本刀の4連撃できれいに切断できた。気持ちいい!!

 ふと後ろを見れば、糞王子が俺から距離を取って...あれは逃亡してるな。老害国王も同様に逃げようとしている。馬鹿かよ、逃げ場が無いってテメーらが言ったくせによ?
 「瞬神速」で両名捕らえて、同時に地面に叩きつける。叩きつけた先に重力魔法がかかった沼をつくって完全に縛る。そして死ぬまで全力で拳の雨あられを浴びせた。
 「「ひ...ひいいいいいいいいい”い”い”い”い”やああああああ”あ”あ”あ”あ”あ”...!!!」」


 ――楽しい!愉しい!悦しい!!
 これでもう何周目になったか?夢中になるあまりもう数えなくなった。気が付くと残りは最初の半分近くまで減っていた。元クラスメイトは十数名にまで減り、王族もあの二人以外全くいない。こんなことならもっと早く「これ」を使えば良かったな。不死相手への復讐・拷問にうってつけの技能があるんだから...!
 全員復活したのを確認して、とっておきを発動した。

 「王毒!」

 そこから先は、文字通り阿鼻叫喚の地獄絵図だった。体が溶けたり痺れたりするのは序の口。全身から血が噴き出す毒、痛覚・神経が超過敏になり肌を外気にあてるだけで激痛が走る猛毒、精神崩壊をきたす幻覚を見るようになる劇毒。この毒は...ほう、奴らの肌が爛れていく......やがて毒は肉を焼き、骨にまで到達。かつて経験したことないだろう毒による激痛が、奴らを容赦なく苦しめた!
 などなど...俺自身も初めて見る毒がたくさん出てきて、そのお陰でさらに数回分の殺害はこいつで楽しませてもらった。

「「「「「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」」」」」
「「「「「痛い”い”い”い”い”い”苦しい”い”い”い”い”!!!」」」」」

 その時の連中の顔や悲鳴声といったらwwもう最高に笑えたねっ!!血と涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながらだらしなく助けを求めてのたうち回る、王族の威厳など微塵も感じられない様だったなぁ、あの二人も。
 安藤と鈴木なんか、俺に縋りつこうとしたものだから、蹴り飛ばして王毒の沼に沈めてやったわwたくさんの毒に冒されて断末魔の叫びを上げてて超ウケたw

 ああ、良い!良いぞ!今この時間が本当に幸せに感じられる。不快に思っていて殺しても殺したいと思い続けたこの生きる価値無し蛆糞ゲロゴミカス共をこんな閉鎖空間で、ほぼ全員同時にまた死と恐怖を与えられるのだから!

 
 今、この時この瞬間、俺はとても幸せな男になれてる!!そう実感せずにはいられなかった。


 「もう殺すなんて言わない!復讐なんて考えてません!二度と甲斐田様に害意を持ちません、服従します!赦してくださいぃ!!」
 「我が悪かった、間違っていた!お主を許可無くこの世界に呼びだして不遇を強いて死なせたこと、本当に反省している!お主に罪を償うチャンスをくれ...下さい!だからこれ以上殺さないでくれ、苦しめないでくれぇ!!」

 屍族として生き返り俺を殺そうと襲ってきた悪霊どもが、必死になって赦しを乞うている。なんて無様だ!折れるくらいなら初めから蘇ってくんな、っつー話だわ全く。
 
 だが俺は飽きることはない。不快で目障りなこいつらが嫌だと言っているこの行為を止める選択肢など存在しない。まだまだこの一方的殺戮を続けさせてもらう!
 そう思いまた殺すと、もう復活することなく、目の前にいた糞王子と老害国王が消滅してしまった。
 
 「ありゃ?術者も脆いなぁ~。それでも魔人族かってんだ。この感じだともう潮時か?もう少し遊びたかったのになぁ」

 つまんねーと愚痴りながら、残りの須藤、早川、山本、片上、安藤などを気が済むまで殴り蹴って、斬ってすり潰して、最後は一斉に爆殺して締めた。

 「ひいいいいいい!!!」
 「ご、めんな、さい...!!」
 「もう赦してえええええええええ!!」
 泣き言は聞き飽きた。消えるならとっとと消えろ。もう殺せないのなら俺の視界から消えろ。こっちの目が腐る。


 で、最後に残っているのが、絶望しきった顔の大西だが、こいつはあえて残しておいた。何故ならこいつには確認しなければならないことがあるからな。

 「ねぇねぇ大西君?テメーは生前、俺に永遠の悪夢を見せられる呪いをかけて殺されたじゃん?ここにいるってことはさー?あの悪夢ってもう見ていないことになるのかな?」

 俺の質問に大西は全身震わせながら何とか首肯する。そうか...やっぱり効果切れてたかぁ...だったらすることは一つだよね?

 「ダメじゃないかぁ。こうしてテメーを何度も殺せたのは最高だったけど、せっかく俺がプレゼントしてあげたんだ。ずっと味わっててくれなきゃ。そこで!優しい俺が......
 またあの魔法をかけてあげるよ!さらに強力なやつをさ☆」

 その発現を聞いた大西は、さらに震えて目から滂沱の涙を流して、嫌だ嫌だと呟く。俺の腕を掴んで泣き喚いた。

 「い。嫌だ...止めてくれ。あの悪夢はもうたくさんだ、嫌だ。それだけはもう赦してくれ!苦しいのは嫌だ!頭がおかしくなるのは嫌だ!もう赦してくれ!!全部俺が悪かった!甲斐田のスペックに嫉妬した俺が間違ってた!もう改心したから、俺を解放してくれ、頼む!!嫌だ、嫌だあああああああああああ!!」

 そんな必死の慈悲要求する大西に対して俺は爽やかに答えてあげた。




 「うん、じゃあ達者でな!『輪廻・獄界エンドレス・ヘル』!!」

 「嫌だあああああああああああ甲斐田ああああああ”あ”あ”あ”あ”あ”――」

 魔術を唱えた直後、喚き叫ぶ大西の口に王毒を直接流し込んでグロテスクにぶっ殺した。そして二度と復活することはなかった。

 「どうか、素敵な悪夢を永遠に、反吐が出る程クソッタレな同級生よ...なんてね」

 これにて殺戮ゲームは終了。半年前以上に最高の復讐タイムを満喫できて、俺はとても幸せだ。こんなイベントをくれた彼女には是非お礼したいのだが、ここは幻術でつくりあげた閉鎖空間。術者を叩いて解除させる他無いだろう。肝心の彼女はどこか別の部屋にいるみたいだが、どうせこの様子を見ているのだろう?ならやることは...強引突破だ。

 すううぅ、と深く息を吸って、空気と魔力と気合を十二分に溜める。臨界点に達したところで、嵐魔法を追加させて全てを解き放った―


《アッ!!!!!》


 その音は、窓ガラスはもちろん、建物の一つ二つ簡単に崩壊させ、虫や小動物なら死に至らせるレベルの大振動超音波を生じさせた。これを見ている彼女にも、聞こえて効いたはずだ。俺のこの超爆音波を。

 『――――!!!』
 パリイイィン――!!
 
 ベロニカの小さな悲鳴と、この空間に亀裂が走って割れる音がしたのはほぼ同時だった。数秒後、モノクロ世界がなくなり、最初に見た光景が映し出された。幻術は解けたようだな。所詮雑魚の小細工なんてこの程度だ。
 さて、「気配感知」...うん、見っけ。即座に移動、そして到着。


 「!!ひ、ひぃ...!」
 突然俺が現れたことに驚いたとともに、恐怖に満ちた声を漏らすベロニカ。

 「別に怒ってねーよ、礼を言いにきただけさ。ありがとうよ?テメーの召喚魔術は俺をこんなにも幸せな気分にさせてくれた。良い奴だよホント!
 まぁ......それを理由に見逃すのとは、違うけどな」

 「あ...ああ、あ...!!」

 殺気を放つと彼女は戦意喪失したのか、その場にへたり込んだ。進化した状態でありながらその様は呆れるなぁ...。まぁいいや、殺そ―




 「―そこまでだ、カイダ。そいつは殺させないぞ」

 ―腕を振り上げた刹那、真後ろから殺意が込められた声がして、即座にベロニカから離れる。彼女の傍にはいつの間にか、“あの男”がいた。
 やっと......お出ましかぁ!
 因縁の、復讐対象にしている魔人族の名を、どもった声で口に出した...!



 「よぉ、久しぶりだなぁ。ザイ―トぉ......!!」









*幻術を破った絶叫シーンは、『グラップラー刃牙』17巻120ページのシーンを元ネタとして書きました。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品