ゾンビになって生き返ったので 復讐してやる

カイガ

第6章前編 104話「修行」


 翌日から俺はアレンや他の鬼族たちから拳闘や蹴り技、急所の突き方などの格闘術を学ぶ生活を始めた。小学生時代ある程度格闘技を修めていたのだが、アレンたちが教える技は全てそんなものを軽く凌駕するレベルだった。今まで身につけてきた技術は一旦忘れて、完全な初心者として取り組むことにした。

 「そこで腕はこう...そうそれで正解。で、下半身はこういう感じに―」

 アレンは教えが上手だった。俺自身も飲み込みと要領は良い方なので、教えられたことを次々吸収していった。まぁ飲み込み早い理由は、俺の固有技能「武芸百般」のお陰もあるが。技を習得する度に強くなっていく気がして、楽しくさえ感じられた。
 俺は教えられるばかりではなく、アレンたちの修行の相手もしてあげた。といっても俺の修行も兼ねている。彼女たちが色んな技を繰り出して俺はそれを委細しっかり観察して実際にくらってみたりして、試合を通して彼女たちの技を習っていった。
 時には、竜人族たちにも技を見せてもらい、試合を通して習わせてもらった。
 鬼族は激しくも的確に急所を突く要領の良い技。
 竜人族は俺と似た要素があり、自身の筋肉を自在に伸縮・肥大化させて、必要な部分に集中して魔力を集めて攻撃させるという己の身体を完全にコントロールする技。
 それぞれ異なる技だがどれも俺にとって強化には必要不可欠要素であったので、全力で集中して技を物にしようと日々修行に励んだ。
 竜人族たちだが、「限定進化」で姿が漫画やアニメで見た通りの竜になっても、彼らが繰り出す武術のキレは洗練されたもので、きれいだった。彼らの動きを1ミリたりとも見逃さず記憶し、分析して真似をして、学びまくった。
 竜人族たちの進化した姿だが、それはもう“カッコいい”の感想に尽きるものだった。某モンスター狩りゲームに出てくる竜種のモンスターを画面から引っ張り出してきたような感じで、“ああ、異世界に来たなぁ”という想いが強く出た瞬間だった。
 特に族長のエルザレスとナンバー2・カブリアスの二人が竜人族の中でずば抜けていた。あいつらでSランクモンストール数体と渡り合えるレベルだ。




エルザレス 150才 竜人族(蛇種) レベル150
職業 戦士
体力 100000
攻撃 50000
防御 60000
魔力 30000
魔防 60000
速さ 20000
固有技能 蛇竜武術皆伝 魔力光線(炎熱 嵐 光) 大地魔法レベル8 
炎熱魔法レベル8 嵐魔法レベル8 光魔法レベル8 大咆哮 瞬足 気配感知 隠密 限定進化





カブリアス 85才 竜人族(蛇種) レベル120
職業 戦士
体力 75000
攻撃 55000
防御 37000
魔力 39900
魔防 35000
速さ 30000
固有技能 蛇竜武術皆伝 水魔法レベルⅩ 雷電魔法レベルⅩ 嵐魔法レベル9 暗黒魔法レベル8 魔力光線(水 嵐 雷電 暗黒) 大咆哮 魔力防障壁 
気配感知 限定進化




 これらは限定進化した状態の時に「鑑定」したステータスだ。アレンを大きく上回る強さを持っている。俺やザイ―ト以外で魔法レベルⅩを習得してる奴なんて初めて見た。二人とも蛇とは言うが見た目が完全に龍だ。蛇って先祖が龍だったのかもな。
 特にカブリアスは蛇種でもさらに珍しいとされている“白蛇”...空を舞う蛇竜だ。このフォルム、ゲームに出てきた嵐を呼ぶ白い龍にそっくりだ。素質は歴代戦士最強らしい。時期族長はこいつに違いない。
 この二人とは割とガチ目に実戦修行を行った。お陰でレベルが上がった。

 「コウガの奴...他の竜人戦士や鬼族の奴らよりも修行に精を出しているな。あれだけ強いというのに尚も満足せず上を目指すあの姿勢には、見習うところがある」
 「それだけ魔人族が脅威ってことか...親父は、魔人族のこと知っていたんだったな?あいつらの強さは知ってたのか?」
 
 俺の修行に対する姿勢に評価するエルザレスに、カブリアスが魔人族のことを聞いていた。エルザレスは確か150才...あの年齢ならザイ―トたちのことも知っていたかもしれないな。俺も少し聞いてみるか。

 「......ああ。かつて俺もあいつらと戦ったことがある。殺されかけた経験もあった。あいつらは強い。それは紛れもない事実だ。...そうだな、俺の知ってる範囲で少し奴らについて話すか」

 そう言って俺とカブリアスに魔人族について教えてもらい、奴らについて色々知った。そして、先代異世界召喚組についても教えてもらった。

 それは、俺にとって価値ある話だった。


 「魔人族と、コウガと同じ世界から来た人たちのことを、教えてくれたの?」
 「ああ、エルザレスは100年前から戦士として生きていた男。ザイ―トのことも少し知っていた。先代の召喚された人間のことも、なっ。ところで...加減はどうだ?」
 「んっ♪良い!それ好きぃ。もっと♪」

 夜は3人用の寝室部屋で(何でか、寝る時は3人部屋となっている)色々お話をして過ごしている。たいていこの時間は、アレンと約束した“何でも言うこと聞く”を叶える時間に使っている。最初の時に、疲れが和らぐようなことをして欲しい、という要望だったので、トレーニング後のマッサージケアを施した。
 それがアレンにはたいそうお気に召したようで、毎回これをやることになっている。脚に軽い手圧を加え、全体を擦り、トントンと優しくたたく。スポーツやっている身としてはこういう技術も必要になってくるので、一通り身にはつけている。
 アレンが気持ちよさそうに顔を緩めている様を、カミラはいと羨まし気に見つめている。
 
 「カミラも、コウガにやってもらえば良い。とってもいいよコレ」
 「で、ですが、二人と違って私はマネージャーのような立ち位置で...むしろ私がコレをする身であるべきなのですが...!コウガみたいに上手くできなくて、うう」

 アレンに勧められるも修行していない身であることを理由に遠慮してしまいやや奥手になっている。そんなカミラに俺は苦笑しながら、

 「カミラもみんなのサポートに回りまくって少し疲れてるだろ?後でやってやるよ。遠慮無しな」
 と言ってあげた。
 「じ、じゃあ...お願いします//」

 照れながらも俺におねだりした。その仕草に少し照れたのは秘密だ。

 「...一緒に強くなろうな。魔人族を倒して、鬼族を完全復興して、復讐を完遂して、俺たちが楽しく暮らせる世界にするんだ...」
 「うん...!そうだね」
 「ついていきます。どこまでも」

 俺の言葉に二人とも快く答えてくれた。強くなる。ここで、これから数日、数か月間でさらに上へ...!俺の復讐はまだ終わってはいない。

 この後カミラにもマッサージを施した。艶めかしい、可愛い声を出して良い反応をしてくれた。以降カミラも毎晩マッサージをねだるようになったとさ。



 「明日も強い技を身につけて、俺自身の質を上げてやる。ザイ―ト...テメーなんかすぐに追い越してやるからな...!」

 




――そして、修行を完了した頃には、半年もの時間が経過していた。
 ここから全てが再び動き出す...!!




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