ゾンビになって生き返ったので 復讐してやる

カイガ

49話「須藤の罪状」

 須藤。
 こいつは山本や片上ほどではないが、大西とけっこうつるんでいた。見た目が不良っぽい格好をしていたな。今も胸元はだけた服を着ているクソキモい格好だ。
 そんなゴミクズも、元の世界でもここでも俺不を不快にさせた。殺すべき害悪だ。

 「何でお前がここにいるんだよ?雑魚のお前がこの惨状下でよく生きていられたな?w」
 
 ここでもなお、俺をディスってくるか。殺害直前でまだ俺へのヘイトを溜めにくるとか、実に復讐のしがいがあるクソゴミ野郎だよホント。

 「テメーも俺を害し、不快にさせたゴミクズ野郎だよなぁ。だから、あの5人と同じレベルの痛み苦しみ絶望恐怖を与えて殺すとしよう」
 「あ?何が害だよ害虫が。ハズレ者のカスが粋がって―」

 俺は短気なので、言い切る前に須藤のキモくおしゃべりな口めがけて死なない程度に殴りつける。バキボキと音が鳴って吹っ飛んだ。感触からして、前歯が折れたな。2バウンドして無様にうつ伏せに倒れる。休ませる間も与えず、髪を乱暴に掴んで立たせる。顔を見ると、前歯だけじゃなく、下の歯もへし折れていた。初めて見たよ。上下とも折れてるのは。

 「あっという間にブサイクに変貌したな。歯茎真っ黒のクソヤニカス野郎。」
 侮蔑たっぷりに罵ってやる。須藤の目はまだ怒りに染まっている。そうこなくては面白くない。まだ始まったばかりだからな。

 「うるせぇんだよ!よくも俺の顔面に傷入れやがって!ぶっころ―(ドゴッ!)お...あ...!?」

 まだそんな口が利けるようなので、容赦なく腹パンする。元の世界だったら鳩尾に衝撃が走って呻く程度で済んだだろうが、チート化した俺のパンチが加減しているとはいえただで済むはずがない。どうなったかというと...

 「う...ぐ......うぉ、え......え、げ」
 
 内臓破裂だ。加減無しだと風穴だが。血の塊をごぼりと吐いて、早くもグロッキー状態になってしまう。

 「あ...?ええ?何だよこれ......あり得ねぇよ。おかしいだろ。なんでお前なんかが、こんな力を...。」
 「そりゃお前、簡単だろうが。一度死んで、復活して、そこから色々敵を倒しまくって、チートな強さを手にしたんだ。努力の賜物だよ。テメーらみたいな、ままごと訓練とは違って、文字通り命がけの実戦を経て手にした力だ。―っと解説はもういいよな?
 もう我慢できないんだよ。お前を苦しめて、痛めつけて、屈辱と絶望を味わわせてぶち殺してやりたいんだよぉ!!」

 言ってる途中で感情的に叫び、顔も般若みたいな形相になってる気がした。
 事実、俺を見ている須藤の顔は、怯えや恐怖で歪んでいた。

 「その前に、振り返ってみようか。テメーが俺にどんな害を与えたかを。テメーがどれだけ俺を不快な気分にさせたかを。」
 血が混じった咳をする須藤を睨みながら、丁寧に回想を語る。



 
 高校1年の春、俺が住んでいたマンションに、隣部屋に引っ越してきた家族らしき入居者たちがいた。それが、この須藤一家だ。
 挨拶しにくる様子はなかったので、俺も無視を決め込んだ。このまま一切干渉することはないと思っていた。
 ところが数か月後、就寝時間の時に隣から音が漏れてきた。明らかに大音量で音楽を流しているなと思い、その犯人も最近引っ越してきた須藤だとすぐ確信した。ベランダに出て、すぐに止めろと言ったが、聞こえてなかったのか、反応無し。しばらくすると音が止み、静かになったが、俺の不快指数はこの時から高められてていた。
 その翌日の夜もまた音が漏れていた。流石に堪忍ならず、ベランダに出て止めさせようとすると、須藤本人もベランダに出ていた。―タバコをふかして。
 
「おい、昨日から音がお前の部屋から漏れてんだ。今すぐ止めろ。あと、俺の前でタバコを吸うな。受動喫煙させるな。迷惑するんだよこっちは」

 俺の抗議に対し、このゴミクズは逆ギレして、そのまま吸い続け、音もそのままにしやがった。
 キレた俺は、部屋にあった飲みかけの水ペットボトルをタバコにぶっかけて無理やり消した。それに対してまたも逆ギレした須藤は、部屋を出て、俺の玄関ドアに蹴りを入れやがった。
 その後、両親と向こうの親を交えての話し合いが行われ(当事者の俺らは顔合わせはマズイとされ、はぶかれた)、結果は須藤が起こした騒音と禁煙指定のマンションにも関わらず喫煙したことのダブルペナルティによる相手の慰謝料支払いと部屋退去でこの件は終わりになった―かと思った。
 数日後、俺の下駄箱にタバコの吸い殻が大量に詰められていた。須藤がやったと気付いた俺は、放課後、校門から少し離れたところで奴を待ち伏せして、出てきたところを捕らえて、詰問する。すると奴は、すぐ自白して、逆上して俺に殴りかかってきた。
 今までの分を込めて、俺は返り討ちにして、足腰立たなくなるまで痛めつけた。だが、俺の気が晴れることはなかった。
 こいつを、完全に殺さないと、気が済まなかったのだ...。
 
 3年生に進級すると、俺を敵視していた大西どもと同クラスになった時、須藤はあいつらに近づき、俺を孤立・イジメに追いこむ仲間として結託して、俺への嫌がらせを再開させた。暴力で勝てなければ、陰湿な手段で俺を攻撃するという、つくづく人間のゴミカス野郎だ。オマケに受動喫煙もさせて人の健康まで害する、ある意味大西よりもヘイトを溜めているゴミクズ野郎だ。
 いつか物理的にも社会的にも制裁してやろうと俺は学校生活を過ごした...。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品