ゾンビになって生き返ったので 復讐してやる

カイガ

13話「ボーナスステージ」

 
 あの後、人型モンストールが追ってくることはなかった。それでも念のため1時間近く走り続けた。そして気を取り直して、手当たり次第にモンストールどもを食らいまくった。
 驚くことに、二回目以降で遭遇した奴らは全て俺の敵ではなかった。最初の人型の奴が強過ぎたのだ。倒してもいないのにレベルが100も上がるくらいだしな。あんなキチガイレベルがたくさんいては困るしな。
 
 そんなこんなで、奇襲をかけた捕食行為で大半のモンストールを仕留めてしまった。中には、真正面から戦ったこともあったが、「硬化」を纏った左腕でストレートをおみまいしたら、相手は爆散してしまった。某ワンパン主人公よろしく展開だった。
 因みに、この瘴気の空間にいるモンストールどもは、全てサイズがGランク級だった。つまり、今の俺は単独でGランクを余裕で葬れるくらいの戦力を持っているのだ。
 ここにきて、体力も心も戦力差にも余裕ができた俺は、固有技能を「略奪」すべく、色んなモンストールと対峙してきた。
 
 カメレオン型から「隠密」の上位互換、「迷彩」を奪い、
 
 蜻蛉型から動体視力を格段に向上させる「複眼」を奪い、
 
 カラス型から暗闇もよく見えるようになる「夜目」を奪い、
 
 ナマズの魚人型?から「危機感知」「気配感知」を奪い、
 
 ワニ型から「略奪」をより早く済ませる「早食い」を奪い、
 
 単眼鬼(キクロプ)のような奴から相手のステータスを表す「鑑定」を奪い、
 
 火を使いこなす獅子型を倒して、火魔法が使えるようになり、
 
 風を操る鷹型を倒して、風魔法が使えるようになり、
 
 重力を自在に変えられる牛型を倒して、重力魔法が使えるようになり、
 
 魔力を込めた光線を吐く化け物を倒して、色んな魔力光線を放てるようになり、
 
 土砂を自在に操るモグラ型を倒して、土魔法が使えるようになりetc....。
 何種類ものモンストールを狩りまくった。
 
 元の世界にいる動物から、ファンタジー系の魔物や魚人といった空想的生物があちこちに生息していた。魚人がいる以上、水も一応あったし、海洋生物型もいた。
 普通の人族にとってここは死同然の地獄だろうが、ゾンビとなった俺にとってはボーナスステージのような場所だ。俺を強くしてくれる素材があちこちにころがっているのだから。生前の俺なら即死んでいただろうが。
 まぁ食われずに死体が残れば、ゾンビになって今みたいになれただろうが。
 

 こうしてモンストール狩りをしつつ、地上を目指して上っていくというのを繰り返しまくっているうちに、俺は異次元の強さを手にしていた。




カイダコウガ 17才 人族 レベル553
職業 ゾンビ
体力 0/55550
攻撃 36000(363000)
防御 32700(335000)
魔力 29000(286500)
魔防 25700(230000)
速さ 50000(600000)
固有技能 全言語翻訳可能 逆境強化 五感遮断 自動再生 略奪 感染 制限解除 瞬足(+縮地、神速) 身体武装化 魔力障壁 硬化 迷彩(+認識阻害、擬態) 複眼 夜目 危機感知 気配感知(+索敵) 早食い 鑑定 見切り 剛撃 炎熱魔法レベルⅩ 嵐魔法レベルⅩ 水魔法レベルⅩ 重力魔法レベルⅩ 大地魔法レベルⅩ 暗黒魔法レベルⅩ 魔力光線全属性使用可 武芸百般

 
 とうとう「逆境強化」が発動していなくてもGランクを余裕で倒せるくらいのレベルになってしまった。戦闘法も肉弾戦だけじゃなく、魔法など魔力を使った攻撃も可能に。
 魔法にはレベルがあり、1~9まで分類されているのだが、さらに極めるとレベル「Ⅹ」と表示されるらしい。普通は魔法のレベルをⅩにするには、半世紀分程の訓練と戦闘経験を積んでようやくというくらい時間がかかり、1種類でも取得できれば、国宝ものらしい。ま、俺は数日間で6種類いけたが。
 
 魔力光線とは、簡単に言うと「ビーム」だ。これを習得した時はテンション爆上げだったぜ。男にとってビームってなんかロマンじゃない?それからのモンストール戦では、ほぼこいつで倒してたなー。
 
 さらに、「瞬足」や「迷彩」など複数の技能を同時に使える複合技能もいくつか発現した。似たような技能を持ったモンストールを狩ると複合技能として同時発現ができるようだ。
 ともあれ、人型のあいつを除けば、この周辺で俺に倒せないモンストールはもういない。それにこれだけの固有技能を手に入れれば、もういいだろう。
 
 潮時だ。そろそろ地上へ行こうか。ボーナスタイムは終わり、復讐の時間といこう。
 ひたすら上へ、上へと登っていき、徐々に瘴気の濃度が薄くなってきた。そして、瓦礫の山があちこちにある広場っぽいところに来たのだが、どうも既視感がある場所のような気がする。
 そう思い、周りをよく見ていると、モンストールがいたのだが、そいつらは...
 

 「グルウァァァァァァ...!!」
 
 死ぬ前の俺を追い詰めて、崖から落としてくれやがったあのモンストールたちだ。ハリネズミも、ゴリラも、あの時いた奴ら全員まだここにいやがった。

 「...くくくく、ちょうどいい。はじめの復讐相手はてめーらといこうか。あの時やられまくった借りを返してやるよぉ!!!」


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