ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第5話 弱点
「殺れ!!」
ゼウスは天使たちに向けて号令をかける。
すると、アレンの近くに居た10人の同じ顔、同じ体型をした金髪の女…天使が同時に襲い掛かってきた。その全員が携えている黄金の剣が不気味な輝きを放つ。
「くっ!?」
アレンは焦る。恐ろしいほどにこの天使たち、連携がしっかりとれているのだ。剣を避けた先にはほかの天使の剣先が。それをまた避けるとまたもやほかの天使の剣先が目の前に迫る…だが、恐ろしいほど強化されたアレンの身体能力で、強引に避け続ける。
剣を使おうにも、あの天使たちがどのような能力を持っているか分からない…。最悪、殺した瞬間に何らかの罠で身動きを封じられかねないとアレンは思う。
頭の中は焦りと心配でごちゃまぜだ。この間にもリリアのあられもない嬌声は続いている。それがアレンの思考力と集中力を奪っていた…。
だが、そのリリアのイメージも徐々に薄くなっていく。
数時間は闘っていただろうか。その間にことを終えたリリアはだらしなく気絶した。
「この…クズがあああああああああ!!」
ありったけの力で遠くにいるゼウスに向けて殺気を全開で放出する…。
だが、イメージはぬぐわれない。男がリリアに向けて魔法を放つと、瞬時にリリアは服を纏う。
そしてどこからか現れた黒い十字架を背にして、リリアは手と足を縛り付けられて磔にされた。
思わず剣を取り出し、周りの天使に向けてふるってしまった。だが…その体が真っ二つになっても、天使から何かの力を感じることはない。静かに魔力の光となって消えていく。
それを確認したアレンは、ここぞとばかりに力をふるう。
神すら超越せし力を。
「邪魔だあああああああああッッ!!」
その光速の剣裁きはもはや目で追うことは不可能。
怒り狂ったアレンはその銀髪を揺らし、次々と天使を屠っていく。
一体…十体…百体…!!
次々と天使の手から黄金の剣が離れ、床に転がる。
大半の天使を消しただろうか…そんな中、ゼウスの声が頭の中に響く。
遠くに見える少女のようなゼウスの声ではない。きっと奴本来の声だろう。
重厚で、全身を圧迫するようなおぞましい声がした。
『アレン。たった今…貴様が信じた者達すべてを…捕縛した!仲間たちを殺されたくなければ、今すぐ武器を放り投げ、床に這いつくばるのだ!!』
ありえない。とアレンは思う…だが同時に、奴は最高神…すべての神で、なんでもできるのではないか、という考えも浮かんできた。
『聞こえなかったのか!!…そうか…そうであれば…いいだろう…』
嫌な予感が襲ってくる。
そして、その予感は当たることになった。
少女の姿をしたゼウスの隣に、磔にされたクローディアとリリアの姿が…アレンの眼に映る。
千の天使がアレンによく見えるように、攻撃を続けながらもゼウスがよく見えるような立ち位置に移動する。
黒い十字架に両手と両足を縛りつけられ、身動きが取れなくなっている二人を見たアレンは、思わず唇をかみしめる。血がにじむほどに。それは、先ほどまでの映像が本当だったという証拠に他ならなかったからだ。
そして、クローディアが叫ぶ。
「アレン!私たちのことは気にしないで…!コイツを…早くこいつらを倒して!!」
あらんかぎりの力で叫ぶクローディア。その目には確かな覚悟の光が宿っている。
「そうですアレン!!私たちは大丈夫です…!!早く…早くこいつらを…!」
リリアも必死で叫ぶ。どうか私たちは気にしないで、奴を殺せ、と。
それを見て、ゼウスは嗤う。そして、瞬時に長身で体格のいい、胸まである黒いひげを生やした壮齢の男に姿を変えた。
「くはは…!非常に、一途でいい女たちではないか…!?なぁ、アレンよ…?…思わず朕も手を出したくなってしまいそうだ…!そうだアレンよ…朕が今からこいつらを犯す…いい案ではないか!?楽しそうだろう!?」
「貴様ぁあああああああああああッッ!!!!殺ス!!絶対にコロシテやるッッ!!」
「いいのか…?それではこいつらも死ぬことになるぞ…?それでもいいというのか!?とんだ夫もいたものだなぁ!?ほかの男に犯されてもなお、一途に夫を愛し続けているというのにその仕打ち…とても人間が下す判断とは思えぬな!!」
アレンの心に迷いが生じる。
ゼウスの言うことももっともだ。すでに二人は敵の手に落ちてしまった…だが、それでも自分を慕ってくれているその姿を見て…長くはないが、短くもない間、アレンは手を止めてしまう。
その隙に…アレンは付け込まれてしまった。
床から音もなく現れた黄金の鎖。
「なっ!?」
だが、気付いた時にはもう遅い。
すでに身動きできないほどの量の鎖が体に巻きつけられ、アレンの動きを止めてしまった。
それを見ていたゼウスはニタリ、と不気味な笑みを浮かべた。
「くはははは!!アレンよ…やはり貴様も人間だったなぁ!?…くだらぬ感情に惑わされたか…それが貴様の弱点だ!……今ここで殺しはせん…たっぷりと、楽しませてくれよ…?なぁ…神は、暇なんだ…。」
本当に楽しそうにゼウスは嗤う。
「……さて、貴様と、貴様の嫁は、どこまで朕の責め苦に耐えられるかな…?くっくっく…はっはっは!…転移『天界の牢獄』!!」
…こうして、アレンは捕まってしまった。
どことも知れぬ天界の牢獄に。
ゼウスは天使たちに向けて号令をかける。
すると、アレンの近くに居た10人の同じ顔、同じ体型をした金髪の女…天使が同時に襲い掛かってきた。その全員が携えている黄金の剣が不気味な輝きを放つ。
「くっ!?」
アレンは焦る。恐ろしいほどにこの天使たち、連携がしっかりとれているのだ。剣を避けた先にはほかの天使の剣先が。それをまた避けるとまたもやほかの天使の剣先が目の前に迫る…だが、恐ろしいほど強化されたアレンの身体能力で、強引に避け続ける。
剣を使おうにも、あの天使たちがどのような能力を持っているか分からない…。最悪、殺した瞬間に何らかの罠で身動きを封じられかねないとアレンは思う。
頭の中は焦りと心配でごちゃまぜだ。この間にもリリアのあられもない嬌声は続いている。それがアレンの思考力と集中力を奪っていた…。
だが、そのリリアのイメージも徐々に薄くなっていく。
数時間は闘っていただろうか。その間にことを終えたリリアはだらしなく気絶した。
「この…クズがあああああああああ!!」
ありったけの力で遠くにいるゼウスに向けて殺気を全開で放出する…。
だが、イメージはぬぐわれない。男がリリアに向けて魔法を放つと、瞬時にリリアは服を纏う。
そしてどこからか現れた黒い十字架を背にして、リリアは手と足を縛り付けられて磔にされた。
思わず剣を取り出し、周りの天使に向けてふるってしまった。だが…その体が真っ二つになっても、天使から何かの力を感じることはない。静かに魔力の光となって消えていく。
それを確認したアレンは、ここぞとばかりに力をふるう。
神すら超越せし力を。
「邪魔だあああああああああッッ!!」
その光速の剣裁きはもはや目で追うことは不可能。
怒り狂ったアレンはその銀髪を揺らし、次々と天使を屠っていく。
一体…十体…百体…!!
次々と天使の手から黄金の剣が離れ、床に転がる。
大半の天使を消しただろうか…そんな中、ゼウスの声が頭の中に響く。
遠くに見える少女のようなゼウスの声ではない。きっと奴本来の声だろう。
重厚で、全身を圧迫するようなおぞましい声がした。
『アレン。たった今…貴様が信じた者達すべてを…捕縛した!仲間たちを殺されたくなければ、今すぐ武器を放り投げ、床に這いつくばるのだ!!』
ありえない。とアレンは思う…だが同時に、奴は最高神…すべての神で、なんでもできるのではないか、という考えも浮かんできた。
『聞こえなかったのか!!…そうか…そうであれば…いいだろう…』
嫌な予感が襲ってくる。
そして、その予感は当たることになった。
少女の姿をしたゼウスの隣に、磔にされたクローディアとリリアの姿が…アレンの眼に映る。
千の天使がアレンによく見えるように、攻撃を続けながらもゼウスがよく見えるような立ち位置に移動する。
黒い十字架に両手と両足を縛りつけられ、身動きが取れなくなっている二人を見たアレンは、思わず唇をかみしめる。血がにじむほどに。それは、先ほどまでの映像が本当だったという証拠に他ならなかったからだ。
そして、クローディアが叫ぶ。
「アレン!私たちのことは気にしないで…!コイツを…早くこいつらを倒して!!」
あらんかぎりの力で叫ぶクローディア。その目には確かな覚悟の光が宿っている。
「そうですアレン!!私たちは大丈夫です…!!早く…早くこいつらを…!」
リリアも必死で叫ぶ。どうか私たちは気にしないで、奴を殺せ、と。
それを見て、ゼウスは嗤う。そして、瞬時に長身で体格のいい、胸まである黒いひげを生やした壮齢の男に姿を変えた。
「くはは…!非常に、一途でいい女たちではないか…!?なぁ、アレンよ…?…思わず朕も手を出したくなってしまいそうだ…!そうだアレンよ…朕が今からこいつらを犯す…いい案ではないか!?楽しそうだろう!?」
「貴様ぁあああああああああああッッ!!!!殺ス!!絶対にコロシテやるッッ!!」
「いいのか…?それではこいつらも死ぬことになるぞ…?それでもいいというのか!?とんだ夫もいたものだなぁ!?ほかの男に犯されてもなお、一途に夫を愛し続けているというのにその仕打ち…とても人間が下す判断とは思えぬな!!」
アレンの心に迷いが生じる。
ゼウスの言うことももっともだ。すでに二人は敵の手に落ちてしまった…だが、それでも自分を慕ってくれているその姿を見て…長くはないが、短くもない間、アレンは手を止めてしまう。
その隙に…アレンは付け込まれてしまった。
床から音もなく現れた黄金の鎖。
「なっ!?」
だが、気付いた時にはもう遅い。
すでに身動きできないほどの量の鎖が体に巻きつけられ、アレンの動きを止めてしまった。
それを見ていたゼウスはニタリ、と不気味な笑みを浮かべた。
「くはははは!!アレンよ…やはり貴様も人間だったなぁ!?…くだらぬ感情に惑わされたか…それが貴様の弱点だ!……今ここで殺しはせん…たっぷりと、楽しませてくれよ…?なぁ…神は、暇なんだ…。」
本当に楽しそうにゼウスは嗤う。
「……さて、貴様と、貴様の嫁は、どこまで朕の責め苦に耐えられるかな…?くっくっく…はっはっは!…転移『天界の牢獄』!!」
…こうして、アレンは捕まってしまった。
どことも知れぬ天界の牢獄に。
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