ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第10話 不死族覚醒
「ここは…どこだ?」
アレンは、どこまでも暗いところで目を覚ましたように感じた。
だが意識ははっきりとしていない。
「夢、か?」
腹の痛みも、風穴もふさがっている。
それを確認すると、夢であることを確信した。
とたんに意識を失う前の記憶を思い出し、俺ははらわたが煮えくりかえるような思いに駆られる。
油断しすぎたのだ。絶対の力を持ちながら、たかがチートっぽい能力もちの男にやられるとは…自分のふがいなさに憤慨していた。
全部、俺のせいだ。
セルリアがあいつに捕らわれたのも、商業都市のみんなを危険にさらしたのも、全部俺のせいだ。
「クソっ!!」
床を思いっきりたたく。
「おやおや、どうしてそんなに怒っているんだ?同族よ。」
「誰だっ!?」
てっきりここは夢の中だと思っていたが、男の声がいきなり聞こえた。
あたりを見渡す…そして、得体のしれない黒き塊を見つけた。
「誰だ…とはまたご挨拶だな…君と同じ、不死族だよ。ただし、君とは発生の時期も、理由も違うようだけど。」
「…不死族…。それに、俺と同じ、だと?」
黒き塊は、次第に人と思われる形をとってゆく。
みるみるうちに美形の男にそれは形を変えた。
白銀の長髪が美しく光り輝いている。
「どういうことだっ…!ここはどこなんだ!?」
俺は状況が理解できずに目の前の男に問いただす。
彼は首を振ってこたえる。
「私だってわからない。だが、確かなことが一つだけある。ここは、実際に君の頭の中で起こっているわけじゃない。君の思念が、私の思念と繋がったのだ…。まったく、不思議なものだな…君には会えない予定だったんだが。」
「わけがわからない…」
「それは私だって同じだ。だが、君が今置かれている状況と、君が今何を望んでいるのかは私には手に取るようにわかる。…あの勇者を殺したいのだろう?」
「ああ……」
「そうか。じゃあ、君に助言をしてやろう。」
「は?」
俺は頭がおかしくなったのか?
目の前のこいつが誰だかわからないが、こいつは俺の望みを知っているという。
意味が分からないが、このまま殺されるわけにはいかない。
セルリアも、クローディアも、リリアもみんなまだ生きてるんだ。
俺だけこの世界から退場なんて…ごめんだ。
どんなことがあっても、彼女たちを残してなんて、逝けるはずがない。
「君の愛する者すべてを救うには、神を、最高神を殺すしかない。」
「最高神…またそれか…」
「そう。それがすべての元凶だ。私が死んだのは、アテネとか言うガキのせいだが…死後の世界は、割と悪くないものだったよ。」
「そんな死後の世界の話はどうでもいい。その最高神とかいうクソを殺せば俺たちは平和に暮らせるのか?」
俺は確認を取る。
彼は静かに頷いて言葉を続ける。
「そうだ。奴さえ殺せれば…君たちはきっと平和に暮らせる。君にはそれを為すだけの力がある。」
俺はその言葉を聞いて、決めた。
最高神とかいう糞野郎をぶっ殺す…と。
神だか何だか知らないが、俺たちを殺そうってんなら、相手になってやろうじゃないか。
「そいつはどこにいるんだ?」
俺はあふれ出る殺気を抑え、目の前の男に尋ねる。
「…君はもう、鍵を持っている。すべての欠片は揃っているんだ。強い意志を、最高神と会いたいという願いを教会に捧げれば、道は開く。」
「なんでそんなことをお前が知っているんだ…?」
「ははっ…ずっと見ていたからね。君は不死族の因子を持って転移してきた。その様子を、私は見てたんだよ。思念体となってね。しかも、私を殺した相手…アテネのことも同時にみてた。彼女も、いろいろと不満がたまっている様だったし、君が最高神の元へとたどり着けるように細工をしていたのも知っている。…彼女は敵じゃないから、殺すなよ?ラズエルは最高神に敬意を払っている様だから、注意した方が良い。」
「…なんで、俺に不死族の因子が宿ったのかは知っているか?」
「単なる偶然だろう。アテネ達の会話を聞く限りは本当に、偶発したスキルによって、君は奇跡的にここまでの強さを手に入れた。幸運なこと…いや、もうこれは運命じゃないかな?」
「冗談じゃない…じゃあ俺は最高神を殺すために、この世界に来たってのか?」
「…そういうことになるね。色々な思惑が働いていたし、最高神も遊びで源神を君にけしかけていたようだけど、それらは全部運命だ。神すら読みえない運命なんて聞いたことが無いけれど…間違いなく、最高神を殺せる可能性を持つものと言ったら、数多の世界を見ても、君しかいないんだから。」
「…ぶっ飛んでるな。色々と。」
「全て真実だ。いいかい?君は今、気絶しているだけだ。現実世界でも刻々と時間は流れてる。早く起き上がれ。防御力無視?そんな物本当の君の力の前じゃ、無意味なものだ。…しかし君は馬鹿だね。いくら数回は死ねるからって、あの時全方位に障壁を張ってれば助かったのに…力を過信しすぎだよ。」
痛いところを指摘され、俺は数歩下がる。
だが、数回死ねる?そんなのは初耳だ。
「だけど、そんなものかもしれないね。たかが人間…しかも争いも何もない平和な国、時代に生まれてきた君なら、それもしょうがないことだ。」
悔しさに俺は唇をかむ。
そう、すべて、俺の油断が招いたものだからだ。
それを見て、目の前の彼は大きく息を吸込み、叫ぶ。
「悔しいかい?…だったら、早く目覚めて、全部吹き飛ばして来いっ!!」
彼のその声を最後に、アレンの体は消える。
その場に残ったのは、白銀の髪をした彼だけだ。
「力は全て君に与えよう…私には必要のないものだから………だけど…ようやく……奴の…最高神の、死の布石が揃った…やっと……やっと……。」
彼はその言葉を最後に、どこへともなく消え去った。
――――――
床から伝わる冷たい感触。
俺はそれを認識して目が覚める。
誰かと誰かが闘っているのが見えたが。途端に、目の前をログが流れ、俺の視界が遮られた。
ー不死族として覚醒しました。ー
ー使い魔並びに配偶者が主従関係により、不死化。-
ーあなたの能力の25%が、使い魔と、配偶者に伝播しますー
ー配偶者と使い魔のすべての状態異常が無効化されましたー
ー状態異常:呪い 解除 対象、使い魔ヴァイル、アレンー
そのログが流れた瞬間、傷口の呪いが解けていた。
そして、自然治癒能力が自動で働き、傷がすべてふさがれた。
ー残存命数 4 -
ーメッセージがありますー
ー頑張れ。アレン君。私は君のことを応援しているからね。不死族化は一応自分の意志で解くことができるからね。さぁ…力はもうその手にある。あとは…最高神を殺して、君自身の運命の道を征くんだ-
ーメッセージは以上ですー
聖国の中心にある塔の最上階で、彼は覚醒した。
並び立つものが存在しないほどの、強い力を持って。
アレンは、どこまでも暗いところで目を覚ましたように感じた。
だが意識ははっきりとしていない。
「夢、か?」
腹の痛みも、風穴もふさがっている。
それを確認すると、夢であることを確信した。
とたんに意識を失う前の記憶を思い出し、俺ははらわたが煮えくりかえるような思いに駆られる。
油断しすぎたのだ。絶対の力を持ちながら、たかがチートっぽい能力もちの男にやられるとは…自分のふがいなさに憤慨していた。
全部、俺のせいだ。
セルリアがあいつに捕らわれたのも、商業都市のみんなを危険にさらしたのも、全部俺のせいだ。
「クソっ!!」
床を思いっきりたたく。
「おやおや、どうしてそんなに怒っているんだ?同族よ。」
「誰だっ!?」
てっきりここは夢の中だと思っていたが、男の声がいきなり聞こえた。
あたりを見渡す…そして、得体のしれない黒き塊を見つけた。
「誰だ…とはまたご挨拶だな…君と同じ、不死族だよ。ただし、君とは発生の時期も、理由も違うようだけど。」
「…不死族…。それに、俺と同じ、だと?」
黒き塊は、次第に人と思われる形をとってゆく。
みるみるうちに美形の男にそれは形を変えた。
白銀の長髪が美しく光り輝いている。
「どういうことだっ…!ここはどこなんだ!?」
俺は状況が理解できずに目の前の男に問いただす。
彼は首を振ってこたえる。
「私だってわからない。だが、確かなことが一つだけある。ここは、実際に君の頭の中で起こっているわけじゃない。君の思念が、私の思念と繋がったのだ…。まったく、不思議なものだな…君には会えない予定だったんだが。」
「わけがわからない…」
「それは私だって同じだ。だが、君が今置かれている状況と、君が今何を望んでいるのかは私には手に取るようにわかる。…あの勇者を殺したいのだろう?」
「ああ……」
「そうか。じゃあ、君に助言をしてやろう。」
「は?」
俺は頭がおかしくなったのか?
目の前のこいつが誰だかわからないが、こいつは俺の望みを知っているという。
意味が分からないが、このまま殺されるわけにはいかない。
セルリアも、クローディアも、リリアもみんなまだ生きてるんだ。
俺だけこの世界から退場なんて…ごめんだ。
どんなことがあっても、彼女たちを残してなんて、逝けるはずがない。
「君の愛する者すべてを救うには、神を、最高神を殺すしかない。」
「最高神…またそれか…」
「そう。それがすべての元凶だ。私が死んだのは、アテネとか言うガキのせいだが…死後の世界は、割と悪くないものだったよ。」
「そんな死後の世界の話はどうでもいい。その最高神とかいうクソを殺せば俺たちは平和に暮らせるのか?」
俺は確認を取る。
彼は静かに頷いて言葉を続ける。
「そうだ。奴さえ殺せれば…君たちはきっと平和に暮らせる。君にはそれを為すだけの力がある。」
俺はその言葉を聞いて、決めた。
最高神とかいう糞野郎をぶっ殺す…と。
神だか何だか知らないが、俺たちを殺そうってんなら、相手になってやろうじゃないか。
「そいつはどこにいるんだ?」
俺はあふれ出る殺気を抑え、目の前の男に尋ねる。
「…君はもう、鍵を持っている。すべての欠片は揃っているんだ。強い意志を、最高神と会いたいという願いを教会に捧げれば、道は開く。」
「なんでそんなことをお前が知っているんだ…?」
「ははっ…ずっと見ていたからね。君は不死族の因子を持って転移してきた。その様子を、私は見てたんだよ。思念体となってね。しかも、私を殺した相手…アテネのことも同時にみてた。彼女も、いろいろと不満がたまっている様だったし、君が最高神の元へとたどり着けるように細工をしていたのも知っている。…彼女は敵じゃないから、殺すなよ?ラズエルは最高神に敬意を払っている様だから、注意した方が良い。」
「…なんで、俺に不死族の因子が宿ったのかは知っているか?」
「単なる偶然だろう。アテネ達の会話を聞く限りは本当に、偶発したスキルによって、君は奇跡的にここまでの強さを手に入れた。幸運なこと…いや、もうこれは運命じゃないかな?」
「冗談じゃない…じゃあ俺は最高神を殺すために、この世界に来たってのか?」
「…そういうことになるね。色々な思惑が働いていたし、最高神も遊びで源神を君にけしかけていたようだけど、それらは全部運命だ。神すら読みえない運命なんて聞いたことが無いけれど…間違いなく、最高神を殺せる可能性を持つものと言ったら、数多の世界を見ても、君しかいないんだから。」
「…ぶっ飛んでるな。色々と。」
「全て真実だ。いいかい?君は今、気絶しているだけだ。現実世界でも刻々と時間は流れてる。早く起き上がれ。防御力無視?そんな物本当の君の力の前じゃ、無意味なものだ。…しかし君は馬鹿だね。いくら数回は死ねるからって、あの時全方位に障壁を張ってれば助かったのに…力を過信しすぎだよ。」
痛いところを指摘され、俺は数歩下がる。
だが、数回死ねる?そんなのは初耳だ。
「だけど、そんなものかもしれないね。たかが人間…しかも争いも何もない平和な国、時代に生まれてきた君なら、それもしょうがないことだ。」
悔しさに俺は唇をかむ。
そう、すべて、俺の油断が招いたものだからだ。
それを見て、目の前の彼は大きく息を吸込み、叫ぶ。
「悔しいかい?…だったら、早く目覚めて、全部吹き飛ばして来いっ!!」
彼のその声を最後に、アレンの体は消える。
その場に残ったのは、白銀の髪をした彼だけだ。
「力は全て君に与えよう…私には必要のないものだから………だけど…ようやく……奴の…最高神の、死の布石が揃った…やっと……やっと……。」
彼はその言葉を最後に、どこへともなく消え去った。
――――――
床から伝わる冷たい感触。
俺はそれを認識して目が覚める。
誰かと誰かが闘っているのが見えたが。途端に、目の前をログが流れ、俺の視界が遮られた。
ー不死族として覚醒しました。ー
ー使い魔並びに配偶者が主従関係により、不死化。-
ーあなたの能力の25%が、使い魔と、配偶者に伝播しますー
ー配偶者と使い魔のすべての状態異常が無効化されましたー
ー状態異常:呪い 解除 対象、使い魔ヴァイル、アレンー
そのログが流れた瞬間、傷口の呪いが解けていた。
そして、自然治癒能力が自動で働き、傷がすべてふさがれた。
ー残存命数 4 -
ーメッセージがありますー
ー頑張れ。アレン君。私は君のことを応援しているからね。不死族化は一応自分の意志で解くことができるからね。さぁ…力はもうその手にある。あとは…最高神を殺して、君自身の運命の道を征くんだ-
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