ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第8話 勇者との死闘
我は前方から勇者を襲撃し、敵の眼を引き付ける。
そして、我が闘っている間に、リリアとクローディアがメイドの少女と、アレンを助けだすと言う流れを組むことにした。
どうやって伝えたか?
そんな物、あいこんたくと、とかいう奴に決まっているだろう。
我は大きく跳躍し、二本の双剣を顕現させる。
あまりにも素早いため、周りの民衆は何が起こっているのか認識すらできていないだろう。
跳びながら、両手の剣に力を込める。
そして、ついに我の剣は勇者めがけて振り下ろされる。
「覚悟せよっ!!」
風切り音と共に、我の凶刃が勇者の喉を完全に軌道上にとらえた。
だが、次の瞬間。
ーキィン!
甲高い音と共に、痺れる両腕。
そう、我の凶刃がはじかれたのだ。
大きく開けた塔前の広場に我は降り立つ。
そんな我を見て、民衆は言葉を失う。
そして奴が我を睨んできた…いや、なめまわすような視線を我に向けてきた。
「いい女だ…どうせ魔王の仲間か何かか…可哀想に…君も奴の魔法で操られているんだ。目を覚ませ!そして俺に奉仕しろ!!」
そんなふざけたことを抜かしてきたので、我はもはや歯止めが効かぬ。
このような愚か者には…こう返してやろう。
「なにをたわけたことを抜かしておる!!我はヴァイル…そこに縛られて転がって居るのは、ほかに無二といない、わが主だ!!愚弄するのもいい加減にせよっ!人間如きがっ!!」
民衆が我と主を交互に見やる。
そして、我はついでにこうも言ってやる。
不安そうに突っ立っているメイドを指さしながら。
「貴様がどこのどいつか知らんが、そこの貴様が救ったというメイドは、主のメイドだ!!…ちなみに、体もすべて開発済みのなぁっ!!…貴様如きが、相手にできるメイドではないっ!主と、主のメイドを奪おうとした罪、その命で償ってもらうぞ!!盗人めがっ!!」
「なっ!?」
途端に民衆がしんと静まり返る。
「え?魔王って変態なのね…」
「流石魔王…あんな処女みたいな立ち居振る舞いをメイドにさせるとは…なかなか分っている」
「というか、アイツ本当に魔王なのか…?伝承だと多くの魔物を引き連れて、絶対に群れからは離れないとか言っていたが…」
目の前でアレンが魔力爆散を使っているところを見た兵士たちは、アレンが魔王だと信じて疑っていないが、民衆たちは実際にアレンが闘っているところを見ていた訳ではないからだ。
「皆の者っ!コイツは侵入者だぞっ!こんな奴の言うことを聞くなっ!…黙れヴァイルとやら!俺に調教されたくなかったら、おとなしく俺の剣の錆になれっ!!」
勇者は我にソレを向けてきた。
尋常ではない魔力を、ソレ自体が放っている。
モノとしては、なかなかに立派だが、アレンのソレほどではない。
え?なんの話かだと?剣の話だ!!
「クハハハ!!人間如きが、この我を殺すと!?よかろう、その勝負、受けて立とうぞっ!!」
我は神速で奴に斬りかかる。
全身の筋肉を総動員して、全力で…殺すつもりで剣をふるう。
「ふんっ!!」
だが、その一撃は奴の剣によって阻まれる。
攻撃後の隙に奴は的確に刃を向けてきた。
身体を大きく逸らし、すれすれで避けることに成功。
そしてそのまま後方へとんぼ返りし、再び一直線に我は突進する。
すれ違いざまに剣と剣がぶつかり合い、火花が飛び散る。
実力は、互角。
互角の勝負の勝敗を分けるのは、手札の多さだろうか?相手の虚を突くことか?
違う。
本当の勝敗を分けるのは、各々に秘めた『覚悟』の差だ。
覚悟が大きければ大きいほど、質が高まれば高まるほど、技のキレはよくなり、不思議と自信の内側から力が湧き上がってくるのを感じるだろう。
奴には、その覚悟が伝わってこない。
近距離であるからか、回数制限があるからか…腰にある銃のようなものを奴は使ってきていない。
そして何より、たかだかまともに打ち合う者がいるだけで、こんなにも奴は驚いていて、先ほどから能力だよりの動きしかしていないのだ。
その時すでに我は奴の罠に引っかかていた。
その、奴はもう何もできないのだ。という思い込みが、我の弱点だったのだ。
数合打ち合ったあと、我と勇者は距離を取る。
もはや民衆は周りにはいない。
槍を持った兵士たちに囲まれていた。
そして、勇者の後ろから兵士の声が上がる。
「女を二名捕らえましたっ!!」
その声を我は信じたくなかった。
あまりにも早すぎるその結末に。
奴は我に言う。
「互角だと思ったか?…互角だったよ?俺が配下の兵士全員に『最高神域強化』を施していたからなぁ…?その分処理能力が落ちちまったぜ!ハッハッハ!!」
愉快そうに笑う奴に我は怒りが湧いてくる。
「…さて…どうせ黒猫耳の女と、巨乳女だろ?なに、心配するな。お前の主は始末するが、お前と、お前の仲間は記憶を消して俺専用の奴隷にしてやる…感謝しろよ?」
「どういうことっ!?なんでこいつら、こんなに強いのよっ!?」
「私たちは魔王の手下じゃありません!!アレンの妻です!!」
クローディアとリリアが両手両足を縛られて、勇者の横に連れてこられる。
「クローディア様…リリア様…」
メイドが小さくつぶやく。
その目は絶望に染まっていた。
わが主は、未だに気を失っているようだ…鉄縄で縛られたまま、空中で微動だにしない。
我の頭はもはや怒りの限度を超えていた。
自分のふがいなさに。
そんな我を見ながら、奴は愉快そうに言う。
「なあ、ヴァイルとやら…俺と一騎打ちして、勝ったら仲間全員解放してやる…。だが、負けたときはお前の手で、この魔王を殺すんだ…。ははっ…すげえな俺…こんな思いつき、ほかにないぜ?おっと…まずこいつらに逃げられないように…【昏倒】!」
クローディア、リリア、メイドが気を失ったように石の床に体を横たえた。
奴の首をこの手で締め上げて、息の根が止まるまで叩きつけ、斬りさきたい衝動に駆られた。
「貴様ぁあああ!!」
そしてその衝動に突き動かされるまま我は剣を振る。
全身から黒い炎が噴き出す。
そして我は変化する。
かつての本来の姿…破滅を導くもの。
黒炎龍、アジ・ダハーカに。
――――――――
『グオォオォオォオォォオオオオオオオオ!!』
天をつんざく咆哮があたりに響き渡る。
大地を揺らし、空気を震わせ、周りの建物…塔を除く建物が吹き飛んでいく。
強化が解除されていたのか、兵士たちも吹っ飛んでいた。
だが、我にはそんなことは関係ない。
ただ、目の前の男が憎かった。
クローディアやリリア…そしてアレンが守ったというあのメイドが奴に蹂躙されると考えただけで、我の中の何かがはじけたのだ。
「こいつは……やはり魔王の手下…ついてこいドラゴン!!俺が全力で潰してやる!!」
目の前の巨体を目にしても、勇者田中はひるまなかった。
あろうことか、大きく跳躍し、城壁を飛びこえる。
奴を殺すために追い続けると、そこは我の巨体でも十分に広い場所にでた。
「…あの能力、まだ使ってなかったな。」
勇者が逃げながら、不敵な笑みを浮かべる。
そして、天空に剣をかざし、叫ぶ。
「天空の神々よっ!!俺に力を与えよっ!!…【神化】!!」
我は信じられないものを目にする。
『オオオオオオオオオオ!!』
全身が白く、ところどころに金のオーラを纏っている龍に、奴は変身したのだ。
そして、我が闘っている間に、リリアとクローディアがメイドの少女と、アレンを助けだすと言う流れを組むことにした。
どうやって伝えたか?
そんな物、あいこんたくと、とかいう奴に決まっているだろう。
我は大きく跳躍し、二本の双剣を顕現させる。
あまりにも素早いため、周りの民衆は何が起こっているのか認識すらできていないだろう。
跳びながら、両手の剣に力を込める。
そして、ついに我の剣は勇者めがけて振り下ろされる。
「覚悟せよっ!!」
風切り音と共に、我の凶刃が勇者の喉を完全に軌道上にとらえた。
だが、次の瞬間。
ーキィン!
甲高い音と共に、痺れる両腕。
そう、我の凶刃がはじかれたのだ。
大きく開けた塔前の広場に我は降り立つ。
そんな我を見て、民衆は言葉を失う。
そして奴が我を睨んできた…いや、なめまわすような視線を我に向けてきた。
「いい女だ…どうせ魔王の仲間か何かか…可哀想に…君も奴の魔法で操られているんだ。目を覚ませ!そして俺に奉仕しろ!!」
そんなふざけたことを抜かしてきたので、我はもはや歯止めが効かぬ。
このような愚か者には…こう返してやろう。
「なにをたわけたことを抜かしておる!!我はヴァイル…そこに縛られて転がって居るのは、ほかに無二といない、わが主だ!!愚弄するのもいい加減にせよっ!人間如きがっ!!」
民衆が我と主を交互に見やる。
そして、我はついでにこうも言ってやる。
不安そうに突っ立っているメイドを指さしながら。
「貴様がどこのどいつか知らんが、そこの貴様が救ったというメイドは、主のメイドだ!!…ちなみに、体もすべて開発済みのなぁっ!!…貴様如きが、相手にできるメイドではないっ!主と、主のメイドを奪おうとした罪、その命で償ってもらうぞ!!盗人めがっ!!」
「なっ!?」
途端に民衆がしんと静まり返る。
「え?魔王って変態なのね…」
「流石魔王…あんな処女みたいな立ち居振る舞いをメイドにさせるとは…なかなか分っている」
「というか、アイツ本当に魔王なのか…?伝承だと多くの魔物を引き連れて、絶対に群れからは離れないとか言っていたが…」
目の前でアレンが魔力爆散を使っているところを見た兵士たちは、アレンが魔王だと信じて疑っていないが、民衆たちは実際にアレンが闘っているところを見ていた訳ではないからだ。
「皆の者っ!コイツは侵入者だぞっ!こんな奴の言うことを聞くなっ!…黙れヴァイルとやら!俺に調教されたくなかったら、おとなしく俺の剣の錆になれっ!!」
勇者は我にソレを向けてきた。
尋常ではない魔力を、ソレ自体が放っている。
モノとしては、なかなかに立派だが、アレンのソレほどではない。
え?なんの話かだと?剣の話だ!!
「クハハハ!!人間如きが、この我を殺すと!?よかろう、その勝負、受けて立とうぞっ!!」
我は神速で奴に斬りかかる。
全身の筋肉を総動員して、全力で…殺すつもりで剣をふるう。
「ふんっ!!」
だが、その一撃は奴の剣によって阻まれる。
攻撃後の隙に奴は的確に刃を向けてきた。
身体を大きく逸らし、すれすれで避けることに成功。
そしてそのまま後方へとんぼ返りし、再び一直線に我は突進する。
すれ違いざまに剣と剣がぶつかり合い、火花が飛び散る。
実力は、互角。
互角の勝負の勝敗を分けるのは、手札の多さだろうか?相手の虚を突くことか?
違う。
本当の勝敗を分けるのは、各々に秘めた『覚悟』の差だ。
覚悟が大きければ大きいほど、質が高まれば高まるほど、技のキレはよくなり、不思議と自信の内側から力が湧き上がってくるのを感じるだろう。
奴には、その覚悟が伝わってこない。
近距離であるからか、回数制限があるからか…腰にある銃のようなものを奴は使ってきていない。
そして何より、たかだかまともに打ち合う者がいるだけで、こんなにも奴は驚いていて、先ほどから能力だよりの動きしかしていないのだ。
その時すでに我は奴の罠に引っかかていた。
その、奴はもう何もできないのだ。という思い込みが、我の弱点だったのだ。
数合打ち合ったあと、我と勇者は距離を取る。
もはや民衆は周りにはいない。
槍を持った兵士たちに囲まれていた。
そして、勇者の後ろから兵士の声が上がる。
「女を二名捕らえましたっ!!」
その声を我は信じたくなかった。
あまりにも早すぎるその結末に。
奴は我に言う。
「互角だと思ったか?…互角だったよ?俺が配下の兵士全員に『最高神域強化』を施していたからなぁ…?その分処理能力が落ちちまったぜ!ハッハッハ!!」
愉快そうに笑う奴に我は怒りが湧いてくる。
「…さて…どうせ黒猫耳の女と、巨乳女だろ?なに、心配するな。お前の主は始末するが、お前と、お前の仲間は記憶を消して俺専用の奴隷にしてやる…感謝しろよ?」
「どういうことっ!?なんでこいつら、こんなに強いのよっ!?」
「私たちは魔王の手下じゃありません!!アレンの妻です!!」
クローディアとリリアが両手両足を縛られて、勇者の横に連れてこられる。
「クローディア様…リリア様…」
メイドが小さくつぶやく。
その目は絶望に染まっていた。
わが主は、未だに気を失っているようだ…鉄縄で縛られたまま、空中で微動だにしない。
我の頭はもはや怒りの限度を超えていた。
自分のふがいなさに。
そんな我を見ながら、奴は愉快そうに言う。
「なあ、ヴァイルとやら…俺と一騎打ちして、勝ったら仲間全員解放してやる…。だが、負けたときはお前の手で、この魔王を殺すんだ…。ははっ…すげえな俺…こんな思いつき、ほかにないぜ?おっと…まずこいつらに逃げられないように…【昏倒】!」
クローディア、リリア、メイドが気を失ったように石の床に体を横たえた。
奴の首をこの手で締め上げて、息の根が止まるまで叩きつけ、斬りさきたい衝動に駆られた。
「貴様ぁあああ!!」
そしてその衝動に突き動かされるまま我は剣を振る。
全身から黒い炎が噴き出す。
そして我は変化する。
かつての本来の姿…破滅を導くもの。
黒炎龍、アジ・ダハーカに。
――――――――
『グオォオォオォオォォオオオオオオオオ!!』
天をつんざく咆哮があたりに響き渡る。
大地を揺らし、空気を震わせ、周りの建物…塔を除く建物が吹き飛んでいく。
強化が解除されていたのか、兵士たちも吹っ飛んでいた。
だが、我にはそんなことは関係ない。
ただ、目の前の男が憎かった。
クローディアやリリア…そしてアレンが守ったというあのメイドが奴に蹂躙されると考えただけで、我の中の何かがはじけたのだ。
「こいつは……やはり魔王の手下…ついてこいドラゴン!!俺が全力で潰してやる!!」
目の前の巨体を目にしても、勇者田中はひるまなかった。
あろうことか、大きく跳躍し、城壁を飛びこえる。
奴を殺すために追い続けると、そこは我の巨体でも十分に広い場所にでた。
「…あの能力、まだ使ってなかったな。」
勇者が逃げながら、不敵な笑みを浮かべる。
そして、天空に剣をかざし、叫ぶ。
「天空の神々よっ!!俺に力を与えよっ!!…【神化】!!」
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