ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第4話 対峙
「お前…魔王なんだってなぁあ?」
目の前の男が俺の顔を見ながら、嗤う。
全く見当違いなその言葉に、俺は訂正を要求した。
「違う。俺は魔王なんかじゃ「はいはい!悪ってのは大抵そう言うんだよ!」
目の前の男はぎゃははと下品な笑いをもらしていた。
すぐさまぶっ飛ばしてやりたいが、体が言うことを聞かない。
「何を根拠に…とりあえず軍を下がらせ…」
ーチャキ
不意にした金属音に嫌な予感がした。
男の手には、一丁の拳銃。この世界にないはずの、拳銃だった。
目の前の男はにやけ顔で俺に銃口を突き付ける。
「ははっ…こっちは神様から天啓を受けてんだ…アレンってやつが魔王だってなぁ…それにアンタ、英雄登録もされてねぇらしいじゃねぇか…。判断材料ならこれだけで十分だ…お前は俺たちに向けてアレをぶっ放した。常人じゃあアンナことできねぇよなあ…?っつーことで、お前の配下もろとも…この俺、田中桂太郎様が、ぶっ潰してやる!!」
不意に、俺の目の前の拳銃が魔力を帯びる。
それと同時に、俺は血を吐きながら、あらんかぎりの力で叫ぶ。
「みんな下がれぇえええ!!【絶対障壁】ぃぃぃっ!!」
瞬間、先ほど俺が放った攻撃とまったく同じ物が、俺たちに向かって放たれた。
ビシビシと障壁が悲鳴を上げる。
障壁を発生させている右手も、ミシミシと嫌な音を立てているのがわかった。
目の前の奴が叫ぶ。
「ギャハハハハハ!!いいじゃねぇか!!まだ耐えるのか!?お前が放った魔法だもんなぁ!?」
「なに!?」
俺は自分の耳を疑った。
今の言葉から推察するに、この男どうやら攻撃の威力か、魔力を吸収できるのか?
「オラ!俺の魔力も追加してやらぁ!!女には当たらねぇようになってから、安心して死ね!!魔王!!」
「ぐぅぅっ!!」
ついに、俺の障壁が敗れた。
しかし同時に、相手の攻撃も止んだ…いや、あいつが止めたのか。
俺はすぐさま飛びかけていた意識を無理やり引き戻し、立ち上がる。
それを見ていた田中は、愉快そうに笑っていた。
「おいおい、そんな呪いまで受けてぼろぼろなのに、まだ立つってのかぁあ?ホント、バカじゃねぇのか?お前…。おい!お前ら、そいつを俺に引き渡せ!!今のを見ただろう!?あの攻撃に、しかもそれを跳ね返されたってのに、お前らも、そいつも無事だ!!その力はまさに魔王…すぐさま我らに引き渡せ!さもなければ全員この場で皆殺しだ!!いや…女だけは生かしといてやる…俺たちの慰み者になれよっ!!…さぁ、どっちだ!?そいつを引き渡して、安全に今後も過ごすか、皆殺しか、選べよっ!」
そんな脅し…ガイゼルさんならどう答える…?
民衆を選んで、一人を斬るか…。
俺がそんなことを思っていると、だんだん後ろの騎士たちが騒ぎ出していた。
動揺が手に取るように伝わってきた。
「あいつ、いったいなんなんだ!?ホントに魔王じゃないのかっ!?」
「そうだ!あんな奴、英雄登録簿に乗ってなかったぞっ!!魔王だ、引き渡せば俺たちは助かるんだ!引き渡せ!!」
(そりゃそうだ。誰だって自分の命は惜しい。しかも愛する者の貞操までかかってると来たら、そう答えるしかないよな。絶対に勝てないのがわかってるから、相手の要求に、従うしか…ないんだよな。)
ガイゼルさんだって、ここで俺の味方をしたら今後どのような目にあわされるかわからない。
だから、俺は【コール】を使って、後方にいるであろうガイゼルさんと、セルリアに小声で言う。
≪…ガイゼルさん。いいか、これは作戦だ。今すぐ俺を奴に引き渡せ…そうしたら奴が何者で、何を根拠にして襲ってきたか分かる…。≫
答えはすぐさま返ってきた。涙声のセルリアが、小声で返してくれた。
≪ご主人様…本当、ですね?嘘だったら、私がもう一度殺しにいっちゃいますよ?≫
疑うような言葉。こんなところで、皆殺されるくらいなら、俺だけ死んだ方が何倍かマシだ。
だから、俺は嘘をつく。呪いの解き方も、勝ち方もわからない。だけど、ただで死んでやる気はさらさらないが。
≪はは…嘘じゃないよ…絶対に、アイツをぶっ飛ばして、笑顔で戻るから。作戦だ。早くしないと怪しまれてしまうから、ガイゼルさんにそう伝えてくれ。≫
≪はい…ご主人様…どうか、無事で…≫
俺は息が詰まるような思いだ。
だが、皆が助かるには、この道しかない。
そんな中、拡声魔法を使って、田中がカウントダウンを始めていた。
『ほら!早く決めやがれ!!俺はこいつを最高神に引き渡す!!正義は俺だ!!あと5秒以内に決めろ!!皆殺しにしちまうぞっ!!』
騎士たちはすでに俺を前線に置いて後ろに下がり始めている。
メイドたちは俺に呼びかけてくれていたが、騎士たちからの厳しい目線に、黙ってしまう。
「ごー!よーん!!」
ガイゼルさん。早く返答するんだ。
この茶番が終われば、みんな救われるんだ。
「さーん!にぃー!!」
「早く引きわたせ!!みんな殺されちまうぞっ!ガイゼルさん!!」
「そうだそうだ!!早くしろよっ!俺たちは死にたくないんだぁ!!」
刻々と迫るカウントに、騎士たちがパニックに陥る。
そして、カウントがゼロになる前に、悔しそうなガイゼルさんの声が響いた。
『わ、分かった!!その男はそちらに引き渡す!!それでいいのだろう!?』
田中はニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
『遅いんだよっ!!クソがっ!!さっきそいつが大事そうにかばっていた女もこちらに寄越せ!!』
「なっ!?彼女は関係ないだろうがっ!!」
『うるせぇ!!ここで皆殺しにしちまうぞっ!!早くしろ!!』
俺は直感する。コイツ、最低な下衆だと。
指をさされていたのは、セルリアだった。
なんとかしたいが、体が動かない。
必死で叫ぶ。
「このゲスがぁああ!!うぐふっ!!」
『誰に向かって口をきいてやがる!!少しは黙ってろ!!』
思いっきり顎を蹴り上げられた。
今までの無理がたたったのか、呪いが進行してしまっていたのか、俺の意識はそこで途切れてしまった。
目の前の男が俺の顔を見ながら、嗤う。
全く見当違いなその言葉に、俺は訂正を要求した。
「違う。俺は魔王なんかじゃ「はいはい!悪ってのは大抵そう言うんだよ!」
目の前の男はぎゃははと下品な笑いをもらしていた。
すぐさまぶっ飛ばしてやりたいが、体が言うことを聞かない。
「何を根拠に…とりあえず軍を下がらせ…」
ーチャキ
不意にした金属音に嫌な予感がした。
男の手には、一丁の拳銃。この世界にないはずの、拳銃だった。
目の前の男はにやけ顔で俺に銃口を突き付ける。
「ははっ…こっちは神様から天啓を受けてんだ…アレンってやつが魔王だってなぁ…それにアンタ、英雄登録もされてねぇらしいじゃねぇか…。判断材料ならこれだけで十分だ…お前は俺たちに向けてアレをぶっ放した。常人じゃあアンナことできねぇよなあ…?っつーことで、お前の配下もろとも…この俺、田中桂太郎様が、ぶっ潰してやる!!」
不意に、俺の目の前の拳銃が魔力を帯びる。
それと同時に、俺は血を吐きながら、あらんかぎりの力で叫ぶ。
「みんな下がれぇえええ!!【絶対障壁】ぃぃぃっ!!」
瞬間、先ほど俺が放った攻撃とまったく同じ物が、俺たちに向かって放たれた。
ビシビシと障壁が悲鳴を上げる。
障壁を発生させている右手も、ミシミシと嫌な音を立てているのがわかった。
目の前の奴が叫ぶ。
「ギャハハハハハ!!いいじゃねぇか!!まだ耐えるのか!?お前が放った魔法だもんなぁ!?」
「なに!?」
俺は自分の耳を疑った。
今の言葉から推察するに、この男どうやら攻撃の威力か、魔力を吸収できるのか?
「オラ!俺の魔力も追加してやらぁ!!女には当たらねぇようになってから、安心して死ね!!魔王!!」
「ぐぅぅっ!!」
ついに、俺の障壁が敗れた。
しかし同時に、相手の攻撃も止んだ…いや、あいつが止めたのか。
俺はすぐさま飛びかけていた意識を無理やり引き戻し、立ち上がる。
それを見ていた田中は、愉快そうに笑っていた。
「おいおい、そんな呪いまで受けてぼろぼろなのに、まだ立つってのかぁあ?ホント、バカじゃねぇのか?お前…。おい!お前ら、そいつを俺に引き渡せ!!今のを見ただろう!?あの攻撃に、しかもそれを跳ね返されたってのに、お前らも、そいつも無事だ!!その力はまさに魔王…すぐさま我らに引き渡せ!さもなければ全員この場で皆殺しだ!!いや…女だけは生かしといてやる…俺たちの慰み者になれよっ!!…さぁ、どっちだ!?そいつを引き渡して、安全に今後も過ごすか、皆殺しか、選べよっ!」
そんな脅し…ガイゼルさんならどう答える…?
民衆を選んで、一人を斬るか…。
俺がそんなことを思っていると、だんだん後ろの騎士たちが騒ぎ出していた。
動揺が手に取るように伝わってきた。
「あいつ、いったいなんなんだ!?ホントに魔王じゃないのかっ!?」
「そうだ!あんな奴、英雄登録簿に乗ってなかったぞっ!!魔王だ、引き渡せば俺たちは助かるんだ!引き渡せ!!」
(そりゃそうだ。誰だって自分の命は惜しい。しかも愛する者の貞操までかかってると来たら、そう答えるしかないよな。絶対に勝てないのがわかってるから、相手の要求に、従うしか…ないんだよな。)
ガイゼルさんだって、ここで俺の味方をしたら今後どのような目にあわされるかわからない。
だから、俺は【コール】を使って、後方にいるであろうガイゼルさんと、セルリアに小声で言う。
≪…ガイゼルさん。いいか、これは作戦だ。今すぐ俺を奴に引き渡せ…そうしたら奴が何者で、何を根拠にして襲ってきたか分かる…。≫
答えはすぐさま返ってきた。涙声のセルリアが、小声で返してくれた。
≪ご主人様…本当、ですね?嘘だったら、私がもう一度殺しにいっちゃいますよ?≫
疑うような言葉。こんなところで、皆殺されるくらいなら、俺だけ死んだ方が何倍かマシだ。
だから、俺は嘘をつく。呪いの解き方も、勝ち方もわからない。だけど、ただで死んでやる気はさらさらないが。
≪はは…嘘じゃないよ…絶対に、アイツをぶっ飛ばして、笑顔で戻るから。作戦だ。早くしないと怪しまれてしまうから、ガイゼルさんにそう伝えてくれ。≫
≪はい…ご主人様…どうか、無事で…≫
俺は息が詰まるような思いだ。
だが、皆が助かるには、この道しかない。
そんな中、拡声魔法を使って、田中がカウントダウンを始めていた。
『ほら!早く決めやがれ!!俺はこいつを最高神に引き渡す!!正義は俺だ!!あと5秒以内に決めろ!!皆殺しにしちまうぞっ!!』
騎士たちはすでに俺を前線に置いて後ろに下がり始めている。
メイドたちは俺に呼びかけてくれていたが、騎士たちからの厳しい目線に、黙ってしまう。
「ごー!よーん!!」
ガイゼルさん。早く返答するんだ。
この茶番が終われば、みんな救われるんだ。
「さーん!にぃー!!」
「早く引きわたせ!!みんな殺されちまうぞっ!ガイゼルさん!!」
「そうだそうだ!!早くしろよっ!俺たちは死にたくないんだぁ!!」
刻々と迫るカウントに、騎士たちがパニックに陥る。
そして、カウントがゼロになる前に、悔しそうなガイゼルさんの声が響いた。
『わ、分かった!!その男はそちらに引き渡す!!それでいいのだろう!?』
田中はニヤリと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
『遅いんだよっ!!クソがっ!!さっきそいつが大事そうにかばっていた女もこちらに寄越せ!!』
「なっ!?彼女は関係ないだろうがっ!!」
『うるせぇ!!ここで皆殺しにしちまうぞっ!!早くしろ!!』
俺は直感する。コイツ、最低な下衆だと。
指をさされていたのは、セルリアだった。
なんとかしたいが、体が動かない。
必死で叫ぶ。
「このゲスがぁああ!!うぐふっ!!」
『誰に向かって口をきいてやがる!!少しは黙ってろ!!』
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