ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第22話 ネコ探し1
「さて…冒険者ギルドへ行こうかしら。」
私はベッドから降りる。
昨夜の痛みは完全に消えていた。窓の外をみると、太陽が真上にある。時間はちょうど昼位と言ったところか。
宿屋の主人に鍵を預け、大通りに繰り出す。
外に出ると、日差しが私を照り付ける…とてもまぶしいが、とても気持ちがいい。
大きく天へ両手を突き上げ、大きく伸びをする。
「う~ん!いい昼ね!!まったく…アレンってば、激しすぎるのよ…///」
とたんに頭に浮かんできた最愛の人。
アレンはとても頼もしく、強い。
そんな彼に惹かれたのは、最初にひと目見たときからだった。
そう、ひと目惚れだったのだ。
その彼とようやく結ばれたと実感したのは、昨夜、優しくも激しい抱擁に、私の心と体は完全に彼のモノと言っても過言ではないくらいに、私は彼に…溺れたのだ。
黒猫の耳としっぽは上機嫌を表すように、ぴんと立っている。
「なんだか、今なら何でもできそうな気がするわね…」
私はそうつぶやく。
湧き上がる活力に、私自身困惑していたが、それでも気持ちは歯止めがきかないものだ。
そして、向かいにあるこの高級宿と同じくらいの大きさを誇っている冒険者ギルドを見る。
「いい依頼、あるかしら?できれば夕方までに帰ってこれるような軽いのがいいわね。」
大通りを横切り、冒険者ギルドの前まで来ると、何やら中から物騒な声が聞こえてきた。
「なんで俺がまだCランク冒険者なんだよっ!俺は勇者だぞ!?はやく昇格試験を受けさせろっ!」
「…勇者…?」
中から聞こえてきた声に、疑問が生じる。
なぜこんなところに勇者がいるのか、そして、なぜ勇者でありながら冒険者などやっているのか…普通の勇者認定を受けた人間ならば、その戸籍のある国への特権階級の人間だ。
「なんにせよ、かかわらない方が良いわね。ただでさえあの『源神』の正体もよくわからないし…というか、アレっていったいなんなのかしら?アレンの周りにいると、ほんと危ないことだらけね。貞操も、命も…それに、不死族ってなによ。意味わかんないわよ………はぁ、もうちょっと時間を空けてから来るべきだったわね。」
などとアレンが聞いたら卒倒するであろうことをつぶやき、喫茶店でも行こうかと思ったそのとき、いきなり扉がクローディアの目の前に吹っ飛んできた。
「っ!?」
突然のことに私は反応……できた。全身のばねを使い、空中に飛び上がる。
かろうじて避けられたが、今のはなかなかきわどかった。
「おぉ!?なんだこの可愛いお嬢ちゃん!悪かったな……だが、その身のこなし…やるじゃないか!!」
(面倒事に、巻き込まれたわね)
耳に聞こえてきたのは先ほど冒険者ギルドの中で騒いでいた男の声だ。
目の前の男を見ると、その男は無精ひげを生やし、汚らしい身なりだ。アレンの方が一万倍かっこいい。
すると、男は私の体を舐めるように見つめてきた。
アレンと出会う前に感じた、女を狙う男の眼だ。
反射的に男を罵倒する私。
「いきなり失礼な男ね。常識位わきまえてないのかしら?…この、クソザルっ!」
(いきなり何言ってんのよっ!私!自重しなさいよ!!)
自分で言っておいて、心のなかで自分に突っ込みを入れる私。
だが、目の前の男は呆けたような顔でまだ私のことを見ている。
なんだか嫌な予感がした…。
「け、結婚してください!!」
どっかで聞いたことのあるセリフが耳に届く。
あの時とはちがい、全然心に響かない…当たり前か。私にはもう、心に決めた相手がいるんだから。
しかも、男は土下座している。
大の男…しかも重装備のその男が小さな少女に土下座している姿は、行き交う住民の眼を奪うには十分なパフォーマンスだった。
「いやよ。いきなり結婚してくれなんて、バカじゃないの?死になさい。」
私は嫌悪感丸出しでその男に言葉をぶつける。
アレンの第一印象は最高とは言い難かったけれど、彼の手には温かみがあった。黒い布で覆われたときも、本気で私を捕まえて、どうこうしようってわけじゃなかったみたいだし。
それと比べるのもおこがましいが、この男の第一印象はすでに最悪だ。
冒険者ギルドの中へ入ろうとする私。
「そんなところも素敵だっ!!…もう我慢できん!!【縛りの眼】!」
「っ!!」
いきなりスキルを放ってくる男。
こいつ、馬鹿なのだろうか?町中で、しかも冒険者ギルドの一員でありながら、往来の人間にスキルを放つなんて、まともな考えの持ち主じゃない。
そして私は、体中がちょっとしびれた。
そう、ちょっと、しびれただけだった。
「…?これがアレンの言ってた静電気?」
「は!?なんでお前動けるんだ!?俺の持つユニークスキルだぞ!?」
なんだか男が騒いでいるが、町中でスキルを使われたのには変わりはない。
私は愛用の包丁をもう一度取り出し、男に突きつける。
そして、振り上げ、振り下ろす…が、男との首との間には髪の毛一本にも満たない隙間を残し、包丁は止まる。
「しらないわよ。さっさとどこかに行きなさい!目障りよっ!!」
「ひぃっ!!」
男は腰を抜かし、後ずさりする。
ついには逃げ出してしまった。
ーパチパチ
私が一喝すると、なぜか周りの人間や、ギルドの職員まで拍手してきた。
こいつはよほど周囲の人間を困らせる類の人間だったのだろう。
「まったく…最近の若者は、節度がなってないわね。節度が。」
「…ずいぶんしっかりしていらっしゃいますね。黒猫さん?」
すると、ギルドの受付嬢らしき人が私に話しかけてくる。
けっこうかわいらしい人だ。胸は私と同等くらいね…。
「ふん…あの人、いったいなんなの?勇者とか、名乗っていたようだけれど。」
私は先ほどの無礼な男のことを尋ねることにした。
すると、受付嬢は微妙な顔をして答えてくれた。
「あの男は、なんでもない、ただの冒険者ですので記憶に残さなくてもいいでしょう…ユニークスキルも大したこともないですし…敵の動きを高確率で1秒止める…ような効果だったかな?…そして、黒猫さんは本日はどのようなご用件でこちらにいらっしゃったのですか?」
「一秒って…結構すごいと思うんだけれど…まぁいいわ。今日は依頼を見に来たのよ。掲示板に案内してくれないかしら?」
「…もしかして、冒険者様、でしたか…?失礼ですが、カードを見せていただけますか?」
「やっぱり信じてくれないのね…ほら、これが私の冒険者カードよ」
―――――――――
数分した後、受付嬢が戻ってきた。
私にあった瞬間に、頭を下げる受付嬢。
「先ほどは失礼いたしましたクローディア様…まさかFランクのあなたが、Cランクの男を撤退させるなんて…今まで昇格試験は受けなかったのですか?」
「そういえば、そんなのがあるんだったわね…まあ、私の場合、依頼達成数が少なすぎるから、ランクを上げようもないのよ。」
「そうでしたか…」
「ねぇ、手軽な依頼って何かないかしら?簡単なのがいいわね。夜まで時間がつぶせるような。」
私は要件を簡潔に伝えると、受付嬢が簡単なもの、ですか。などと呟いて、意外そうな顔をする。
当然のことだろう。どこの世界に暇つぶしに依頼を受ける冒険者がいるのか…あ、ここにいたわね。
すぐに受付嬢が一枚の紙をもって、私の元へと駆けてきた。
内容に目を通すと、私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ…これって…迷子の猫探し?」
「そうです!これぞ暇つぶしにちょうどいい依頼ですよ!クローディア様!」
確かに、おあつらえ向きだ。
私は猫の言葉…というよりは獣の言葉が理解できるのだ。
「これ、受けられるかしら?」
即決した私は、猫探しに出かけることにした。
私はベッドから降りる。
昨夜の痛みは完全に消えていた。窓の外をみると、太陽が真上にある。時間はちょうど昼位と言ったところか。
宿屋の主人に鍵を預け、大通りに繰り出す。
外に出ると、日差しが私を照り付ける…とてもまぶしいが、とても気持ちがいい。
大きく天へ両手を突き上げ、大きく伸びをする。
「う~ん!いい昼ね!!まったく…アレンってば、激しすぎるのよ…///」
とたんに頭に浮かんできた最愛の人。
アレンはとても頼もしく、強い。
そんな彼に惹かれたのは、最初にひと目見たときからだった。
そう、ひと目惚れだったのだ。
その彼とようやく結ばれたと実感したのは、昨夜、優しくも激しい抱擁に、私の心と体は完全に彼のモノと言っても過言ではないくらいに、私は彼に…溺れたのだ。
黒猫の耳としっぽは上機嫌を表すように、ぴんと立っている。
「なんだか、今なら何でもできそうな気がするわね…」
私はそうつぶやく。
湧き上がる活力に、私自身困惑していたが、それでも気持ちは歯止めがきかないものだ。
そして、向かいにあるこの高級宿と同じくらいの大きさを誇っている冒険者ギルドを見る。
「いい依頼、あるかしら?できれば夕方までに帰ってこれるような軽いのがいいわね。」
大通りを横切り、冒険者ギルドの前まで来ると、何やら中から物騒な声が聞こえてきた。
「なんで俺がまだCランク冒険者なんだよっ!俺は勇者だぞ!?はやく昇格試験を受けさせろっ!」
「…勇者…?」
中から聞こえてきた声に、疑問が生じる。
なぜこんなところに勇者がいるのか、そして、なぜ勇者でありながら冒険者などやっているのか…普通の勇者認定を受けた人間ならば、その戸籍のある国への特権階級の人間だ。
「なんにせよ、かかわらない方が良いわね。ただでさえあの『源神』の正体もよくわからないし…というか、アレっていったいなんなのかしら?アレンの周りにいると、ほんと危ないことだらけね。貞操も、命も…それに、不死族ってなによ。意味わかんないわよ………はぁ、もうちょっと時間を空けてから来るべきだったわね。」
などとアレンが聞いたら卒倒するであろうことをつぶやき、喫茶店でも行こうかと思ったそのとき、いきなり扉がクローディアの目の前に吹っ飛んできた。
「っ!?」
突然のことに私は反応……できた。全身のばねを使い、空中に飛び上がる。
かろうじて避けられたが、今のはなかなかきわどかった。
「おぉ!?なんだこの可愛いお嬢ちゃん!悪かったな……だが、その身のこなし…やるじゃないか!!」
(面倒事に、巻き込まれたわね)
耳に聞こえてきたのは先ほど冒険者ギルドの中で騒いでいた男の声だ。
目の前の男を見ると、その男は無精ひげを生やし、汚らしい身なりだ。アレンの方が一万倍かっこいい。
すると、男は私の体を舐めるように見つめてきた。
アレンと出会う前に感じた、女を狙う男の眼だ。
反射的に男を罵倒する私。
「いきなり失礼な男ね。常識位わきまえてないのかしら?…この、クソザルっ!」
(いきなり何言ってんのよっ!私!自重しなさいよ!!)
自分で言っておいて、心のなかで自分に突っ込みを入れる私。
だが、目の前の男は呆けたような顔でまだ私のことを見ている。
なんだか嫌な予感がした…。
「け、結婚してください!!」
どっかで聞いたことのあるセリフが耳に届く。
あの時とはちがい、全然心に響かない…当たり前か。私にはもう、心に決めた相手がいるんだから。
しかも、男は土下座している。
大の男…しかも重装備のその男が小さな少女に土下座している姿は、行き交う住民の眼を奪うには十分なパフォーマンスだった。
「いやよ。いきなり結婚してくれなんて、バカじゃないの?死になさい。」
私は嫌悪感丸出しでその男に言葉をぶつける。
アレンの第一印象は最高とは言い難かったけれど、彼の手には温かみがあった。黒い布で覆われたときも、本気で私を捕まえて、どうこうしようってわけじゃなかったみたいだし。
それと比べるのもおこがましいが、この男の第一印象はすでに最悪だ。
冒険者ギルドの中へ入ろうとする私。
「そんなところも素敵だっ!!…もう我慢できん!!【縛りの眼】!」
「っ!!」
いきなりスキルを放ってくる男。
こいつ、馬鹿なのだろうか?町中で、しかも冒険者ギルドの一員でありながら、往来の人間にスキルを放つなんて、まともな考えの持ち主じゃない。
そして私は、体中がちょっとしびれた。
そう、ちょっと、しびれただけだった。
「…?これがアレンの言ってた静電気?」
「は!?なんでお前動けるんだ!?俺の持つユニークスキルだぞ!?」
なんだか男が騒いでいるが、町中でスキルを使われたのには変わりはない。
私は愛用の包丁をもう一度取り出し、男に突きつける。
そして、振り上げ、振り下ろす…が、男との首との間には髪の毛一本にも満たない隙間を残し、包丁は止まる。
「しらないわよ。さっさとどこかに行きなさい!目障りよっ!!」
「ひぃっ!!」
男は腰を抜かし、後ずさりする。
ついには逃げ出してしまった。
ーパチパチ
私が一喝すると、なぜか周りの人間や、ギルドの職員まで拍手してきた。
こいつはよほど周囲の人間を困らせる類の人間だったのだろう。
「まったく…最近の若者は、節度がなってないわね。節度が。」
「…ずいぶんしっかりしていらっしゃいますね。黒猫さん?」
すると、ギルドの受付嬢らしき人が私に話しかけてくる。
けっこうかわいらしい人だ。胸は私と同等くらいね…。
「ふん…あの人、いったいなんなの?勇者とか、名乗っていたようだけれど。」
私は先ほどの無礼な男のことを尋ねることにした。
すると、受付嬢は微妙な顔をして答えてくれた。
「あの男は、なんでもない、ただの冒険者ですので記憶に残さなくてもいいでしょう…ユニークスキルも大したこともないですし…敵の動きを高確率で1秒止める…ような効果だったかな?…そして、黒猫さんは本日はどのようなご用件でこちらにいらっしゃったのですか?」
「一秒って…結構すごいと思うんだけれど…まぁいいわ。今日は依頼を見に来たのよ。掲示板に案内してくれないかしら?」
「…もしかして、冒険者様、でしたか…?失礼ですが、カードを見せていただけますか?」
「やっぱり信じてくれないのね…ほら、これが私の冒険者カードよ」
―――――――――
数分した後、受付嬢が戻ってきた。
私にあった瞬間に、頭を下げる受付嬢。
「先ほどは失礼いたしましたクローディア様…まさかFランクのあなたが、Cランクの男を撤退させるなんて…今まで昇格試験は受けなかったのですか?」
「そういえば、そんなのがあるんだったわね…まあ、私の場合、依頼達成数が少なすぎるから、ランクを上げようもないのよ。」
「そうでしたか…」
「ねぇ、手軽な依頼って何かないかしら?簡単なのがいいわね。夜まで時間がつぶせるような。」
私は要件を簡潔に伝えると、受付嬢が簡単なもの、ですか。などと呟いて、意外そうな顔をする。
当然のことだろう。どこの世界に暇つぶしに依頼を受ける冒険者がいるのか…あ、ここにいたわね。
すぐに受付嬢が一枚の紙をもって、私の元へと駆けてきた。
内容に目を通すと、私は思わず笑ってしまった。
「ふふっ…これって…迷子の猫探し?」
「そうです!これぞ暇つぶしにちょうどいい依頼ですよ!クローディア様!」
確かに、おあつらえ向きだ。
私は猫の言葉…というよりは獣の言葉が理解できるのだ。
「これ、受けられるかしら?」
即決した私は、猫探しに出かけることにした。
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