ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第11話 ごろつきたちと騎士
アレンとエルが合流し、学生騎士にいちゃもんをつけられている頃、クローディアとリリアは日用品の買い物を終えていた。
「…リリア結構大胆なの買ったわね…」
クローディアがリリアの胸を凝視しながら言う。
「クローディアもあんなスケスケの…ああいうのが好きなんですか?アレンって…」
なぜか燃え尽きている二人。
上級区の高級店に買い物に行った二人はついに勝負下着を購入したのだ。
今は中級区の大通りを歩いている。
まだ人通りは多いが、カフェにいたときほどではなかった。
「…ふぅ…ちょっと疲れたわね…。あ、そうだリリア。ほら、冒険者ギルドに行って、アノ魔法をかけてもらいましょう。」
「そうですね…赤ちゃんできたら…大変ですよね…///」
照れながら言うリリア。
そう、冒険者ギルドでは避妊の魔法をかけてもらえるのだ。有料だが。
パーティー内での合意の上ならまだしも、無理やりとか…そのような望まない妊娠を避けるため、冒険者ギルドもそちらへの対応をすることにしたそうだ。
「ほら、早く行きましょう…こういうのって考えるだけで恥ずかしくなってくるわね…」
こっちから言った方がいいわね。と人通りの少ない路地裏に入るリリアとクローディア。
しばらく進むと、家と家の間の狭い通路に出た。
その通路を進むと、いきなり物陰から大男が飛び出して、大声を上げる。
「そら、捕まえろ!!」
その声を合図に、二人の後ろと前から男たちが走ってきた。
人数は5人といったところか。その誰もが武装していた。
「リリア、気絶させましょう。」
「はぁ…そうですね…。ああ、杖を使えばいいんですね…」
クローディアは両方の太ももについていた鞘から、二振りのファンシーな模様の入った包丁を構える。
リリアも同時にインベントリから蒼い宝石のついた杖を取り出し、クローディアと背中を合わせる。
「クローディア!後ろは頼みましたよ!」
「ええ!ちゃちゃっと終わらせて、アレンのところへ帰るわよ!」
「やっちまえっ!!極上の獲物だぞ!!」
二人の後方にいたリーダー格の男はいい獲物を見つけた、と舌なめずりをしながら仲間に指示をだす。
その男を除いた別の4人はリリアとクローディアそれぞれに襲い掛かる。
「覚悟しな!猫の嬢ちゃん!!」
男は長剣ではなく、拳を構え、素早い動きでクローディアめがけて突進してきた。
「うりゃああ!」
「…止まって見えるわよっ!!」
瞬時に男の背後に回り込んだクローディアは、包丁ですれ違いざまに男の服をずたずたに切り刻んで、股間を蹴り上げる。
「ひぅっ!!」
泡を吹いて倒れる男。
「気持ち悪いわね…ふぅ…」
クローディアが一息ついている隙に、もう一人の男が襲ってきた。
「この…アマ…よくも仲間をっ…!ゆるさねぇ…!」
赤い闘気を纏い、男が長剣を振り下ろす。
ーキィンと甲高い音があたりに響く。
「なっ!?なんだその包丁は!?なぜ、刃こぼれひとつしていないっ!?」
その声にニヤっと笑うクローディア。
「私のアレンが作ってくれたのよ?いいでしょ。」
ゆっくりともう一方の包丁を長剣に近づけ、とん、とたたく。すると
ーパリン
「なにぃいいいいいい!?」
それは異質な光景だった。
横から包丁でたたかれただけで、男の剣は真っ二つに折れたのだ。
驚いている男の隙を突き、クローディアは攻勢に出る。
「はああああああ!」
包丁の柄で腹を思いっきり突くクローディア。
「ごふぅううう!!」
男は白目をむいて倒れ伏す。
クローディアは後ろを振り返り、リリアの無事を確認する。
「リリア…だいじょ…」
後ろを振り返ると、リリアの周りに二人の男が血まみれで倒れていた。
「…クローディア…どうしましょう…思いっきり振りかぶって殴ったら…」
リリアは顔が青ざめていた。無理もないだろう…ついこの間まで人を本気で殴ったことすらなかった女性が、大の男二人を倒したのだ。それも一撃で。衝撃をリリアは受けていた。
内臓に衝撃でも受けたのだろうか。男たちは口から血を吐いている…気持ち悪い光景だった。
「大丈夫よ、リリア。それはあなたのせいじゃないわ…」
膝をつくリリアの頭をなでるクローディア。
「…ふぅ…衛兵に言うのも面倒だし…このまま行くわよ?リリア。」
「はい…」
ゆっくりとクローディアに立たされるリリアは、冒険者ギルドへと向かうのだった。
――――――――――
その頃、英雄キルベリオンの息子、シグマは焦っていた。
(な、なぜだ!?相手は一人だぞ…?なんで攻撃が当たらない!?)
そう、目の前の黒衣の男に先ほどからすさまじい攻勢をかけているのだが、そのどれもがいなされ、交わされていた。
「どんな手品を使っているかは知らんが…いい加減楽になれ!冒険者ぁああ!【聖剣・ラグナ】!!」
シグマの剣に光が宿り、そのまま大きく剣を突出し、アレンに突撃する。
そして、同時に大剣の騎士フィゼルと、短剣と弓を持った騎士ケイ、魔術師のカイルと治癒術士のミント…パーティー全員がそれに合わせたように同時に動いた。
「【炎剣・シルヴァ】!!」
フィゼルの大剣が真紅の炎に包まれ、瞬時に炎がアレンに向かって放たれる。
「【雷矢・イカズチ】!!」
女性騎士、ケイも雷を纏った矢を放つ。その数3本。特殊な軌道を描き、それもアレンに向かっていく。
「「【ウィンドパイク】!!」」
男性魔術師のカイルと治癒術士ミントが同時に放った風魔術…一撃で巌も穿つ風の槍もアレンに向かう。
それを見て、周りの生徒が悲鳴を上げる。
エルとハイランドも目を見開いていた。
「ま、まさか彼らがアレを使うなんて…アレンさん避けてください!!」
「まずいですの…まさか彼らの全力…迷宮のミノタウロスですら一撃で屠ったというあの技を使うなんて…」
だが、アレンはそんなことは聞いちゃいなかった。
「お…?少しはましな攻撃だな?いいぞ。こいやぁ!!」
剣を構え、シグマの一撃をうけようとしていたのだ。
「ははっ!馬鹿め!俺の聖剣の一撃は、どんなものでも切り裂くんだよっ!!そんな練習用の鉄剣なんて俺のスキルの前じゃ無意味だっ!!倒れろ冒険者あああああああああ!!」
だが、次の瞬間、シグマは我が目を疑った。
「ふん!!」
なんと、蒼い闘気を鉄剣にまとわせたアレンは、聖剣のスキルなぞ知らぬというばかりに、シグマの鉄剣の方を叩き斬り、瞬間的に腹に蹴りを入れる。
「ぐふぅうううう!!」
冗談のように後ろに吹き飛ぶシグマ。
「大丈夫か!シグマ!!」
フィゼルが全力攻撃をした後の汗をぬぐいながら、シグマを助け起こす。
フィゼルは思う。
(今なら奴は隙だらけ…俺たちの放った攻撃は直撃するだろう…俺たちの勝ちだっ!!)
同時にほかの4人の放った攻撃がアレンに直撃した…かに見えた。
ーキィン!!
その音と共に、周りの攻撃すべてが弾き返された。
正反対の方向に…すなわち、フィゼルやカイルのところに戻ってくる攻撃。
「なにぃいいいいいい!?」
会場の全員が同じ叫び声をあげ、結界内は爆風に包まれる。
びりびりと衝撃がはしる。
「…心配するだけ無駄でしたの。」
エルが呟く。
「…ねぇ、エルさん。彼、今、蒼い闘気…纏ってましたよね…?」
生粋の剣士であるハイランドはアレンの異常さに驚く。
それもそのはず、彼女ですらまだ赤い闘気しか出せないのだ。
とてもFランク冒険者のする所業ではないとは思いながらも、目の前の光景を目の当たりにすると、自然と笑みがこぼれてきた。
「ふふっ…ははっ…Fランクでもあの強さ…?ハハッハッハハ」
「先生が壊れましたの!?戻ってくるですの!先生!!ほら、アレンさんは特別ですの!!」
必死にがくがくとハイランドの肩を揺さぶるエル。
そして、結界内からは笑い声が響く。
「ハ~ハッハッハッハ!!甘いわ小童ども!!出直してくるのだぁあああ!!」
アレンが調子に乗っていた。
「アレンさん…やりすぎですの…」
結界が解かれ、気絶していたシグマたちを運ぶほかの生徒たち。
その誰もが無傷のアレンを凝視していた。
「ん?なんだ?」
笑顔で一人の女子生徒に手を振るアレン。
だが、その反応は期待していた反応ではなかった。
「きゃああああああ!!魔王よ!!魔王がでたわあああああああ!!にげるのよおおおおお!!」
大きく悲鳴を上げて何処かへ行ってしまった。
その様子を見ていた生徒たちはざわざわとし始めた。
「魔王か…魔王っぽいな…」
「俺、いつかあいつを倒して、勇者になるんだ……いくぞー皆の者ー魔王を倒すのじゃー」
「やめとけ、あんなんフツーの人間じゃ勝てねぇ……おい、やめろそれ以上近づくな!!死にたいのか!?おい、お前もか!?うあああああああ!!」
必死でうつろな目をした男子生徒を止める男子生徒を見ていたアレンは、なぜか悲しくなってきた。
「…えぐ…えるぅうぅう」
アレンは涙を流しながら、エルの元へと走った。
いきなり目の前に現れたアレンに動揺するエル。
「な、なんですの?あ、あ、あ、アレンさん!?」
「俺の癒しの場所はエルだけだっ!!」
がばっとエルを抱きしめるアレン。
どさくさに紛れて頭や腰…お尻のあたりをなでまわす…やはりこの男、変態である。
「やっ!?ちょっ!やめるんですの!んああぁあ!?そ、そんなところまで…?や、やぁああん!!らめえぇぇぇ……」
アレンの超絶指技(無意識)で立ったまま昇天し、腰を抜かしてしまうエル。
そして、もう一度同じ過ちを繰り返してしまったアレンは激しく取り乱す。
「だからなんで俺がなでまわすとみんな喘ぐんだよっ!?」
「…アレンさん?それ以上やると衛兵に突き出しますよ?」
いつのまにか隣にいた…アレンが気付かなかっただけなのだが…ハイランドに首根っこをつかまれる。
「いたいいたい!!ちょっ!やめっ!冗談だって!!」
物陰に連れ込まれたアレンはぼこぼこにされた。自業自得である。
「…リリア結構大胆なの買ったわね…」
クローディアがリリアの胸を凝視しながら言う。
「クローディアもあんなスケスケの…ああいうのが好きなんですか?アレンって…」
なぜか燃え尽きている二人。
上級区の高級店に買い物に行った二人はついに勝負下着を購入したのだ。
今は中級区の大通りを歩いている。
まだ人通りは多いが、カフェにいたときほどではなかった。
「…ふぅ…ちょっと疲れたわね…。あ、そうだリリア。ほら、冒険者ギルドに行って、アノ魔法をかけてもらいましょう。」
「そうですね…赤ちゃんできたら…大変ですよね…///」
照れながら言うリリア。
そう、冒険者ギルドでは避妊の魔法をかけてもらえるのだ。有料だが。
パーティー内での合意の上ならまだしも、無理やりとか…そのような望まない妊娠を避けるため、冒険者ギルドもそちらへの対応をすることにしたそうだ。
「ほら、早く行きましょう…こういうのって考えるだけで恥ずかしくなってくるわね…」
こっちから言った方がいいわね。と人通りの少ない路地裏に入るリリアとクローディア。
しばらく進むと、家と家の間の狭い通路に出た。
その通路を進むと、いきなり物陰から大男が飛び出して、大声を上げる。
「そら、捕まえろ!!」
その声を合図に、二人の後ろと前から男たちが走ってきた。
人数は5人といったところか。その誰もが武装していた。
「リリア、気絶させましょう。」
「はぁ…そうですね…。ああ、杖を使えばいいんですね…」
クローディアは両方の太ももについていた鞘から、二振りのファンシーな模様の入った包丁を構える。
リリアも同時にインベントリから蒼い宝石のついた杖を取り出し、クローディアと背中を合わせる。
「クローディア!後ろは頼みましたよ!」
「ええ!ちゃちゃっと終わらせて、アレンのところへ帰るわよ!」
「やっちまえっ!!極上の獲物だぞ!!」
二人の後方にいたリーダー格の男はいい獲物を見つけた、と舌なめずりをしながら仲間に指示をだす。
その男を除いた別の4人はリリアとクローディアそれぞれに襲い掛かる。
「覚悟しな!猫の嬢ちゃん!!」
男は長剣ではなく、拳を構え、素早い動きでクローディアめがけて突進してきた。
「うりゃああ!」
「…止まって見えるわよっ!!」
瞬時に男の背後に回り込んだクローディアは、包丁ですれ違いざまに男の服をずたずたに切り刻んで、股間を蹴り上げる。
「ひぅっ!!」
泡を吹いて倒れる男。
「気持ち悪いわね…ふぅ…」
クローディアが一息ついている隙に、もう一人の男が襲ってきた。
「この…アマ…よくも仲間をっ…!ゆるさねぇ…!」
赤い闘気を纏い、男が長剣を振り下ろす。
ーキィンと甲高い音があたりに響く。
「なっ!?なんだその包丁は!?なぜ、刃こぼれひとつしていないっ!?」
その声にニヤっと笑うクローディア。
「私のアレンが作ってくれたのよ?いいでしょ。」
ゆっくりともう一方の包丁を長剣に近づけ、とん、とたたく。すると
ーパリン
「なにぃいいいいいい!?」
それは異質な光景だった。
横から包丁でたたかれただけで、男の剣は真っ二つに折れたのだ。
驚いている男の隙を突き、クローディアは攻勢に出る。
「はああああああ!」
包丁の柄で腹を思いっきり突くクローディア。
「ごふぅううう!!」
男は白目をむいて倒れ伏す。
クローディアは後ろを振り返り、リリアの無事を確認する。
「リリア…だいじょ…」
後ろを振り返ると、リリアの周りに二人の男が血まみれで倒れていた。
「…クローディア…どうしましょう…思いっきり振りかぶって殴ったら…」
リリアは顔が青ざめていた。無理もないだろう…ついこの間まで人を本気で殴ったことすらなかった女性が、大の男二人を倒したのだ。それも一撃で。衝撃をリリアは受けていた。
内臓に衝撃でも受けたのだろうか。男たちは口から血を吐いている…気持ち悪い光景だった。
「大丈夫よ、リリア。それはあなたのせいじゃないわ…」
膝をつくリリアの頭をなでるクローディア。
「…ふぅ…衛兵に言うのも面倒だし…このまま行くわよ?リリア。」
「はい…」
ゆっくりとクローディアに立たされるリリアは、冒険者ギルドへと向かうのだった。
――――――――――
その頃、英雄キルベリオンの息子、シグマは焦っていた。
(な、なぜだ!?相手は一人だぞ…?なんで攻撃が当たらない!?)
そう、目の前の黒衣の男に先ほどからすさまじい攻勢をかけているのだが、そのどれもがいなされ、交わされていた。
「どんな手品を使っているかは知らんが…いい加減楽になれ!冒険者ぁああ!【聖剣・ラグナ】!!」
シグマの剣に光が宿り、そのまま大きく剣を突出し、アレンに突撃する。
そして、同時に大剣の騎士フィゼルと、短剣と弓を持った騎士ケイ、魔術師のカイルと治癒術士のミント…パーティー全員がそれに合わせたように同時に動いた。
「【炎剣・シルヴァ】!!」
フィゼルの大剣が真紅の炎に包まれ、瞬時に炎がアレンに向かって放たれる。
「【雷矢・イカズチ】!!」
女性騎士、ケイも雷を纏った矢を放つ。その数3本。特殊な軌道を描き、それもアレンに向かっていく。
「「【ウィンドパイク】!!」」
男性魔術師のカイルと治癒術士ミントが同時に放った風魔術…一撃で巌も穿つ風の槍もアレンに向かう。
それを見て、周りの生徒が悲鳴を上げる。
エルとハイランドも目を見開いていた。
「ま、まさか彼らがアレを使うなんて…アレンさん避けてください!!」
「まずいですの…まさか彼らの全力…迷宮のミノタウロスですら一撃で屠ったというあの技を使うなんて…」
だが、アレンはそんなことは聞いちゃいなかった。
「お…?少しはましな攻撃だな?いいぞ。こいやぁ!!」
剣を構え、シグマの一撃をうけようとしていたのだ。
「ははっ!馬鹿め!俺の聖剣の一撃は、どんなものでも切り裂くんだよっ!!そんな練習用の鉄剣なんて俺のスキルの前じゃ無意味だっ!!倒れろ冒険者あああああああああ!!」
だが、次の瞬間、シグマは我が目を疑った。
「ふん!!」
なんと、蒼い闘気を鉄剣にまとわせたアレンは、聖剣のスキルなぞ知らぬというばかりに、シグマの鉄剣の方を叩き斬り、瞬間的に腹に蹴りを入れる。
「ぐふぅうううう!!」
冗談のように後ろに吹き飛ぶシグマ。
「大丈夫か!シグマ!!」
フィゼルが全力攻撃をした後の汗をぬぐいながら、シグマを助け起こす。
フィゼルは思う。
(今なら奴は隙だらけ…俺たちの放った攻撃は直撃するだろう…俺たちの勝ちだっ!!)
同時にほかの4人の放った攻撃がアレンに直撃した…かに見えた。
ーキィン!!
その音と共に、周りの攻撃すべてが弾き返された。
正反対の方向に…すなわち、フィゼルやカイルのところに戻ってくる攻撃。
「なにぃいいいいいい!?」
会場の全員が同じ叫び声をあげ、結界内は爆風に包まれる。
びりびりと衝撃がはしる。
「…心配するだけ無駄でしたの。」
エルが呟く。
「…ねぇ、エルさん。彼、今、蒼い闘気…纏ってましたよね…?」
生粋の剣士であるハイランドはアレンの異常さに驚く。
それもそのはず、彼女ですらまだ赤い闘気しか出せないのだ。
とてもFランク冒険者のする所業ではないとは思いながらも、目の前の光景を目の当たりにすると、自然と笑みがこぼれてきた。
「ふふっ…ははっ…Fランクでもあの強さ…?ハハッハッハハ」
「先生が壊れましたの!?戻ってくるですの!先生!!ほら、アレンさんは特別ですの!!」
必死にがくがくとハイランドの肩を揺さぶるエル。
そして、結界内からは笑い声が響く。
「ハ~ハッハッハッハ!!甘いわ小童ども!!出直してくるのだぁあああ!!」
アレンが調子に乗っていた。
「アレンさん…やりすぎですの…」
結界が解かれ、気絶していたシグマたちを運ぶほかの生徒たち。
その誰もが無傷のアレンを凝視していた。
「ん?なんだ?」
笑顔で一人の女子生徒に手を振るアレン。
だが、その反応は期待していた反応ではなかった。
「きゃああああああ!!魔王よ!!魔王がでたわあああああああ!!にげるのよおおおおお!!」
大きく悲鳴を上げて何処かへ行ってしまった。
その様子を見ていた生徒たちはざわざわとし始めた。
「魔王か…魔王っぽいな…」
「俺、いつかあいつを倒して、勇者になるんだ……いくぞー皆の者ー魔王を倒すのじゃー」
「やめとけ、あんなんフツーの人間じゃ勝てねぇ……おい、やめろそれ以上近づくな!!死にたいのか!?おい、お前もか!?うあああああああ!!」
必死でうつろな目をした男子生徒を止める男子生徒を見ていたアレンは、なぜか悲しくなってきた。
「…えぐ…えるぅうぅう」
アレンは涙を流しながら、エルの元へと走った。
いきなり目の前に現れたアレンに動揺するエル。
「な、なんですの?あ、あ、あ、アレンさん!?」
「俺の癒しの場所はエルだけだっ!!」
がばっとエルを抱きしめるアレン。
どさくさに紛れて頭や腰…お尻のあたりをなでまわす…やはりこの男、変態である。
「やっ!?ちょっ!やめるんですの!んああぁあ!?そ、そんなところまで…?や、やぁああん!!らめえぇぇぇ……」
アレンの超絶指技(無意識)で立ったまま昇天し、腰を抜かしてしまうエル。
そして、もう一度同じ過ちを繰り返してしまったアレンは激しく取り乱す。
「だからなんで俺がなでまわすとみんな喘ぐんだよっ!?」
「…アレンさん?それ以上やると衛兵に突き出しますよ?」
いつのまにか隣にいた…アレンが気付かなかっただけなのだが…ハイランドに首根っこをつかまれる。
「いたいいたい!!ちょっ!やめっ!冗談だって!!」
物陰に連れ込まれたアレンはぼこぼこにされた。自業自得である。
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