ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
プロローグ前編 白井源示朗
近所のスーパーで買い物に来ている俺、白井源示朗は今、特売品をしこたま買い込み、金欠な一人暮らしというモノに備えていた。
「コメは実家から送られてくるし…野菜と肉も買ったし今日は一人鍋かな……」
経験がある人にはわかるだろう。どうにも一人だと独り言が多くなってしまうものなのだ。
「さて、帰ろうかな。」
そう独り言を漏らし、愛用の自転車にのる。いわゆるママチャリというやつだ。籠はでかいし、ものがたくさん載る。とても便利なのだよっ。
広い通りを抜け、裏路地に入る……着いた、ここが俺の住んでいるぼろアパート「まつのき荘」だ。
その外観はまさしくぼろアパート。2階への階段は錆び付いていて、塗装も所々剥げかけている。
「今日は楽しい一人鍋~♪」
一人で悲しくなってこないかって?悲しいよっ。だから気分を盛り上げているんだろう!?……まぁ、彼女もいないし、貧乏な大学生なんてこんなもんだ。
自分で言っていて少し悲しくなったが、俺はいつも通り、このぼろアパートの塗装が剥げている扉の取っ手つかみ、ギィ、と開けた。
そこに待っていたのは……唐突な変化。
視界が真っ白にそまる。
「は?………え?………ここは、どこだぁっ!?」
記憶喪失になった人のように、俺がつぶやくのも無理はないだろうと思う。
真っ白。そう、俺は今真っ白い空間の中に居る。
意味が、分からない。
一瞬俺は呆然としてしまったが、こういう時にこそ冷静になるべきだ。
記憶が本当に飛んでいるかもしれない。
「思い出せ……俺は何をしてた?」
確か今日は休日だったはず。家ですることもなく、近所のスーパーで特売品を買ってきたはずだ。玄関をくぐって……それから?
そこで俺は気付いた。ある重要な事実に。
なんと、両手にあったはずの重さがなくなっているではないか。それはつまり……、
「あ!?野菜も肉もない!!俺の食糧どこ行った!?」
そう、スーパーで買ったモノがまるごとなくなっているじゃないか!
なけなしの金を使ってせっかく買ったのに……愛用の買い物袋も、あるはずの野菜や肉もすべて消え去っていた。
スーパーの袋をどこへやってしまったのか、俺がなんとか思い出そうと、混乱する頭を必死に振り絞っているとき、「それ」は突然現れた。
見たこともないような長い金色の髪、薄布に包まれた豊満な胸、六枚の金色の羽毛に包まれた羽、やわらかさが伝わってくるがしっかりしている肢体……そう、美しい女性というよりはどこか神々しい『女性』がそこに居た。
「白井源示朗さん。あなたは転生の『バグ』に巻き込まれてしまいました。」
『女性』はどこまでも事務的に、無表情にそう言葉を紡ぐ。
俺は意味が分からない。今の俺の顔を鏡でみたら『意味不明』という言葉が顔に書いてあるだろう。
「あぁ、説明がまだでしたね。あなたは死亡しました。通常の死亡方法……であれば問題なくあなたの人格は消え去り、次の転生先への糧となる予定でしたが、あなたは、『通常』ではない方法で死んだのです。」
「………え?」
俺の頭はどうやらイカれちまったようだ。
「コメは実家から送られてくるし…野菜と肉も買ったし今日は一人鍋かな……」
経験がある人にはわかるだろう。どうにも一人だと独り言が多くなってしまうものなのだ。
「さて、帰ろうかな。」
そう独り言を漏らし、愛用の自転車にのる。いわゆるママチャリというやつだ。籠はでかいし、ものがたくさん載る。とても便利なのだよっ。
広い通りを抜け、裏路地に入る……着いた、ここが俺の住んでいるぼろアパート「まつのき荘」だ。
その外観はまさしくぼろアパート。2階への階段は錆び付いていて、塗装も所々剥げかけている。
「今日は楽しい一人鍋~♪」
一人で悲しくなってこないかって?悲しいよっ。だから気分を盛り上げているんだろう!?……まぁ、彼女もいないし、貧乏な大学生なんてこんなもんだ。
自分で言っていて少し悲しくなったが、俺はいつも通り、このぼろアパートの塗装が剥げている扉の取っ手つかみ、ギィ、と開けた。
そこに待っていたのは……唐突な変化。
視界が真っ白にそまる。
「は?………え?………ここは、どこだぁっ!?」
記憶喪失になった人のように、俺がつぶやくのも無理はないだろうと思う。
真っ白。そう、俺は今真っ白い空間の中に居る。
意味が、分からない。
一瞬俺は呆然としてしまったが、こういう時にこそ冷静になるべきだ。
記憶が本当に飛んでいるかもしれない。
「思い出せ……俺は何をしてた?」
確か今日は休日だったはず。家ですることもなく、近所のスーパーで特売品を買ってきたはずだ。玄関をくぐって……それから?
そこで俺は気付いた。ある重要な事実に。
なんと、両手にあったはずの重さがなくなっているではないか。それはつまり……、
「あ!?野菜も肉もない!!俺の食糧どこ行った!?」
そう、スーパーで買ったモノがまるごとなくなっているじゃないか!
なけなしの金を使ってせっかく買ったのに……愛用の買い物袋も、あるはずの野菜や肉もすべて消え去っていた。
スーパーの袋をどこへやってしまったのか、俺がなんとか思い出そうと、混乱する頭を必死に振り絞っているとき、「それ」は突然現れた。
見たこともないような長い金色の髪、薄布に包まれた豊満な胸、六枚の金色の羽毛に包まれた羽、やわらかさが伝わってくるがしっかりしている肢体……そう、美しい女性というよりはどこか神々しい『女性』がそこに居た。
「白井源示朗さん。あなたは転生の『バグ』に巻き込まれてしまいました。」
『女性』はどこまでも事務的に、無表情にそう言葉を紡ぐ。
俺は意味が分からない。今の俺の顔を鏡でみたら『意味不明』という言葉が顔に書いてあるだろう。
「あぁ、説明がまだでしたね。あなたは死亡しました。通常の死亡方法……であれば問題なくあなたの人格は消え去り、次の転生先への糧となる予定でしたが、あなたは、『通常』ではない方法で死んだのです。」
「………え?」
俺の頭はどうやらイカれちまったようだ。
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