髑髏の石版

奥上 紫蘇

序章 ~過去~

超能力者と自ら名乗る殺人鬼がいた。
彼は、自ら超能力が使えると豪語し、これまで警察の目を欺き、数々の犯行を行ってきた。数知れず。警察が把握しているだけでも数十件。間接的なものも含めると、千人ほどを殺してきているといっても過言ではない。
そんな超能力者の犯行を食い止めたのが、赤坂探偵である。
本名は、赤坂和一なりかず
赤坂探偵は、24歳と弱冠ながら私立探偵として、事務所を構えている。
頭脳明晰。彼の外見は普通の好青年といった感じであるが、彼の過去は非常に特異なものである。
具体的なエピソードを一つあげるとするなら、彼は偏差値70を超える頭脳を持ちながら、「家に近いから」という理由で、偏差値30台の大学に入学。入学試験は文句無しの満点。しかも、受験勉強に費やした時間は0時間。
彼を二文字で表すとすれば、"天才"が当てはまるだろう。
そんな彼が、超能力者を逮捕にまで至らせた。
だが、これだけでは終わらなかった。
超能力者は、まるで瞬間移動の超能力を使ったかのように、彼は脱獄を簡単に成功させてしまったのである。
警察、検察の落ち度と言われればそれまでだが、どちらにせよ、超能力者が脱獄したというこの事実は人々を恐怖へと陥れた。
だが、警察関係者はこう言う。
「超能力者は、無差別に人を殺す殺人犯ではありません。超能力者との繋がりがある人。きちんと動機があって、彼は犯行を行っているのです。」
また、犯罪研究を専門にしている人はこう言う。
「超能力者は相当の自信家ですね。超能力者の本名、游江木 険およえぎ けんということを公表しているのが一つ。そして、自らの犯行における被害者のそばに、"超能力者"と書かれた血文字を指紋付きで残す。これらの行動は、普通の人ならなかなかできる事じゃないですよ。」
超能力者は、完全犯罪を行おうとしているのではない。むしろ、本名晒し。血文字残し。指紋残し。証拠をあらゆるところに残している。
つまり、超能力者の犯行の楽しみとしては、警察を欺くことに加え、確実に狙った獲物を捉えられるかどうか。
この二点において超能力者は犯行することを楽しんでいる。
さて、超能力者が復活した今、新たな事件が幕を開ける。
果たして、この事件は解決されるのか。それとも、一生迷宮入りとなってしまうのか。

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