スリップバレット

マハルタ

スリップバレット 序章

『...あの戦争は本当にどーやって
終わらせたのか理解できない。我々も、
そして世界も』
忘れられた世界大戦の謎
  記録 アスティ記者






私の生まれ故郷はダスウェルだ、幼い頃から軍に入ろうなんて思ってもいなかったし、入ろうなんて気もなかった。だが、戦争が始まり学校で体力適性検査が義務化されそこで普通に受けてしまったが故にダスウェル士官学校に強制入学させられてしまった。士官学校での日々は最悪だったが、卒業後、すぐに士官なれるので安定した給料が入り、案外悪いものではないと思っていた。仕事も駐屯基地で事務作業員としてだったので危険はなかった...はずだったんだ、あの紙が来るまでは。

「はぁ~...」やるせなくため息をついてしまった。「どうしました?何か嫌なことでもありましたか?」と嫌らしく聞いてくる。腹が立つ「そんなわかりきったことを聞いて楽しいのか?グルズ少尉?」と苦笑しつつ言うと、とぼけた顔で、「さて、何のことやら、《シルビア小隊長》どの♡」とぬかしてきた、キレそうだ。なんで小隊長なんかやらなければいけないのか、もともとは事務作業員なのだぞ、と考えていたらすぐに機嫌が悪くなったことに気がついたグルズ少尉はコーヒーを注いできた。ムカつく奴なんだがこれでも前線基地内では気が利く方だな、と思いつつコーヒーに手を運ぶ。
「ッッ!これも代用コーヒーか!くそ!士官の嗜好品まで代用になるとは!」と悪態ついてしまう。黒パンまでは我慢できたがコーヒーまで消されるとなると怒りが込み上げてきた。「まぁコーヒーはほとんど輸入品ですからね、滅多に入ってきませんよ」それはわかりきっていた。だが実際にここまで供給されてないとなると多分ほとんどないんだろうな、と落ち込んでしまうものだ。「これからは毎日が代用コーヒーか...」
それでもまだ全員分の食事があるだけ幸せだったのでこれ以上は何も言えなかった。

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