神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
馬車の中で
大和 光は目を覚ました。
――ぐるるぅー
目覚めたと同時にお腹がなった。
ガタゴト揺れているが、後頭部は柔らかい。
目を開けると山が見えた。
逆光なのか、黒く大きな山だ。
二つならんでそびえ立ち、ときおり揺れている。
地震か?
「お目覚めになりましたか?」
山の向こうから涼やかな声が聞こえる。
すわ、山の女神の降臨か、と思ったが冗談はそろそろやめる。
「はい。すみません、気を失ってしまったようですね。」
光は横になったまま答える。
「はい。光様は賊を倒したあと、気を失われました。……その、そのときのことは覚えておられますか?」
「ええ……たしかお名前を伺って……リリーナ・レギン様、でよろしかったでしょうか?」
「はい、そうです。……それで、そのあとのことについてはなにも覚えておられませんか?」
「そのあと、ですか?……いえ、なにも。なにかあったでしょうか?」
「いえ、なにも!なにもありませんわ!!」
リリーナは頬を上気させ、慌てた様子で答える。
「それより、お腹が空いてらっしゃいますのね?クッキーしかありませんが、良ければお食べになってください。」
「ありがとうございます。いただきます。」
光はゆっくりと起き上がる。
その際、ドレスの上から布が巻いてある2つの山に顔が少し触れてしまうのは、仕方のないことなのだ。
仕方のないことなのだ。
「ひとまず、今の状況を説明しますわ。」
光はクッキーを食べながら、リリーナの話を聞く。
話をまとめると、こうだ。
リリーナ王女はもともと森の向こうにある街に視察に向かう途中であり、道中で野盗に襲われた。
護衛と分断され、森に追いやられて殺されそうになっていたところを、俺に助けられた。
おれが気絶したあと、目を覚ました御者のアイリスが馬車を直した。
来た道を戻っても、護衛と合流できるかわからない。
目的地は森を抜けたすぐ先にある、二人は話し合い、このまま目的地に向かうことにした。
「今の状況は以上ですわ。次は、光様のお話を伺いたいのですが……」
「ぼく、ですか?」
「はい。まず、あなたはなぜあの場所にいたのですか?」
そう言ったリリーナの目は、真剣だった。
――ぐるるぅー
目覚めたと同時にお腹がなった。
ガタゴト揺れているが、後頭部は柔らかい。
目を開けると山が見えた。
逆光なのか、黒く大きな山だ。
二つならんでそびえ立ち、ときおり揺れている。
地震か?
「お目覚めになりましたか?」
山の向こうから涼やかな声が聞こえる。
すわ、山の女神の降臨か、と思ったが冗談はそろそろやめる。
「はい。すみません、気を失ってしまったようですね。」
光は横になったまま答える。
「はい。光様は賊を倒したあと、気を失われました。……その、そのときのことは覚えておられますか?」
「ええ……たしかお名前を伺って……リリーナ・レギン様、でよろしかったでしょうか?」
「はい、そうです。……それで、そのあとのことについてはなにも覚えておられませんか?」
「そのあと、ですか?……いえ、なにも。なにかあったでしょうか?」
「いえ、なにも!なにもありませんわ!!」
リリーナは頬を上気させ、慌てた様子で答える。
「それより、お腹が空いてらっしゃいますのね?クッキーしかありませんが、良ければお食べになってください。」
「ありがとうございます。いただきます。」
光はゆっくりと起き上がる。
その際、ドレスの上から布が巻いてある2つの山に顔が少し触れてしまうのは、仕方のないことなのだ。
仕方のないことなのだ。
「ひとまず、今の状況を説明しますわ。」
光はクッキーを食べながら、リリーナの話を聞く。
話をまとめると、こうだ。
リリーナ王女はもともと森の向こうにある街に視察に向かう途中であり、道中で野盗に襲われた。
護衛と分断され、森に追いやられて殺されそうになっていたところを、俺に助けられた。
おれが気絶したあと、目を覚ました御者のアイリスが馬車を直した。
来た道を戻っても、護衛と合流できるかわからない。
目的地は森を抜けたすぐ先にある、二人は話し合い、このまま目的地に向かうことにした。
「今の状況は以上ですわ。次は、光様のお話を伺いたいのですが……」
「ぼく、ですか?」
「はい。まず、あなたはなぜあの場所にいたのですか?」
そう言ったリリーナの目は、真剣だった。
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