王寺様の嫁さがし

ノベルバユーザー313843

ma-sk

雪次郎の行動は早かった。

ため息をしている薫の横でもう学園への転入先へ連絡をいれていた。

「おう。わしわし。ちょっと孫を転入させてくれや。」
オレオレ詐欺のような言い回し。
「まあ、社会見学みたいなものよ。孫はもう大学も卒業しているしな。じゃあ会社の引き継ぎもあるから5月くらいから頼む。」

あまりの手際の良さにさすがじいちゃんと関心した。
しかし、そこで会話に薫が割り込んできた。

「雪次郎様!ご提案があるっす。私も若にお供させていただけないっすか?」

薫の口調は親しい人たちの間だとこういう風になる。
まあ、小さい頃から自分と一緒だったからじいちゃんのことも親戚のおじさんみたいな立ち位置なのかもしれない。

雪次郎
「でもよーこれからの業務はどうすりゃいい?さすがにわし一人じゃつかれちゃうな~」
顎髭をさわり困った仕草をするが顔は逆てでニヤニヤしている。
これはわざとだ。薫の反応をみたくてやってるな。


「いや、若は頭はいいかもしれませんが、団体行動と一般常識の面が…私がサポートにあたれば問題ないと思うっす!あと雪次郎様のサポートですがうちの姉でどうでしょう?今はフリーなんで雪次郎様がよろしければですが。」
薫の姉はすごい。どれくらいすごいかというとじいちゃんと同等のスペックを持っている。
欠点は飽きやすくしかもシスコンなところだ。自分にもあまいのでブラコンなところもあるのかな?

雪次郎
「そうなら願ったり叶ったりだ。譲お前もいいパートナーをもったな!」
と高笑いしているが何がそんなに嬉しいのかわからない。
パートナーはこれから探すと言ってるのにな?
まあサポートしてくれるのはありがたいけど。

「よし。じゃあ早速二人の転入手続きはおわらせてきた。それで譲と薫に説明しなければならないことがある。ついてきな。」
そういわれて薫と自分は雪次郎の後を追いかけた。


雪次郎は迷路のような通路を迷わずスタスタと歩いていく。
こっちは科学開発棟のあたりだな。
そしてその一番奥、厳重なセキュリティがされていそうな部屋の前で立ち止まり雪次郎の指紋と声帯認証で重々しい音をあげながら扉が開いた。

雪次郎
「これから二人に条件を出す。王寺譲ということを伏せて一般生徒として学園生活をしてほしい。その為のこれはプレゼントだ。」

そう言って下から現れたのは透明な宇宙服のような物。


「これは?じいちゃんよくわからないんだけど。」

雪次郎
「よくぞ聞いてくれた。これはわが社が極秘開発した。スーツ型特殊メイクma-skだ。」
自慢気な顔でまだまだ説明が続く。
「このma-skは髪型、体型、顔の形を自由に変更することができる。さらに色々な特殊機能付きじゃ♪原理はスーツに形状をプログラムしてそこにスーツの膜と膜の間に水を入れる感じじゃな。簡単に言うとウォーターベッドに包まれてるようなものじゃ♪」所々の♪マークが気になるが一応聞いてみよう。


「じいちゃん、別に水いれなくてもよくないかい?」

雪次郎
「いや、空気だと張りはできるが弾力が不自然になってしまい特殊メイクにはならないし、ゴムや樹脂だと形状を変えるのに手間がかかるんだ。」


「そうなんだ。納得。それで何でこれくれるの?」
雪次郎
「だって中身を見てもらいたいんだろ?お前みたいな有名人は中途半端に変装してもダメだと思ってな。でもくれぐれも注意して使えよ。そのma-skがあれば国の一つや二つすぐに征服できる。肝に命じておくように!」


「うわー話が壮大すぎるっす。(゚ω゚;)」


「了解!じゃあ早速使い方教えてくれ!」

雪次郎
「じゃあまずは…」


こうしてma-skの使い方を覚え、会社の引き継ぎなど1ヶ月かかり…
そして、5月のゴールデンウィーク明けの今日。

変装王寺譲のパートナー(嫁)さがしがはじまる。

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