ご落胤王子は異世界を楽しむと決めた!WEB版
少女
「あいたた……一体、どうなって」
ずいぶん落ちた気はしたが、それほどの衝撃は受けなかった。気が付いたときには、情けないことに仰向けの恰好で寝転がっていたのである。
そこで、リュシアンはふと心配になった。
落下に耐えられたのが無属性の身体強化のおかげなら、他のみんなは無事ではすまないのではないかと。
とっさに慌てて起き上がると、それまで腹のあたりに乗っていたものが、ころりと足の方へと転がった。その時、初めて何かが自分の上に乗っていたのだと気が付いて、何気なくその物体を見下ろした。
ちょうど両足の膝辺りに、手の平を置き、その上に頭が乗る形で、ソレは横たわっていた。体重全体が乗っていないとはいえ、あまりに軽くてまさか人だとは思わなかった。
長いサラサラヘアーで女の子っぽい、ということで咄嗟にニーナを連想した。怪我でもして気を失っているのではないかと、慌てふためいて顔を隠している髪に手をかけようとした。
「ニーナッ?!……大丈…っ」
薄暗くてすぐには気が付かなかったが、すぐに違和感を感じた。ニーナより、かなり小さな身体。髪も、かなり長い。
それに、なにより……。
「なんで裸なのっ!?」
「……暗いわね、ちょっと何を騒いでいるの? リュシアン、誰が裸ですって?」
リュシアンが叫ぶのと同時に、ニーナが離れた場所から声を掛けてきた。座り込むアリスに声をかけ、今はエドガーの頭をぺしっと遠慮なく叩いて起こしている。
「……え、じゃあ、だ、誰? この子」
ニーナを遠目に見ながら、リュシアンは再び視線を足に横たわる少女へと戻す。
くるぶしまで届きそうな長い髪に身体は隠れていたが、俯き加減で膝に頭を預けているその顔は、どう見ても女の子に見えた。
ちょっと薄暗いので断言できないが、それでも見覚えのない顔だと思った。
リュシアンはパニックになりながらも、カバンからキャンプの際に使う毛布を一枚取り出して、とりあえず少女の身体を覆った。とにかく目のやり場に困るし、この状態を見られるのはちょっときまりが悪い。
その頃になると、ようやく遠目でもリュシアンの様子が普通ではないことがわかったのか、ニーナが足元に注意しながら駆け寄ってきた。
「………誰?」
「僕が聞きたいよ。気がついたら、僕の上に乗っかってたんだ」
ニーナとアリスの眼が、ちょっと据わっている。
「言っとくけど、僕が脱がしたわけじゃないからね!」
言い訳の必要もないのに、ついつい余計な事まで言ってしまう始末。ますますニーナ達の目が胡乱気になっていく。本当の事なのに、言い訳しているように聞こえから不思議である。
そんなリュシアン達をよそに、いつもは大人しく頭に乗っているチョビが、なぜかソワソワと落ち着きなく身体を動かしていた。
「どうしたの? チョビ」
こんなことは、余計な物を身体に着けれた時か、人混みの中に入った時くらいだ。
すると、ぴょんと頭から降りてリュシアンの身体を伝って足まで移動した。何をするのかと、何気なく目で追っていると、なぜかチョビは少女の身体を押し始めた。
膝の上にしな垂れ掛かるように身体を預けている少女に、チョビはざらざらの頭を押し付けて、ぐいぐいと押しのけようとしたのだ。
「ちょっ、ちょっとチョビ?! だめだよ、何してるの?」
ようやくチョビの意図に気がつき、止めようとしたが間に合わなかった。少女の頭は押されるままに地面に、ゴチンと大きな音を立ててずり落ちてしまった。
「わーっ!? なんてことするんだチョビ!」
少女を押しのけたチョビは、まるでここは自分の場所、と言わんばかりその膝に満足げに身体を丸めようとしたが、すぐにリュシアンが立ち上がったために、結局、少女と同じ運命を辿った。
ずいぶん落ちた気はしたが、それほどの衝撃は受けなかった。気が付いたときには、情けないことに仰向けの恰好で寝転がっていたのである。
そこで、リュシアンはふと心配になった。
落下に耐えられたのが無属性の身体強化のおかげなら、他のみんなは無事ではすまないのではないかと。
とっさに慌てて起き上がると、それまで腹のあたりに乗っていたものが、ころりと足の方へと転がった。その時、初めて何かが自分の上に乗っていたのだと気が付いて、何気なくその物体を見下ろした。
ちょうど両足の膝辺りに、手の平を置き、その上に頭が乗る形で、ソレは横たわっていた。体重全体が乗っていないとはいえ、あまりに軽くてまさか人だとは思わなかった。
長いサラサラヘアーで女の子っぽい、ということで咄嗟にニーナを連想した。怪我でもして気を失っているのではないかと、慌てふためいて顔を隠している髪に手をかけようとした。
「ニーナッ?!……大丈…っ」
薄暗くてすぐには気が付かなかったが、すぐに違和感を感じた。ニーナより、かなり小さな身体。髪も、かなり長い。
それに、なにより……。
「なんで裸なのっ!?」
「……暗いわね、ちょっと何を騒いでいるの? リュシアン、誰が裸ですって?」
リュシアンが叫ぶのと同時に、ニーナが離れた場所から声を掛けてきた。座り込むアリスに声をかけ、今はエドガーの頭をぺしっと遠慮なく叩いて起こしている。
「……え、じゃあ、だ、誰? この子」
ニーナを遠目に見ながら、リュシアンは再び視線を足に横たわる少女へと戻す。
くるぶしまで届きそうな長い髪に身体は隠れていたが、俯き加減で膝に頭を預けているその顔は、どう見ても女の子に見えた。
ちょっと薄暗いので断言できないが、それでも見覚えのない顔だと思った。
リュシアンはパニックになりながらも、カバンからキャンプの際に使う毛布を一枚取り出して、とりあえず少女の身体を覆った。とにかく目のやり場に困るし、この状態を見られるのはちょっときまりが悪い。
その頃になると、ようやく遠目でもリュシアンの様子が普通ではないことがわかったのか、ニーナが足元に注意しながら駆け寄ってきた。
「………誰?」
「僕が聞きたいよ。気がついたら、僕の上に乗っかってたんだ」
ニーナとアリスの眼が、ちょっと据わっている。
「言っとくけど、僕が脱がしたわけじゃないからね!」
言い訳の必要もないのに、ついつい余計な事まで言ってしまう始末。ますますニーナ達の目が胡乱気になっていく。本当の事なのに、言い訳しているように聞こえから不思議である。
そんなリュシアン達をよそに、いつもは大人しく頭に乗っているチョビが、なぜかソワソワと落ち着きなく身体を動かしていた。
「どうしたの? チョビ」
こんなことは、余計な物を身体に着けれた時か、人混みの中に入った時くらいだ。
すると、ぴょんと頭から降りてリュシアンの身体を伝って足まで移動した。何をするのかと、何気なく目で追っていると、なぜかチョビは少女の身体を押し始めた。
膝の上にしな垂れ掛かるように身体を預けている少女に、チョビはざらざらの頭を押し付けて、ぐいぐいと押しのけようとしたのだ。
「ちょっ、ちょっとチョビ?! だめだよ、何してるの?」
ようやくチョビの意図に気がつき、止めようとしたが間に合わなかった。少女の頭は押されるままに地面に、ゴチンと大きな音を立ててずり落ちてしまった。
「わーっ!? なんてことするんだチョビ!」
少女を押しのけたチョビは、まるでここは自分の場所、と言わんばかりその膝に満足げに身体を丸めようとしたが、すぐにリュシアンが立ち上がったために、結局、少女と同じ運命を辿った。
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