ご落胤王子は異世界を楽しむと決めた!WEB版
それぞれの装備
「やだよ、あんな細い剣。叩き切れないじゃないか」
「切るんじゃないわ、あれは突く剣よ。鎧通しとも言って、力がなくても鎧の隙間から急所をつける、結構エグイ剣よ」
ニーナはニヤリと笑った。
学生相手に、急所を突つくアドバイスをするお姫様には、さすがに全員が引いた。
とはいえ、現実的には魔物や遠距離への敵には魔法攻撃で対処して、接近されたらバックラーでかわしつつ間合いを取って突きで応戦というのは、悪くないチョイスといえた。
もっとも、当の本人は微妙な顔で黙り込んでいるので、気に入らないのは一目瞭然だ。
「もし本当に大剣を使いたいのなら、十分に身体を鍛えてからでも遅くはないわよ。それまでは、姫様の案が理に適っているわ」
納得いかない自分の属性への反抗と、剣に対する盲目的な憧れが邪魔をして頑なにはなっているが、はっきり言ってエドガーの素質自体は飛びぬけているといっても過言ではない。
体力はそこそこあるので、平凡な大剣使いにならひょっとしてなれるかもしれない。けれど、稀有なその才能を伸ばすことに努めたのなら、もしかしたら他にないほどの回復魔法を扱う魔法使いに育つかもしれない。どちらにしても、本人の意思が伴わなければ中途半端に終わってしまうだろう。
武闘派の少女二人に諭されて、エドガーはしぶしぶ折衷案を飲むことにしたらしい。エドガーもここ数日、剣術の授業を受けてみて、自分に向いてないことは嫌というほど骨身に滲みていた。でも、剣は諦めきれない。それなら、今まで通りに体力づくりは続けて、自分にあう剣術を身に着けるのも悪くないと思ったのかもしれない。
リュシアン達は、とある防具屋に入っていった。
学生ご用達の有名店だ。学生たちの口コミは馬鹿にできない。下手な噂がたてば、あっという間に閑古鳥が鳴いてしまう。そんなわけで、この辺のお店はそこそこ信用ができるのだ。
ここでは、先ほど話していたエドガーのバックラーを見繕った。バックラーは盾だが重装備な鎧騎士が持つような大きなものではない。ある意味、リュシアンが愛用している籠手に性能が近い。軽くて小さな金属製で、手に持つタイプと腕に装着するタイプがあった。防御というより、いなすための防具だ。
そして、リュシアンはマント型の羽織るローブを買った。
「言っておくけどこの季節、森で夜を明かすのは容易じゃないわ。リュシアンが夜露で濡れたら大変だもの、これくらいのマントは必要よ」
ニーナはすっかりお姉さんモードである。買い物に来てからというものニーナとアリスに主導権を握られっぱなしだった。リュシアンなどは、デパートでエレベーター脇の椅子で、頬杖ついて手持無沙汰にしていた世のお父さんたちを、懐かしく思い出したりもした。
バサバサしてマントはあまり好みではなかったが、ここは逆らうべきではないのだろう。
その後、ニーナは金属で補強された革製のグリーブを入念に選び(あれで蹴られたらたぶん命はない)、アリスは革製の胸当てと、こちらは普通のブーツを買っていた。
そして武器屋では、エドガーの剣とリュシアンの投擲用のナイフ数本、あとはニーナの短剣を買いそろえ、とりあえずキャンプにおけるあらかたの装備の準備は整った。
「切るんじゃないわ、あれは突く剣よ。鎧通しとも言って、力がなくても鎧の隙間から急所をつける、結構エグイ剣よ」
ニーナはニヤリと笑った。
学生相手に、急所を突つくアドバイスをするお姫様には、さすがに全員が引いた。
とはいえ、現実的には魔物や遠距離への敵には魔法攻撃で対処して、接近されたらバックラーでかわしつつ間合いを取って突きで応戦というのは、悪くないチョイスといえた。
もっとも、当の本人は微妙な顔で黙り込んでいるので、気に入らないのは一目瞭然だ。
「もし本当に大剣を使いたいのなら、十分に身体を鍛えてからでも遅くはないわよ。それまでは、姫様の案が理に適っているわ」
納得いかない自分の属性への反抗と、剣に対する盲目的な憧れが邪魔をして頑なにはなっているが、はっきり言ってエドガーの素質自体は飛びぬけているといっても過言ではない。
体力はそこそこあるので、平凡な大剣使いにならひょっとしてなれるかもしれない。けれど、稀有なその才能を伸ばすことに努めたのなら、もしかしたら他にないほどの回復魔法を扱う魔法使いに育つかもしれない。どちらにしても、本人の意思が伴わなければ中途半端に終わってしまうだろう。
武闘派の少女二人に諭されて、エドガーはしぶしぶ折衷案を飲むことにしたらしい。エドガーもここ数日、剣術の授業を受けてみて、自分に向いてないことは嫌というほど骨身に滲みていた。でも、剣は諦めきれない。それなら、今まで通りに体力づくりは続けて、自分にあう剣術を身に着けるのも悪くないと思ったのかもしれない。
リュシアン達は、とある防具屋に入っていった。
学生ご用達の有名店だ。学生たちの口コミは馬鹿にできない。下手な噂がたてば、あっという間に閑古鳥が鳴いてしまう。そんなわけで、この辺のお店はそこそこ信用ができるのだ。
ここでは、先ほど話していたエドガーのバックラーを見繕った。バックラーは盾だが重装備な鎧騎士が持つような大きなものではない。ある意味、リュシアンが愛用している籠手に性能が近い。軽くて小さな金属製で、手に持つタイプと腕に装着するタイプがあった。防御というより、いなすための防具だ。
そして、リュシアンはマント型の羽織るローブを買った。
「言っておくけどこの季節、森で夜を明かすのは容易じゃないわ。リュシアンが夜露で濡れたら大変だもの、これくらいのマントは必要よ」
ニーナはすっかりお姉さんモードである。買い物に来てからというものニーナとアリスに主導権を握られっぱなしだった。リュシアンなどは、デパートでエレベーター脇の椅子で、頬杖ついて手持無沙汰にしていた世のお父さんたちを、懐かしく思い出したりもした。
バサバサしてマントはあまり好みではなかったが、ここは逆らうべきではないのだろう。
その後、ニーナは金属で補強された革製のグリーブを入念に選び(あれで蹴られたらたぶん命はない)、アリスは革製の胸当てと、こちらは普通のブーツを買っていた。
そして武器屋では、エドガーの剣とリュシアンの投擲用のナイフ数本、あとはニーナの短剣を買いそろえ、とりあえずキャンプにおけるあらかたの装備の準備は整った。
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