スピリッツウィッチ~ダンジョン攻略がんばります~ 

夢見叶

第五十話 準備

 メリッシュさん達と別れた後、私はギルドへと足を運んでいた。

「ミレイどうしたの?」

 中に入った私にいち早く気づいたエレナさんがこちらに近づいてきた。

 なんて言ったいいのかな?

「確か今日は、マスターから呼び出し受けてたんだよね?」

「それはもう終ったよ」

「そうなんだ! そうだ祭りの日休みもらえたよ」

 凄く嬉しそうに言ってくる。

 私はとても申し訳なくて言い出しにくい。

「そのことなんだけど、ごめん! 一緒に回れなくなったの」

「え~!」

 そうだよね。そう言う反応になるよね。

 私は先程のお好み焼き天でのことを話した。

「そうだったの」

 少し考え込むエレナさん。

 そして、

「それなら私も手伝うわ! せっかく三日も休み貰ったしね」

「いいのですか?」

「いいよ、それにミレイとなら楽しそうだし」

 私は心の中でありがとうと呟いていた。

 その日は宿へと戻った。

 翌日、私達はお好み焼き天に集っていた。

 エレナさんも特別に休みが貰えたらしくここに居る。

「何かいいアイデアはない?」

 集ったのはいいのだが話し合いは行き詰まっていた。

 手伝う事になったのはいいのだが、祭りまで後一週間しかんない。それに準備も進んでないのである。

「まずは場所じゃないですか?」

「そうね、味がよくても人がこない場所じゃ意味ないしね」

「それなら俺に任せてくれ!」

 亭主さんが自信満々に言う。

 それならと私達も全員一致で任せることにした。

「それなら屋台は私に任せてください」

 私は一つあてがあったので提案してみると、

「大丈夫なの?」

 メリッシュさんがとても心配そうに聞いてくる。

「大丈夫です。後で亭主さんは私と一緒に来て貰っていいですか?」

「わかったぜ!」

 まだ何も話していないけど多分大丈夫だよねなどと思っていた。

「はぁ~」

 横でため息をついているフレイ達精霊一同。

 ――皆どうしたの?

 私は何故ため息をついているのか分からずに聞いて見る。

「ミレイ様、アベル様に確認を取られてから言うべきでなかったのですか?」

 ――大丈夫だよ、きっとね!

 可愛く答えてみると、

「分かりました」

 諦め声で胃言われた。

 それから、話しも進み、衣装はメリッシュさん、アキさんが担当することになり、売り子を全員でやることになった。

 そして、

「後ミレイは武闘大会で優勝すること!」

 三人が声をそろえて言ってくる。

「そうすれば店の宣伝も出来るしね」

 なるほど確かにいいアイデアだけどそれって私だけ大変じゃないですか!

 などと心の中で突っ込んでしまう。

 いろいろなことも決まり、今日の所は解散となった。

 それから私は、亭主さんと一緒にアベルさんの店に来ていた。

「すみませ~ん」

「その声はミレイか!」

 店の奥からアベルさんの声が聞こえる。

「今日は何のようだ! 刀調整か!」

 声が凄く嬉しそうだ。

 でも、今日の用事は、

「今日は別の用事なのです。亭主さん」

 私の後ろに居た亭主さんが前に出てくる。

「初めまして、北区でお好み焼き天と言うお店を出しております。ゼルクと申します」

「俺はこの店の亭主をしているアベルだ! それでも何のようだ!」

 何故か目をキラキラとさせているアベルさん。

 でも、今日はアベルさんが想像していることとは全く別の用件で来たのです。

「アベルさんに折り入って相談がありまして……」

「相談てっか! 俺とミレイの中じゃね~か! 何でも言ってくれよ!」

 それならお言葉に甘えさせてもらおう。

「屋台を作ってくれませんか!」

「はぁ~!」

 思いもよらないことを言われたアベルさんは大声で叫んでいた。

「俺は刀鍛冶師だ。その俺が何で屋台なんかを」

「そこをなんとかお願いします」

 私は頭を下げてお願いする。

 それに続き亭主さんも頭を下げる。

 だが、

「刀の事じゃないなら帰ってくれ。俺も礒が忙しいんだ!」

 店に奥に戻ろうとするアベル。

「店の収益の三割を今回の仕事の報酬にすると言ってもですか!」

 アベルさんのお店はお世辞にも儲かっていない。だって、お客私しか居ないんだもん。

「ミレイさん何を言っているのですか?」

 亭主さんが驚いていた。

「これでいいんです。だって今回の祭りのでの目的は儲けることではなく店の味を知って貰うことなのですから」

「それもそうですが~」

「ここは私に任せておいてください」

 私は胸を叩き自身をアピールすると、渋々了承してくれた。

「ミレイの嬢ちゃんそれは本当かい?」

「はい、それとこれを食べてみてください」

 私は異空間収納にしまっていたモダン焼きを渡す。

「なんだこれは?」

「一度食べてみて下さい!」

 一口食べた瞬間アベルさんの表情が変わる。

「なんだこれは! うますぎる」

 アベルさんはもの凄い勢いで食べてしまった。
 
 そして、

「屋台作ってやる」

 あっさりと受けてくれたのである。

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