少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記
18話フィールドボス 現実の話-2
18話
「……ふむ、ボスは修正で【草狼】という弱いボスにされたはずなのですが、挑戦しているプレイヤーが見受けられませんね…」
私は【草狼】の索敵範囲外ギリギリから、【草狼】の周囲を【魔力感知】で探り、プレイヤーが誰一人として挑んでいないことを確認した。
「群で出現することを知らなかったんじゃないかな?現に掲示板が荒れてるしね。ふふ、情報を集めずに挑んだくせに文句で掲示板荒らすなよ…」
…クイっとメガネを上げて、くつくつくつと笑いながらキュウさんは言いました。
…見た目にそぐわずお腹の中は真っ黒ですね。相変わらず。
「––––さて、あやくん。こちらの準備は出来ているが、良いかな?」
「こちらもおーけーです。では行きましょうか」
【スライム王】と違って【物理無効】もないでしょうし、初手はやはりこれにしましょうか。
「【短剣術:アーツ:ストロングナイフ】」
私は駆け出しながら、【紅桜】を【草狼】に投擲しました。
投擲された【紅桜】はドンドンと勢いを増し、それになぜか気づけなかった【草狼】にそのまま突き刺さりました。
「GURUOOOOOOOOOO!!!!」
【草狼】は怒りを込めた瞳で、私を睨みつけてきました。どうやらヘイトは取れたようですね。
「多少の援護はするよ?」
「…ありがとうございます。では––––」
【草狼:2900/3000】
さて、単体だけならばザコなのですが…、果たしてどうなることやら。
私はこちらに向かって怒り心頭で駆けてくる1匹の【草狼】を見据えて、まず一つの魔法を発動させます。
「【氷の壁:消費MP増加:2000】【HP変換】【自己修復】」
私の目の前に、およそ縦3メートル、横3メートルの氷でできた壁が現れました。
消費MPを増やしたことによって強度が増し増しになっています。
ものすごい勢いで駆けていた【草狼】は、当然ながら急に止まれるはずもなく––––バキィィィ!という音を立てて【氷の壁】に激突しました。
ふむ、首の骨でも折れましたかね?
私はそれを確かめるためにひょっこりと【氷の壁】の傍から顔を出します。
【草狼:230/3000】
首がおかしな方向に曲がっているのを確認しました。…ほぼ瀕死じゃないですか。これだけで終わったら正直拍子抜けなんですが…。まだ使ってない魔法らもあるんですよ?
私は瀕死の【草狼】をじっと見つめます。さっさと仲間を呼べよ的な意を込めて。
すると突然、その狼の周りにおよそ10個以上の魔法陣らしきものが現れました。
おお、結構多いですね。群を全部読んでくれたのでしょうか。
「というわけで用済みです。あなたはどうぞ消えてください」
私は瀕死の【草狼】に向かって【氷刃】を放ちました。変な方向に曲がった【草狼】の首は、ポーンと宙へと撥ね飛びました。
鑑定の結果によると魔法陣から狼が現れるのはあと10秒…。とりあえず使っておきますか。
「【耐寒付与:対象:キュウ、Aya】【耐冷付与:対象:キュウ、Aya】」
寒さに対する耐性をそれぞれ私とキュウさんに付与して、私はある氷魔法を発動させる。
「【HP変換】【銀世界:対象:フィールド:始まりの平原】」
私がそう唱え終わると、先ほどまで晴れていた空は暗雲に覆いつくされ、はらりはらりと雪が降ってきました。
ほんの数秒で、雪はおよそ1cmほど積もってしまいました。
そういえば【左翼の全知のイヤリング】使ったことなかったですね…。せっかくですし使ってみましょうか。
私が【全回復】と呟くと、【左翼の全知のイヤリング】がまばゆい光を発しました。すると、私のHP、MPが全回復しました。SPは使ってないので回復もなにもありませんね。
ちょうど十秒が経過したのでしょう。私の目の前に、ざっと数えて15匹の【草狼】が現れました。
それらは全部、私をみて目をギラつかせています。私のことを獲物と認識したのでしょう。
それらは一斉に私に飛びかかってきました。
「【空歩】」
私はそれをバックステップをして、空を飛ぶことで回避します。ついでに置き土産も残して。
【草狼】たちは空中から自分たちを見下ろす私に向かってバウっバウっと何度も吠えてきます。残念ですがあんまり怖くありませんね。
しびれを切らした1匹の【草狼】が、結構高めのところにいる私のところへと飛びかかってきました。
そして––––
「GAUUッ?!」
その狼は突如として現れた、氷でできた檻に飲み込まれました。
ガンガンっと狼が氷の檻を打ち付ける音が聞こえます。それを見た仲間の狼たちが、より一層鋭い視線をこちらに送ってきます。
ふむ、これが魔法罠ですか…。ふつうに使えますね。グッドな意味で。
ちなみにセットした魔法はわかると思いますが【氷の檻】です。
あと使ってないのは【残像】だけなのですが…、これはあとにとっておきましょうか。私はチラリと一瞬だけ顔を後ろに向けます。
そしてキュウさんの方をむきます。
「キュウさん、倒しちゃってもいいですか?」
「もちろんだよ。もうデータは十分だ。本当に弱いみたいだ」
キュウさんの許可も貰いましたし、やっちゃいましょう。耐冷と耐寒は残っていますよね。
雪が降っている状態であれを使ったらどうなるのでしょうか。
「【暴風吹雪:対象:草狼】キュウさん、お気をつけを」
私がそう唱えたあと、ほんの少ししか降っていなかった雪が、だんだんと強くなり始めて–––––
––––ほんの数秒で、全ては終わっていました。
効果範囲内の豊かな大地は全てが凍りつき、【草狼】たちはすでに凍死していました。まあ、暖かな草原で生きている動物が、突然の気温低下に耐えられなかったんでしょうね。もしくは凍傷。
〈ワールドアナウンスです。ただいま、【初心者の平原】のフィールドボス、【修正済み】〈グラスウルフ〉が《Aya》率いる《処理班》に始めて討伐されました。〉
《【始まりの平原】のフィールドボスを討伐しました。報酬はポストに投函されます》
終わりましたね。さて、あとは––––
「––––キュウさん、右に一歩ずれてください」
「?」
キュウさんは言われらた通りに避けてくれました。
そしてそのすぐあと、彼女が先ほどまでいたところに、3本の短剣が突き刺さっていました。
「なっ?!」
ふむ、全て同じところに投擲したということは、戦闘慣れしていないど素人、もしくは全てスキルに任せて投げたということですね。
そして飛んできた方向は––––
「こちらはキュウさんが攻撃されてますし、PK判定にはなりませんよね…?」
脇を締めて、余計な力は込めずに、腕や肩に余計な力を入れないようにします。
そして右足を踏み出し、【紅桜】を握った腕を、胸のあたりにまで振り下ろし、【紅桜】を投擲しました。
「こんなど素人なら、投擲したあとは絶対に投擲場所から動かない」
《システム判断……、完了。プレイヤーがパーティメンバーに対し【アーツ】の使用が確認されたため、これはPKにカウントされません》
倒せたみたいですね。うわあ、こんなど素人のくせにPKやってるんですか…。たかが知れますね。
「……ふむ、PKか。よく気づけたね、あやくん」
「…【回帰】。偶然ですよ、偶然」
私は【紅桜】を鞘にさします。
私はチラリと空を見上げます。すでに雪は止んでいて、太陽が顔をのぞかせています。
「では、そろそろ夕食どきなので、また」
「今日はありがとうね、ではまた今度」
私は夕食を摂るため、キュウさんにまた、と挨拶を告げてログアウトをしました。
ヘッドギアを頭から取り外した私は、少しの間だけぽけーっとして、ヘッドギアをベッドの上に置いた。
そして軽く伸びをして、ベッドから降りる。
「……うん、楽しかった。…楽しかった?」
今日の夕食はオムライスにしよう。そんなことを考えながら、私はキッチンに向かうため階段をゆっくりと降りていった。
キッチンについた私は、まずまな板やボールなど必要な器具を取り出して机に置き、そのあとに冷蔵庫から卵、ケチャップを取り出して、買い物カバンから、人参、ひき肉、玉ねぎ、そしてキャベツを取り出した。
さっと調理器具を水で洗い、キッチンペーパーで拭く。全部吹き終えた私は、卵を割ってボウルの中に入れた。
左手でボウルを抑えて、右手にミキサーを持つ。そして卵をかき混ぜる。そこに少しの調味料を入れて、またかき混ぜる。全体的に黄色っぽい色になったらラップをかぶせていったん放置。
次に野菜を切る。人参はブロック状に小さく切って、玉ねぎは皮、というか食べられない––––厳密には食べられるのだが––––部分を剥いて、それも同様にブロック状に切る。
キャベツは周りの葉っぱを剥いて食べられる大きさになるまでスパっと切る。
切り終わったらもう一つのボウルに、その切ったものを入れる。別々に分ける必要はない。だって食べられればいいのだから。
次にフライパンを火にかけて、少し温まったら油を引く。フライパンを左右に傾かせて、油を広げる。
少し待ってから、ひき肉をべこべこと発泡スチロールから引き剥がしてフライパンに投入する。菜箸をつかって、炒める。
いい具合の色になったら野菜らを投入。まあ炒める。玉ねぎが透明っぽい色になったらOKの証。
玉ねぎが透明っぽい色になったので、ご飯を投入する。その上からケチャップを適当にかける。
しゃもじを手に持ち、ご飯をほぐしながら炒める。
ご飯と挽き肉や野菜がしっかりと混ざり、ご飯がケチャップによって赤くなっているのを確認したあと、火を消してそれを底の少し深いお皿に移す。
次にもう一つのフライパンを用意して、火にかける。そして先ほどと同じことをする。
そして、といた卵をそこに流し込むように入れる。固まる前にフライパンを左右に傾かせて広げる。
半熟あたりになったら少し底の深いお皿にある先ほど炒めたご飯を投入する。
火を消して、お皿を片手に持って、フライパンをひっくり返りそうなくらいに傾かせて、そのお皿にオムライスを移す。
「……完成」
最後にてきとーにケチャップをかければおーけーである。
今日はきっちりと一人分である。
「………いただきます」
私は椅子に座り、オムライスを食べ始める。
「…ごちそうさまでした」
私は椅子から立ち上がり、食器を片付ける。調理器具と食器を軽く洗ってから、食器洗い機に放り込む。
洗浄のボタンを押して、ウエットシートで机を拭いてから、生ゴミを生ゴミ……、正式名称…は忘れた。なんか生ゴミを処理してくれる機械に入れる。
そして私はお風呂に入るため、台所をあとにした。
「……ふむ、ボスは修正で【草狼】という弱いボスにされたはずなのですが、挑戦しているプレイヤーが見受けられませんね…」
私は【草狼】の索敵範囲外ギリギリから、【草狼】の周囲を【魔力感知】で探り、プレイヤーが誰一人として挑んでいないことを確認した。
「群で出現することを知らなかったんじゃないかな?現に掲示板が荒れてるしね。ふふ、情報を集めずに挑んだくせに文句で掲示板荒らすなよ…」
…クイっとメガネを上げて、くつくつくつと笑いながらキュウさんは言いました。
…見た目にそぐわずお腹の中は真っ黒ですね。相変わらず。
「––––さて、あやくん。こちらの準備は出来ているが、良いかな?」
「こちらもおーけーです。では行きましょうか」
【スライム王】と違って【物理無効】もないでしょうし、初手はやはりこれにしましょうか。
「【短剣術:アーツ:ストロングナイフ】」
私は駆け出しながら、【紅桜】を【草狼】に投擲しました。
投擲された【紅桜】はドンドンと勢いを増し、それになぜか気づけなかった【草狼】にそのまま突き刺さりました。
「GURUOOOOOOOOOO!!!!」
【草狼】は怒りを込めた瞳で、私を睨みつけてきました。どうやらヘイトは取れたようですね。
「多少の援護はするよ?」
「…ありがとうございます。では––––」
【草狼:2900/3000】
さて、単体だけならばザコなのですが…、果たしてどうなることやら。
私はこちらに向かって怒り心頭で駆けてくる1匹の【草狼】を見据えて、まず一つの魔法を発動させます。
「【氷の壁:消費MP増加:2000】【HP変換】【自己修復】」
私の目の前に、およそ縦3メートル、横3メートルの氷でできた壁が現れました。
消費MPを増やしたことによって強度が増し増しになっています。
ものすごい勢いで駆けていた【草狼】は、当然ながら急に止まれるはずもなく––––バキィィィ!という音を立てて【氷の壁】に激突しました。
ふむ、首の骨でも折れましたかね?
私はそれを確かめるためにひょっこりと【氷の壁】の傍から顔を出します。
【草狼:230/3000】
首がおかしな方向に曲がっているのを確認しました。…ほぼ瀕死じゃないですか。これだけで終わったら正直拍子抜けなんですが…。まだ使ってない魔法らもあるんですよ?
私は瀕死の【草狼】をじっと見つめます。さっさと仲間を呼べよ的な意を込めて。
すると突然、その狼の周りにおよそ10個以上の魔法陣らしきものが現れました。
おお、結構多いですね。群を全部読んでくれたのでしょうか。
「というわけで用済みです。あなたはどうぞ消えてください」
私は瀕死の【草狼】に向かって【氷刃】を放ちました。変な方向に曲がった【草狼】の首は、ポーンと宙へと撥ね飛びました。
鑑定の結果によると魔法陣から狼が現れるのはあと10秒…。とりあえず使っておきますか。
「【耐寒付与:対象:キュウ、Aya】【耐冷付与:対象:キュウ、Aya】」
寒さに対する耐性をそれぞれ私とキュウさんに付与して、私はある氷魔法を発動させる。
「【HP変換】【銀世界:対象:フィールド:始まりの平原】」
私がそう唱え終わると、先ほどまで晴れていた空は暗雲に覆いつくされ、はらりはらりと雪が降ってきました。
ほんの数秒で、雪はおよそ1cmほど積もってしまいました。
そういえば【左翼の全知のイヤリング】使ったことなかったですね…。せっかくですし使ってみましょうか。
私が【全回復】と呟くと、【左翼の全知のイヤリング】がまばゆい光を発しました。すると、私のHP、MPが全回復しました。SPは使ってないので回復もなにもありませんね。
ちょうど十秒が経過したのでしょう。私の目の前に、ざっと数えて15匹の【草狼】が現れました。
それらは全部、私をみて目をギラつかせています。私のことを獲物と認識したのでしょう。
それらは一斉に私に飛びかかってきました。
「【空歩】」
私はそれをバックステップをして、空を飛ぶことで回避します。ついでに置き土産も残して。
【草狼】たちは空中から自分たちを見下ろす私に向かってバウっバウっと何度も吠えてきます。残念ですがあんまり怖くありませんね。
しびれを切らした1匹の【草狼】が、結構高めのところにいる私のところへと飛びかかってきました。
そして––––
「GAUUッ?!」
その狼は突如として現れた、氷でできた檻に飲み込まれました。
ガンガンっと狼が氷の檻を打ち付ける音が聞こえます。それを見た仲間の狼たちが、より一層鋭い視線をこちらに送ってきます。
ふむ、これが魔法罠ですか…。ふつうに使えますね。グッドな意味で。
ちなみにセットした魔法はわかると思いますが【氷の檻】です。
あと使ってないのは【残像】だけなのですが…、これはあとにとっておきましょうか。私はチラリと一瞬だけ顔を後ろに向けます。
そしてキュウさんの方をむきます。
「キュウさん、倒しちゃってもいいですか?」
「もちろんだよ。もうデータは十分だ。本当に弱いみたいだ」
キュウさんの許可も貰いましたし、やっちゃいましょう。耐冷と耐寒は残っていますよね。
雪が降っている状態であれを使ったらどうなるのでしょうか。
「【暴風吹雪:対象:草狼】キュウさん、お気をつけを」
私がそう唱えたあと、ほんの少ししか降っていなかった雪が、だんだんと強くなり始めて–––––
––––ほんの数秒で、全ては終わっていました。
効果範囲内の豊かな大地は全てが凍りつき、【草狼】たちはすでに凍死していました。まあ、暖かな草原で生きている動物が、突然の気温低下に耐えられなかったんでしょうね。もしくは凍傷。
〈ワールドアナウンスです。ただいま、【初心者の平原】のフィールドボス、【修正済み】〈グラスウルフ〉が《Aya》率いる《処理班》に始めて討伐されました。〉
《【始まりの平原】のフィールドボスを討伐しました。報酬はポストに投函されます》
終わりましたね。さて、あとは––––
「––––キュウさん、右に一歩ずれてください」
「?」
キュウさんは言われらた通りに避けてくれました。
そしてそのすぐあと、彼女が先ほどまでいたところに、3本の短剣が突き刺さっていました。
「なっ?!」
ふむ、全て同じところに投擲したということは、戦闘慣れしていないど素人、もしくは全てスキルに任せて投げたということですね。
そして飛んできた方向は––––
「こちらはキュウさんが攻撃されてますし、PK判定にはなりませんよね…?」
脇を締めて、余計な力は込めずに、腕や肩に余計な力を入れないようにします。
そして右足を踏み出し、【紅桜】を握った腕を、胸のあたりにまで振り下ろし、【紅桜】を投擲しました。
「こんなど素人なら、投擲したあとは絶対に投擲場所から動かない」
《システム判断……、完了。プレイヤーがパーティメンバーに対し【アーツ】の使用が確認されたため、これはPKにカウントされません》
倒せたみたいですね。うわあ、こんなど素人のくせにPKやってるんですか…。たかが知れますね。
「……ふむ、PKか。よく気づけたね、あやくん」
「…【回帰】。偶然ですよ、偶然」
私は【紅桜】を鞘にさします。
私はチラリと空を見上げます。すでに雪は止んでいて、太陽が顔をのぞかせています。
「では、そろそろ夕食どきなので、また」
「今日はありがとうね、ではまた今度」
私は夕食を摂るため、キュウさんにまた、と挨拶を告げてログアウトをしました。
ヘッドギアを頭から取り外した私は、少しの間だけぽけーっとして、ヘッドギアをベッドの上に置いた。
そして軽く伸びをして、ベッドから降りる。
「……うん、楽しかった。…楽しかった?」
今日の夕食はオムライスにしよう。そんなことを考えながら、私はキッチンに向かうため階段をゆっくりと降りていった。
キッチンについた私は、まずまな板やボールなど必要な器具を取り出して机に置き、そのあとに冷蔵庫から卵、ケチャップを取り出して、買い物カバンから、人参、ひき肉、玉ねぎ、そしてキャベツを取り出した。
さっと調理器具を水で洗い、キッチンペーパーで拭く。全部吹き終えた私は、卵を割ってボウルの中に入れた。
左手でボウルを抑えて、右手にミキサーを持つ。そして卵をかき混ぜる。そこに少しの調味料を入れて、またかき混ぜる。全体的に黄色っぽい色になったらラップをかぶせていったん放置。
次に野菜を切る。人参はブロック状に小さく切って、玉ねぎは皮、というか食べられない––––厳密には食べられるのだが––––部分を剥いて、それも同様にブロック状に切る。
キャベツは周りの葉っぱを剥いて食べられる大きさになるまでスパっと切る。
切り終わったらもう一つのボウルに、その切ったものを入れる。別々に分ける必要はない。だって食べられればいいのだから。
次にフライパンを火にかけて、少し温まったら油を引く。フライパンを左右に傾かせて、油を広げる。
少し待ってから、ひき肉をべこべこと発泡スチロールから引き剥がしてフライパンに投入する。菜箸をつかって、炒める。
いい具合の色になったら野菜らを投入。まあ炒める。玉ねぎが透明っぽい色になったらOKの証。
玉ねぎが透明っぽい色になったので、ご飯を投入する。その上からケチャップを適当にかける。
しゃもじを手に持ち、ご飯をほぐしながら炒める。
ご飯と挽き肉や野菜がしっかりと混ざり、ご飯がケチャップによって赤くなっているのを確認したあと、火を消してそれを底の少し深いお皿に移す。
次にもう一つのフライパンを用意して、火にかける。そして先ほどと同じことをする。
そして、といた卵をそこに流し込むように入れる。固まる前にフライパンを左右に傾かせて広げる。
半熟あたりになったら少し底の深いお皿にある先ほど炒めたご飯を投入する。
火を消して、お皿を片手に持って、フライパンをひっくり返りそうなくらいに傾かせて、そのお皿にオムライスを移す。
「……完成」
最後にてきとーにケチャップをかければおーけーである。
今日はきっちりと一人分である。
「………いただきます」
私は椅子に座り、オムライスを食べ始める。
「…ごちそうさまでした」
私は椅子から立ち上がり、食器を片付ける。調理器具と食器を軽く洗ってから、食器洗い機に放り込む。
洗浄のボタンを押して、ウエットシートで机を拭いてから、生ゴミを生ゴミ……、正式名称…は忘れた。なんか生ゴミを処理してくれる機械に入れる。
そして私はお風呂に入るため、台所をあとにした。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
11128
-
-
23252
-
-
75
-
-
768
-
-
141
-
-
3087
-
-
37
-
-
39
-
-
107
コメント