少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記

ガブガブ

17話

17話






 【収穫】に【生命の樹】ですか…。毎度ながら、【慈悲者】のレベル上昇で獲得できる能力は破格ですね。
 しかし【収穫】は日常的に使えそうですが、【生命の樹】は使い所に迷いますね。効果を見るに、敵味方問わず回復させるということでしょう?うーむ、凄いのですが…微妙ですね。
 新しく獲得した魔法…【回復魔法】はくふさんで試すとして、【氷魔法】や【空間魔法】は…、あ、そうだ。弱体化されたフィールドボスで試しましょうか。我ながら名案です!


 私は種族レベルアップによって獲得したステポを全てINTに振って、ステータスを閉じます。
 ついでにフィールドボスの撃破報酬等も受け取りましょうか。
 私はまたメニュー画面を開いて今度はポストの項目をタップします。


〈[注意]ポスト内のプレゼントは、受け取りから20日を過ぎると消滅します。なにかの都合で受け取れない場合は、[設定]から日数を変更できます(最大100日)


・ログインボーナス1日目[初心者用HP回復ポーション×2]
・ログインボーナス2日目[初心者用MP回復ポーション×2]
・ログインボーナス3日目[500エン]
・運営からのお詫び[武器・防具10連ガチャ無料チケット×1]
・【始まりの平原】フィールドボス初回討伐報酬
・【始まりの平原】フィールドボス討伐リザルト報酬
・【始まりの平原】フィールドボス討伐基本報酬
・【スライム王】討伐報酬
・運営からのお詫び(討伐者にのみ送られます)[特殊ガチャ一回無料券×1]〉


 ログインボーナスは放置しておくとして、色々とありますね。…おお、なんか特殊ガチャ無料券みたいなの貰えるみたいですよ。運営さん太っ腹?ですね。
 私はとりあえず運営からのお詫びを両方とも受け取ります。アプデを楽しみに待っておきましょう。


 さて、次はフィールドボスの報酬を受け取りましょうか。
 私はまず【始まりの平原】フィールドボス初回討伐報酬を受け取ります。


《【始まりの平原】フィールドボス初回討伐報酬【魔力上昇の指輪】を獲得しました》


 まあ、定番のアイテムですね。次に【始まりの平原】フィールドボス討伐リザルト報酬を受け取ります。


《【サポートリザルト一位】【マジックアタッカーリザルト一位】を獲得したため、スキルポイントを2獲得しました》


 次に【始まりの平原】フィールドボス討伐基本報酬を受け取ります。


《【始まりの平原】フィールドボス討伐基本報酬【草狼の牙】×5を獲得しました》


 最後に、【スライム王討伐報酬】を受け取ります。


《【スライム王討伐報酬】【聖職者の指輪】を獲得しました》


 なんか凄そうな名前ですね。


 【魔力上昇の指輪】…最大MPが200増幅する。


 【聖職者の指輪】…最大MPが1000増幅する。


 うわあ、完全に上位互換の装備ですね。獲得した瞬間にゴミになりましたね。…まあ、アクセサリー枠は二つ空いているので両方とも装備するんですが。


 さて、お詫びが来ているということはすでに修正は終わっているでしょうし、早速弱体化したフィールドボスを倒しに行きましょうか。
 え?【第二都市】には行かないのかって?もちろん、その後に行きますよ。実を言うと【通行証】があるのでフィールドボスなんて殺す必要はないんですがね。
 私はメニュー画面を閉じて、そっと立ち上がりました。


 よし、ソロ討伐頑張りましょう!


 私は来た道を戻り、冒険者ギルドに向かうことにしました。
 ソロ討伐には情報が肝心ですからね。ベータ版のときはたしか冒険者ギルドに【魔物図鑑】が置かれていたはずです。それで【草狼】について少し調べてから向かいましょう。






「……え。【魔物図鑑】がないんですか?」


 私は冒険者ギルドの受付嬢さんの言葉に驚いてしまい、思わずそう聞き返してしまいます。


「…申し訳ございません。じつは【魔物図鑑】は国に貸し出していまして…」


 国……、この都市が所属している国ですか。それなら、仕方がないですね…。


「わかりました。では要件は済みましたので、失礼します」
「え、あのー…、冒険者の登録は…」
「するつもりはありませんよ。前に登録した時に痛い目にあいましたからね」
「え––––」


 私は冒険者ギルドをあとにしました。ならば……、キュウさんを探しましょうか。あの人も持っているはずですしね。


 私は大通りから人のあまりいない道に入り、チラリと視線を私の視界のちょうど右上のあたりに向けます。


「アルファさん、いるんでしょう?出て来てください」
「何か御用でしょうか」


 うわっ、本当に出てきましたね。じゃなくて…


「キュウさんを探してもらいたいのですが」
「かしこまりました。早急に連れてきます」
「ありがとうございます。お願いしますね」


 するとアルファさんは一瞬にして私の視界から消え去りました。
 めっちゃ有能な人ですね、アルファさんって。え?ストーカーは良いんですかって?まあ所詮はゲームの中ですし、ストーカーなら慣れてるんですよね。それに使えるものは有効活用しませんとね。


「はいはーい。呼ばれて飛び出てじゃっじゃじゃーん…これではあのロリコーンとネタが被ってしまうね…、テイク2やっていいかな?」


 十秒も経たないうちに、プレイヤーネームにキュウと書かれた人物が私の目の前に現れました。
 キュウさんの容姿は金髪を肩に掛け、白眼、そしてモノクルを片目につけている、服は白衣を着用しています。因みにですが頭は寝癖かなにかでボサボサになっています。
 博士風な感じですね。


「は、はぁ。どうぞ」
「ありがとう––––私は帰ってきた!……使いどころが違うね。もういいや、飽きた。さてあやくん、大体の検討はついているが、私になにか用かな?」


 この通り、少しおかしな人である。それはさておき、早速用件を伝えましょう。


「【魔物図鑑】を貸していただきたいのです」


 私がそう告げると、キュウさんはふむ、と呟いて、顎に手を当てて考え込んでいます。


「そうだね。フィールドボスの討伐を手伝ってくれるのなら構わないよ」


 む……、ソロ討伐をしたかったのですが…。まあソロ討伐のメリットもとくにないでしょうし、そうしますか。


「OKです。キュウさんはいつもと同様寄生しますか?」
「勿論だよ。しっかりと観察させてもらうよ、【草狼】を」


 そう言ってキュウさんは、私にとてつもなく分厚い本を手渡してきました。


「ではどうぞ。【草狼】はたしか…、964ページだったはずだよ」


 私は964ページを開きます。あ、本当ですね。さてさて、【草狼】についてですが…。


 【草狼】…草原地帯に生息する狼型魔物のことを指す。群で行動して、獲物を蹂躙する。とくに力の強い個体が群の王となり、時折人に対し害をなす。
(プレイヤーのみ閲覧可能:【草狼の牙】を冒険者ギルドに持っていくと【第2都市】の通行証と交換できます)


 ……ふむ。つまりフィールドボスの【草狼】は群とともに襲いかかってくるというわけですか。
 攻撃方法とかは書かれていませんし…、まあいけますね。きっと。
 私はキュウさんにお礼を告げて、【魔物図鑑】をキュウさんに返します。


「キュウさん、早速いけますか?」
「もちろんだよ。そう言われるだろうと思って、すでに準備は万端さ」
「それならレッツゴーです」


 私とキュウさんは路地裏を抜けて、大通りに入り、【始まりの平原】のフィールドボスがいるところへと向かいました。



















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