身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

93.「これで、僕は剣士千歳ちゃんとエルフ千尋ちゃんと、後、君と結婚して、幸せに暮らして終りという訳かな?」

僕は隣に居る少女に聞いた。

「いいえ、違いますわ。お兄様。」

僕の言葉に少女は否定した。

聞こえた。あんだけ、外国の言葉の様に何言っていたかわからなかった少女の言葉がはっきりと日本語として理解出来た。

「君、理解出来た、僕は理解出来たよ、君の言葉が」

「えっ?・・・そうですか。多分、記憶が大分戻っているのですわ。・・・それとソルフィの事はソルフィと呼んでくださいませ、一応貴方妻なのですから・・・」

ジト目で僕を見る少女・・・いやソルフィちゃん。

「わかったよ、ソルフィちゃん・・・んでさ、・・・僕の記憶が戻ったって・・・じゃあ、この今見ている光景は実際にあった事なのかな?幻とかじゃなく。僕が君達の世界に召還されて、そして魔王を倒したというのは」

「はい、実際に起きた事です、ソルフィ達の世界に召還されたお兄様は魔王を討伐したのです」

「じゃあさ、僕は、何故この魔王云々の話を知らなかったんだい?。そして、何故僕は僕の世界に居たんだい?君達の世界を救った後、記憶を無くしたまま元の世界に戻ったのかな?いや・・・それじゃあ君達の世界の住人の千尋ちゃんと千歳ちゃんが居て、そして僕の世界の住人である記憶がある事のつじつまが合わない。」

「それは、お兄様の記憶に封印がかかっていたからです。だから、完全に記憶が封されていたので、この世界で異物であるソルフィの声は分らなかった。・・・でも、記憶が戻りつつあるので、私の言葉も理解出来る様になったと思います。あのお二人は、多分、貴方の家族でありたいという願望が封印に適した形で実現されたものだと思われますわ。封印はお兄様に私達の世界の存在について、認知を遠ざけるものでした、それと両立する形であのお二人が存在するには、貴方の家族という存在が都合が良かったのでしょう。あのお二人の願望にも合致していますし。」

少し顔を伏せてソルフィちゃんは言った。その表情は少し悲しそうだった。

「なあ・・・何で、僕、記憶が封印なんかされたんだ?どうして、僕は君達の世界から出て行ったんだ?さっき、ソルフィちゃんは、4人で幸せに暮らして終りか?と聞いた時、違うって言ったよね?一体・・・一体・・・何なんだ・・・?」

何となく、僕に最近現れた二人の妹と従兄弟の謎は少しずつ解明されている。だが、まだ謎は多くある。

僕の記憶に掛けられた封印というのもそうだ。

・・・・・・世の中、知らなければ良かったという事は、多々ある。真実を知ってしまって、今までの当たり前だと思っていた事に絶望する事は、良くある話だ。

これは、その類では無いのか?今の所、千尋ちゃんと千歳ちゃんと一緒にまあまあ幸せに暮らしているのだ。2人は僕と現在一緒に住んでいる。幸せなんだ。だから、真実なんて別に知る必要も無い気もする。

僕の記憶の封印を解いたからって、だから何なんだ?

「なあ・・・ソルフィちゃん。この記憶の封印って解く必要あるかな。僕、千尋ちゃんと千歳ちゃんと暮らしていて幸せだし、いちいち過去が何でも別に僕は構わないよ」

とソルフィちゃんに聞くと、ふるふるとソルフィちゃんは首を振り

「いえ、知らないといけません。お兄様。お兄様の封印を解かなければならないのです」

と、意思の篭った目で僕を見た。

「それは、封印を解く事で、僕が千尋ちゃんと千歳ちゃんとが離れ離れになったりしないよね?」

「え・・・あ・・・、そ、それは・・・」

僕の言葉に狼狽するソルフィちゃん。最早それは答えを言った様なものである。

「・・・ごめん、それじゃあ、僕は君が言う封印を解けない。僕は、2人と離れたくないから・・・さ・・・」

「駄目です!!駄目駄目!!」

ソルフィちゃんは、いきなり僕に飛びついて抱きしめて来た。

「お辛い事があっても封印は解かなければいけないのです!そうじゃないと・・・貴方は・・・貴方は・・・」

僕を見るソルフィちゃんは涙ぐんでいる。必死で懇願している表情だ。

「封印を解かないと・・・僕が・・・どうなるんだい?ソルフィちゃん・・・?」

「それは・・・「ちょっと待った!!」

突然、何かが破裂する音がして、そして、振り向いた方向を見てみると、昇り旗を持った千歳ちゃんとおもちゃ銃を持った千尋ちゃんが居た。

「うわっ、何だろ?扉を開いた途端に、何か変な所・・・馬車みたいな所になったよ?」

「ふーむ、何故だかわかりませんけど、変な所には来慣れて来たので気にしません。お兄さんを返して貰いましょうか?おチビさん」

千歳ちゃんは僕に抱きついているソルフィちゃんに昇り旗を向けた。

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