身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

45.「何だ。あれは・・・!」

その異形としか呼べない者に対してはありがちな反応のセリフしか言えなかった。

「ひぃっ!あれは、何っ?何ですか!?」

自称従兄弟は僕に抱きつきながら震えている。

「お、お兄ちゃん。あれっ・・・!あれっ・・・!」

自称妹も歯をカチカチ鳴らして震えている様だった。

僕らが狼狽している間にも、その異形の様な・・・その姿は漫画アニメで出てくるゴーレムの様な者はこちらに歩き、迫り、そして、急にこちらに駆け出した!!

「っ!」

僕は咄嗟に二人を後ろに突き放し、そのゴーレムの眼前に出て、咄嗟にタックルをした。

僕にタックルされたゴーレムは少しよろけた後、僕を無視して、僕の後ろの自称妹と自称従兄弟に走り向かおうとする。

僕は慌てて走り去ろうとするゴーレムの足を何とか掴んでゴーレムを転ばせた。

ゴーレムを転ばせて、僕は何とかマウントを取ろうとしゃむににゴーレムの肢体にしがみつく。

ゴーレムは僕から逃れようとじたばたともがく。

そのもがき様は、僕に敵意を感じず、ただ、自称従兄弟と妹の方へ向かおうとするもがき方だった。

「お兄ちゃん!」

「お兄さん!」

二人は僕の方へ駆け寄ろうとする。

「来るな!」

僕は一喝した。

「僕はいいからさっさと逃げるんだ。僕が何とかするから!」

「でも・・・!」

「良いから早く!二人が逃げるまで、こいつを押さえつけたら、てきとーに僕も逃げるから、後で落ち合おう!」

我ながらカッコ良いセリフを自然に吐いてみた。

こんなセリフ、生きていて中々吐けるものじゃない。

うら若き乙女を守って、身を挺するなんて、僕もまあ、ヒーローみたいな事をするもんである。

「お兄ちゃんを置いていける訳無い・・・!」

自称妹は発狂する様なかな切り声を上げている。

「千尋さん!」

そんな自称妹に自称従兄弟は肩を掴んだ。

「今は逃げましょう!今は!とりあえず今は!」

自称従兄弟は自称妹の目を見据えて言った。

「えっ・・・?でも・・・」

「大丈夫!ただ逃げる訳じゃないわ!あの人間じゃないあいつを倒す為・・・!」

倒す・・・?何か考えているのか。

「でも・・・でも・・・!」

「とにかく来て!私と一緒に!」

自称従兄弟は自称妹の手をぐいっと引っ張ると、そのまま後方へ駆け出した。

良いぞ!そのまま逃げてくれ。

「お兄ちゃん・・・!」

自称妹は悲痛な声で僕を呼ぶ。

「お兄さん!待ってて下さい!必ず戻りますから!」

そう言って自称従兄弟は自称妹を連れてこの場を去っていく。

おい、待て、戻らなくて良いんだぞ!おい!

僕は一言叫ぼうとしたが、このゴーレムもどきがしっちゃかめっちゃか暴れるので、叫ぶ余裕も無かった。

「身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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