身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

43.電車で少し遠出をし、大公園にやって来た。

この公園は結構広く、隅々まで歩くと三時間ぐらいかかる。のんびりピクニックにはちょうど良い所だ。

「着いたねー。お兄ちゃん」

「うん、思ったより時間掛かったな」

「小さい頃はお父さんとお母さんにここに連れてきて貰えたんですけどね。小学生低学年の頃からここに来た覚えが無いや。変わってませんねー。」

思いを馳せるように自称従兄弟が言った。

「あっ、見てくださいジャングルジムですよ!。このご時世まだ残ってるんですね!」

と自称従兄弟はパタパタ走ってジャングルジムの方へ言った。

「あっ、行っちゃったね」

「元気だなー。若いもんなー。」

「若いねー。千歳さん。」

「千尋ちゃんも同い年じゃないか」

「私は、インドア派だから・・・。」

「駄目だぞー。若い内は一度きりなんだから、積極的にならなきゃ・・・いや、千尋ちゃんも家事とかゲームとかに積極的か。」

「・・・うーん、何か誉められた気がしないのだけど」

「いやいや、家事は立派だし、ゲームも今からの時代、何か金や仕事になる芸さ。無気力に過ごすよりよっぽど良い。でも、学校は行って欲しいけどね」

もう僕が学生の頃とは時代が違うのだ。学校は行くべきだけどな。

「う、うん。・・・頑張る・・・ね」

「うん、頑張れ」

僕は自称妹の頭を撫でてやった。

「ふえ・・・」

自称妹は突然撫でられて少しびっくりした様だったが、大人しく撫でられている。

「おーい!何、二人でイチャイチャしてるんですか!私にも構って下さいよう~!!」

ジャングルジムの天辺から自称従兄弟はぷりぷり抗議した。

「あはあは、すまんすまん。行こうか、千尋ちゃん。」

僕は千尋ちゃんの手を繋いでやると

「うんっ!」

と自称妹は僕の手を握り返してくれた。

「早速なんですが、私を回して下さいよ、お兄さん」

わくわくした面持ちで僕を見る自称従兄弟。

「はいはい、分かった分かった。それっ」

僕がジャングルジムを回してやると自称従兄弟はきゃっきゃっと喜んだ。

小学生か!

「千尋ちゃんも登ってみれば?たまにはこういう遊具で戯れて子供に戻るのも悪くないと思うよ。」

「う、うん。そうするね。お兄ちゃん」

自称妹もジャングルジムに登ったのだった。

「もっと激しく私達を回してよーお兄さん、速さが足りません!」

「よーし!分かった!根を上げるまで回してやる!」

僕はジャングルジムを回す勢いを強めた。

「あははー、良いですねー、良いですねー。」

「わあ~、ぐるぐる~。」

二人は楽しんでいる様だった。

よし、お兄ちゃん、もっと張り切って回す速度を上げちゃうぞ!

僕はジャングルジムを回す力をさらに強めた。

「わー!良いですよ良いですよー!もっと早く~!」

「ひゃうー、早い早いよ!お兄ちゃん!」

こんな幼稚な遊びにジャングルジムにしがみつく二人は大喜びだった。きっと童心に戻っていたのだろう。

僕も童心に戻って楽しんでいた。楽しんでいたからもっと早く回した。早く回した結果。

「ひゃ!」

「あわっ!」

二人のスカートが勢い良く舞い上がった。

白と淡い黄色が僕の網膜に焼き付いた。

「身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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