身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

36.「ふう、良いお湯でしたー」

自称従兄弟が寝巻きに着替えて風呂場から出てきた。

湿った髪の毛が艶やかに凪いだ。

少し危なかった自称妹がもう少し体から離れるのが遅かったら、抱きつかれていた事がバレる所だった。

「じゃあ、今度は私がお風呂入るね」

自称妹は立ち上がると自分の衣服を掴んだ。

「お兄ちゃん、また後でね」

自称妹は風呂場のドアから頭だけ出してまた風呂場に入っていった。

後でとは何ぞや。風呂上がった後また抱きつくとでも言うのか。

「所でお兄さん。」

自称従兄弟は僕に話しかけた。その目は一緒、ちらっと光った様に見えた。

「さっき、私がお風呂入っている時、千尋さんと抱き合ってましたよね・・・?何で・・・?」

無機質な声音の自称従兄弟。

あれっ?何か怒ってる?

「あれはだな、あれは。」

しどろもどろになってしまう。

「・・・妹とあんな事するのって良いんですか・・・?」

「ええっと、僕からすれば、妹じゃないし・・・いや、そうじゃなくとも、あれは千尋ちゃんから抱きついた事だから。」

「妹じゃなければ何なんですか?」

「いやあ、それは・・・同居人かなあ。故あって行く場も無い家無き子という感じで。千歳ちゃんと一緒さ」

「じゃあ、私もこうして良いんですよね」

そう言って自称従兄弟は僕に抱きついた。

僕の胸に自称妹にはないたわわな感触が走った。

「な、何をするんだ?」

「千尋さんと私、一緒なんでしょう?だったらこうして良いでしょう?」

そう言ってぐいぐい僕に抱きつき、そのまま押し倒されてしまった。

「ちょっと、困る、困るんだが!」

「でも、千尋さんとは抱き合ってましたよね。」

「あれも大分困ったさ」

「じゃあ、またお困りになって下さい」

と言って、ただただ抱きついている。

僕はほとほと困って、困って、困りきったあげく、そのまま身を委ねる事にした。

「んふふ、お兄さん、んふふ。」

自称従兄弟は僕の胸の中で気持ち悪い笑いかたをしている。

「なあ、どうして僕なんかに抱きつきたいんだ?僕なんておじさん・・・いや、まだおじさんは名乗らないでおこう、お兄さんに年頃の高校生が抱きたいなんて、良くわからんぞ。君が」

「それは・・・その、お兄さんがお兄さんだからです。お兄さんだからお兄さんじゃなくてもお兄さんなんです。だから、だから・・・。」

自称従兄弟は僕を抱きしめる力を強めながら言う。

「ずっとこうして居たかったんです!。小さい時、お兄さんを抱きしめていたのに、こうしている時が、一番嬉しいのに、お兄さんは私が中学生になると私自身の事や周りを配慮して抱きしめさせてくれなかった。だから、だから・・・。」

そりゃあ、胸にスイカを2つ着けている女の子に気安く抱きつかれたら色々困るだろう。

「小さい時から私とお兄ちゃん、ずっと一緒に居たから、だから、あの日が続いていくものだったと思ったのに、お兄さんは街へ出ていってしまった。・・・他の人からお父さんやお母さんにも見られなくなったけど、お兄さんと一緒に住めるのは本当に嬉しいんです!。ずっとこうして居たかった。」

僕の顔に迫る自称従兄弟。

「君は・・・お兄さんの事好きなんだね?」

「はい・・・!」

まっすぐとした視線を僕に向ける自称従兄弟。

「でも、それは僕じゃない。僕は君のお兄さんじゃないんだ」

「・・・関係ありませんよ。関係無いです!離しません、絶対に!」

そういって目を閉じ、僕に唇を近づける自称従兄弟。

これはチューする気だ、あかん。

と避けようとするも首を腕で抱きしめられ首の逃げ場が無い。

いかん、このままでは僕のファーストキスが喪失してしまう・・・と思った刹那

「ぐぎっ」

急に頭を上げる自称従兄弟。

何だとその様子を見てみると、自称従兄弟の頭上には裸にバスタオルを巻いた自称妹が憤怒の表情で自称従兄弟の髪を掴んでいた。

「身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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