身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

22.「・・・僕の事が好き・・・?」

・・・いや、この自称妹が好きなのは、僕では無い僕なんだが。

毛布を被る僕のすぐ横で、自称妹は僕と同様に体を仰向けにして寝ている。

結局あの後、自称妹に押しきられる形で、同衾する事になった。

何だ?こいつは、兄貴が好きってのは、あれか?LikeなのかLoveなのか。行き過ぎたブラコンなのか。

可愛い妹に好きと言われたらさぞかし捗るだろうと思った事もあるが、突然出来た怪しい自称妹に好きと言われても、恐怖の方がずっと感じる。

「・・・お兄ちゃん・・・寝てる・・・?」

あれこれ思考を混乱させていると、すぐ隣から自称妹の声が聞こえた。

「寝てないよ・・・。」

僕は答えた後に寝たフリしとけば良かったと後悔した。

うら若き乙女と同衾しているという事態。

こんなガキンチョ相手だが、まったく情けない事に、僕は自称妹に異性を感じはじめていた。

「あのさ・・・そっち行っていいかな・・・?」

等と自称妹が呟いたセリフに僕は心臓が飛び出る程驚いた。

「いやいやいやいや、君、ちょっと待てぃ。いいか、僕と君は男と女なんだぞ!マン、オア、ウーマン!・オーケィ!?。大体寝床を同じにするだけでも破廉恥極まりないのに、こっち来ていい?なんてヤバいだろう!?越えちゃいけない一線を考えろよ!」

僕はこの何も分かって無さそうな自称妹に説教に継ぐ説教をしてやった。

「え・・・?ごめんなさい・・・その、私、ごめんなさい」

暗闇の向こうから震えた声で自称妹は謝ってきた。

「だってその・・・いつもやってる事だし・・・、ね・・・?」

「ね?・・・じゃあない!」

「ひっ!」

僕が一喝すると自称妹は小動物みたいなか細い声を上げた。

「ごめんなさいお兄ちゃん、ごめんなさい・・・。」

自称妹はただただ謝っている。

最初は常識知らずだと突っぱねたが、その様子になんだか気の毒に感じ始めた。

「・・・どうして、そんな異性の兄弟に甘えるんだ?ふつーの妹なら、自分の兄貴なんて軽蔑の対象だと思うんだがなあ。」

声を努めて穏やかにして自称妹に聞いてやる。

「・・・だって、お兄ちゃんが悪いんだもん。」

かちかち歯を鳴らしながら自称妹は口を開いた。

「悪いとは?」

何だ、僕が何かしたのか?

「だって、お兄ちゃんが、私を置いて出てっちゃったから、だから、全部悪いんだもの・・・」

暗闇の中、先の怯えた態度とは明らか違った声音で自称妹は言ったのだった。

「悪いって・・・。さっきも言った様に実家からじゃ職場に通えんだろう。」

「それでも、私も連れていって欲しかった・・・。」

「今君はここに居るじゃないか」

「うん、お兄ちゃんの職場の近くの高校を選んだからね。お兄ちゃんと一緒に住める様に。」

うわあ・・・計算高い・・・。

「生まれてから、ずっと私、お兄ちゃんと一緒に居たのに・・・。勝手に出ていっちゃうなんて・・・私寂しかったんだもの。だから、お兄ちゃんが悪いんだよ」

そう言って自称妹は僕に抱き付いて来た。

「お、おい!何をする!離れろ!」

「嫌だ!お兄ちゃんが悪いんだもの!昨日だって私を置いてけぼりにしたし、お仕置きだよ!」

そう、ぎゃーぎゃー喚きながら僕の肢体にしがみつく。

「いや、だから僕は君を妹にした覚えは・・・」

「知らない知らないそんなの知らない!」

小学生か!?とツッコミたくなる。

「わかった、わかったから。」

僕はどうにか自称妹を押し退けた。

「一緒に寝てやるから。落ち着けって、僕は明日も仕事があるんだから・・・」

僕がそう言うと。

「・・・わかった。・・・有り難う、お兄ちゃん・・・。」

と自称妹は言って、また自身の肢体を僕の体に預けて来た。

まったく、難儀で幼稚な自称妹だ。兄弟がポンコツだと、残りは苦労をする。

僕は心の中で、深い、深いため息を吐いた。

僕の体に擦り寄る自称妹の体は、柔らかくて、暖かかった。

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