身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

23.「お兄ちゃん、起きて、お兄ちゃん・・・」

自称妹に揺さぶられて僕は覚醒した。

朝になった。

ちゃぶ台にはポーク卵と味噌汁とご飯が鎮座している。

「顔、洗って来て。その後、ご飯だよ」

自称妹はにっこり微笑みながら言った。

僕はまだ回らない頭で、のそのそと洗面台に赴いた。

昨日はあまり眠れなかった。

肢体にしがみつくこの自称妹の柔らかい体を意識して意識して仕方がなかったのだ。

自称妹はさっさと眠りにこけてしまったが。

お陰でどうも眠りが浅い。

「顔、洗った?じゃあ来て、ご飯食べよう?一緒に」

居間から自称妹が急かす声が聞こえる。

僕は顔をタオルで拭って居間にのそのそ向かった。

「いただきます」

自称妹と手を合わせて食事を始める。

丁度腹が減っていたので、朝食だというのに箸が進んだ。

ただただ食欲に任せて飯を食べていると、ふと自称妹が僕をじっと見つめているのに気がついた。

「あん・・・?」

「ううん、何でも無いの。食べて食べて。」

「?」

何だろうか?何か企んでいるのか?

まあ、そんな事考えても仕方がない。今は出勤前の朝だ。一分一秒が惜しい。つまらない事を考えている余裕はない。

「お兄ちゃん・・・私のポークも食べる?」

自称妹は自分のポークを箸で摘まんで僕に聞いてきた。

「ん・・・?君、ポーク食わないのか?」

「う、うん。お兄ちゃんお腹空いてそうだし、お兄ちゃんが食べるのなら。」

自称妹は上目使いで僕に聞いた。

どうやら食べないつもりでもないのに僕に朝食を譲ろうというのだ。

健気な奴である。いや、居候という立場上、僕に気を使ったのか。

「駄目だぞー、朝飯はちゃんと食わないと」

気を使うのは殊勝な事だが、流石に人の食う分を取ろうとは思わない。食事を用意したのはこいつだし。

「ううん、いいの。私、お兄ちゃんがお仕事に行っても家に居るから、お腹が空いたらまた作れば良いんだし」

あっ、そうか。成る程。

「じゃあ、貰うわ。サンキュー。」

「うん、どうぞ」

と自称妹は自身のポークを僕の皿に入れるのだった。

そのポークを口に入れた時に自称妹は「あっ」と何かを思い出したかの様に小さく声をあげ、そしてあからさまに顔を赤らめてチラチラと僕と自身の箸を見比べた。

自分の箸で触ったものだから関節キスとでも思っているのか。

そんなものポークを渡す前に気付けよなあ。

結局僕は自称妹の卵焼きまで戴いたのだった。

自称妹は僕が出勤する時までも顔を赤らめっぱなしで僕が「行って来るぞ」と言うと

「あ、あああ・・・。・・・うん。行ってらっしゃい・・・お兄ちゃん・・・」

と恥ずかそうな様子で手を振ったのだった。

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