身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

21.「ねえねえ、カレー、どうだった?」

食事の後、自称妹はカレーの味を聞いて来た。

「あー・・・、旨かった。実に旨かったよ。」

僕は率直に感想を述べてやると

「そ、そうー?・・・んっふふ。有り難う、お兄ちゃん!。」

自称妹は朗らかに笑ったのだった。

単純な奴だなあ。

高校生ぐらいの癖に兄貴に誉められて、そんなに嬉しいのか?

まあ、飯を作って貰ったのだし、皿ぐらいは洗おうかな?

「皿は僕が洗うわ

「いや、いいよ。お兄ちゃん、私が洗うから!」

「待て待て、食事作ったんだから僕が片付ける」

「いいって、お兄ちゃんはテレビでも見てて。」

「いや、そこまでさせる訳には・・・」

「だって・・・私、引きこもりでお兄ちゃんに世話になってる身だもの・・・。それぐらいしないと駄目だよ・・・。」

と言って自称妹はガシャガシャ皿を集めだした。

まったく殊勝な奴である。

僕が学生の頃なんて食事の用意どころか、食器洗いまで親任せだったんだが。

それと比べれば偉いもんだ。学校は行ってないみたいだが。

「よし、わかった。めんどくさいから、君に任せた。」

飯代もただじゃないし、それぐらいやってもらうか。

「うん!任されたよ!」

そう言って自称妹は皿を持って台所に消えた。

・・・役目を与える・・・と言う事は、この家に居住するのを許諾した様なものだ。

まだ身元も良くわからない奴にこんなに心を許してしまって良いのだろうか?

そうは思うのだが、仕事で疲れた体に、満腹の腹を抱えていて、そう考えるのもひたすらめんどくさい心地だった。

人の心を掴むにはまず胃袋から掴むものだそうだが、今の僕は、どうだろうか・・・?

そんな思考を脳裏に過ったが、まあ、考えるのもめんどくさいので、今はこれで良しとした。







「ほれ、千尋ちゃん、そこ爆撃するからどいて」

「わわわ、お兄ちゃん、何も言わないで爆撃しないでよ」

「もう、爆破地点を決定した。早くどいて・・・あー、爆発に巻き込まれた」

「んもー、お兄ちゃん!ちゃんと爆破する前に言ってよー」

「あー、悪い悪い、次は気を付ける」

「気を付けるって、これで四回目だよー!もー!」

飯も食った後、やる事ないので、俺達はゲームをしていた。

一緒にゲームをやる相手も居ないが、2Pキャラ操作用にもう1つコントローラーを買っておいて良かった。

この自称妹は僕と趣味が合うのか、ゲームを一緒にやっててかなり盛り上がった。

鬱陶しい小娘と同居しなきゃならないのかと思っていたが、家事もして一緒にゲームして盛り上がれる相手なら悪くない。ゲーム好きだから放っといて欲しい時は一人でゲームしてるだろうし。・・・エロい物を見れなくなってしまったのが残念だが。

「ふぅ・・・ぶっ続けでやっていたから疲れちゃった・・・」

暫くゲームをやってたので自称妹は疲れた様だった。僕も疲れた。

「もう、寝るかな・・・。疲れたし、明日も早いし。」

「う、うん。私も眠る・・・。」

「別に良いんだぞ?寝る時間、僕に合わせなくて。まだ起きていたかったら起きていれば良い。」

「・・・え・・・えっと・・・うん・・・その・・・。」

自称妹はもじもじしながら僕を見ている。

「・・・ん?どうしたんだ・・・?」

「・・・あのね、今日も・・・一緒に寝ないの・・・?」

と自称妹は僕をじっと見据えて言った。

「一緒に寝るぅ・・・?君さ、まだそんな事言ってるの?本気か?」

「・・・うん。独りで寝るのなんて嫌・・・」

自称妹は唇を強張らせて言った。

「・・・どうしてだ?普通、君ぐらいの年の子なんて、そんな子供みたいな事言わないぞ?。どうしてだ?」

「だって・・・だって・・・お兄ちゃん私を置いて行っちゃうもの。このアパートだって、お兄ちゃん、実家に居れば良いのに出ていってしまったじゃない・・・。」

自称妹は何か感情を昂らせている様子だ。

「僕は君を置いて実家を出た覚えはないぞ。それに、社会人になって仕事を求めて実家を出るのは別に変な事じゃないじゃないか?」

「嫌だよ。そんなの。」

嫌ってなんだよ。嫌って・・・。

「どうしてさ?」

僕は自称妹に聞いてやった。

すると

「私・・・お兄ちゃんの事好きだから。・・・だから、お兄ちゃんと離れるのは嫌なの・・・。」

自称妹は僕の目を見据えて、そう言った。

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