身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

20.「退社して、オートバイで帰路に着いている途中だ。」

今日も疲れた。全身が鉛の様だ。

コンビニに寄って、週間漫画雑誌を買う。大分前から購読してるが、僕の好きだった長期連載が終わり、今までスルーしていた連載ばかりしか載っていなかった。

買うの止めようかしら。

まあ、買うのだけど、惰性で。習慣で。週間だけに。

成人して働き始めて幾数年。

僕の人生もまた、この週間雑誌を買うの様に惰性と習慣で流れていくのか?。

まだ己の人生を悟る程には年をとっていないが悟る年齢になるのもあっという間な気がする

等とつまらん事を考えながらアパートの自室のドアを開いた。

「お帰りなさい!お兄ちゃん!」

ドアを開いた途端、昨日までの帰宅には無かった声が聞こえた。

僕の人生が惰性と習慣で買われる週間雑誌ならばこいつの存在はその連載に何か影響を及ぼす事はあるのだろうか?

「・・・どしたの?お兄ちゃん、玄関で、ぼへーって突っ立っちゃって・・・?」

しまった。ついぼんやりしてした様だ。自称妹が怪訝そうな目で僕を見ている。

「いいや、何でもない。何でも。」

僕は適当に誤魔化して家の中に入った。

家の中で音がするなと思うとテレビとゲーム機が点いていた。

「あ・・・、ゲームやってたの。いつも、お兄ちゃんが出ていった後は家事をやって、その後ゲームしてて・・・」

自称妹は罰が悪そうに言った。

部屋を見ると、僕が出る前より片付いている。

そして台所に目を移すと、鍋が鎮座していた。

「・・・あっ、今日はカレーだから・・・。」

・・・晩御飯支度してくれていたのか・・・。またカレーなのね。いや、カレーは好きだし、前作ってくれたカレーは、捨ててしまったからなあ。

「・・・あの、ごめんなさい。お兄ちゃん。全部家事しちゃったら暇になっちゃったから・・・。やっぱり勝手にやっちゃ駄目だった・・・?」

何かゲームを勝手にやっていた事に罪悪感を感じている様だ。

「・・・いや、駄目と言えば駄目なんだけど、居候するのも駄目だけど、許してしまってるしなあ・・・。どうでも良いかな・・・。」

居候らしいやる事やったらしいし、そこに目くじらを立てる必要も無い。寧ろゲームでもして大人しくして貰った方が良い。

しかし、まあ・・・

「・・・君のお兄さん・・・、僕の知らない僕と生活してた時も、こんな風に家事やったら後はゲームしてたのか?」

「う、うん・・・。」

「・・・それ、良い顔しなかっただろ~」

学生が学校サボって家に篭ってたら、心配になるよなあ。本当の兄妹なら。

「う、うん・・・お兄ちゃんはちゃんと学校行って欲しいって・・・」

「そりゃそうだろ・・・何だ、君、いじめられでもしたのか・・・?」

「・・・そうじゃないけど・・・」

「私・・・あんまり、人の多い所に行きたくなくて・・・」

自称妹はふるふる震えながら言ったのだった。

どうやら引きこもりの子の様だ。だから電車にも乗れないんだなあ。

「・・・そっか。・・・しかしまあ、今の君じゃ、学校に行っても仕方がないしなあ。まあ、いつ元に戻っても良い様に、ゲームだけじゃなくて勉強もしとけよー。将来プロゲーマーになる訳じゃないんだから。」声に元気の無くなった自称妹を慰めの言葉をかけてやった。

「お兄ちゃん・・・私が責めないの・・・?」

「お化けみたいなものの君には試験も学校もないだろうさ」

と言ってにっこり笑みを作ってやると

「う、うん。お兄ちゃん・・・有り難う・・・」

と自称妹は安堵したかの表情で言った。

よしよし、何かめんどくさそうな子だ、あんまりくよくよして部屋に居座られても面倒だし、少しは気を使う必要があるな

実にめんどくさい事だが。

そういえば腹が減ってきた。

帰ってきた早々この自称妹と玄関で駄弁っているのだった。

そう自覚すると、疲れと食欲がどっと湧き出て来る。「なあ・・・カレー作ったのなら食べて良い?腹減ってるんだよ」

と自称妹に聞くと

「う、うん。ちょっと待っててね、すぐお皿に盛り付けるから!」

と自称妹は顔をパッと明るいせて、パタパタとキッチンに向かうのだった。

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