身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

13.帰って自分の部屋の前に行くと自称妹が体育座りをしていた。

僕を見つけるなり

「あっ、お兄ちゃん」

と顔を緩ませたが、すぐに申し訳なさそうな表情をし

「ごめんなさい、帰って・・・来ちゃった・・・来ちゃいました・・・」

とおずおずと行った。

「・・・どうしてここにいるんだ?」

と僕が聞くと

「・・・どこに行けば良いか分からない」

とふるふる震えながら言った。

「何か暖かい場所に行けば良いだろう、君は透明だからどこに潜り込んでも誰も気づかないよ。」

「そうだけど・・・、何か知らない所で寝泊まりするって落ち着かなくて」

「じゃあ、実家帰れば良いじゃないか。電車コッソリ乗って」

「あっ・・・そういえばそうだった。」

と自称妹ははっとした顔になった。アホの子だな。

「・・・でも・・・」

「切符も無いのに一人で電車に乗って実家に帰るの・・・怖い・・・」

とふるふると言った。

「はあ?高校生にもなって一人で電車に乗れない?」「だって、それからバスに乗り換えないと行けないし、変な所に行かないか怖いもの。・・・お兄ちゃんと一緒じゃなきゃ」

おうおう、世の中の妹萌えの方々が悶えるセリフである。

何というポンコツな・・・。

君、後数年したら高校生も卒業せにゃならん年齢だろうに、他人事ながら心配になってきた。

「・・・それで・・・僕の家の前に居るという事は・・・」

「ごめんなさい、勝手にキレて勝手に帰って来て。・・・どこにも行く所が無いの・・・」

ふるふると震えながら自称妹は言ったのだった。

「いや、まずいまずいぞ、それは。流石に高校生を家上げて、居候させるなんて、他人に知れたら臭い飯を食わなきゃいけなくなる。」

まだまだ人生は先が長いのに刑務所行きなんてごめんである。

「大丈夫だよ・・・。私、お兄ちゃん以外から誰にも見えないし。」

「あっそうか。失念していた。」

そういえばそうだった・・・って、いやいやいやいや。 困る。マジで居候されたらマジで困る。快適な一人暮らし。一人が故の家の中なら無限大の自由。それが訳の分からない超常現象によって失われつつある

危機である。

「いや、駄目だ。こんな狭い部屋に二人も住めやしない」

「私、ずっとお兄ちゃんと二人で暮らしていたんだよ?大丈夫。」

と自称妹はにこりと笑い

「ねっ?」

と上目使いで僕を見た。

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