異世界にいったったwwwww
血の契り
ガルノスはかの者の真意をはかりかねた。というのも、彼――アーロンという青年は若き国主であり、且つ国取りをした男である。油断はできぬ。更に、一見粗野な格好……つまり町に溢れる無頼漢の若者のような格好に最低限の防具を備えている衣服であった。
当然、こんな男が国主か? と首をかしげたくなる。しかし。
一々の詳らかな動作、儀礼、言葉遣い、そのどれもが上流階級のソレであった。また、粗野に潜めた爽やかな風貌がどことなくガルノスの興味をひいた。
「成程、それで貴殿は一体何用で我に会おうと?」
短い茶色の毛を掻き、含羞む。まるで、貴公子風の雰囲気はチンピラのような外見を打ち消すほどの品格を備えていた。
「――ガルノス殿、貴殿にぜひ我が国〈箕州〉へ来て頂きたい」
「なぜ、またそのような場所へ?」
怪訝に眉を歪め、やや警戒を深める。石質の四方を囲む壁を刳り貫かれた四角の窓の境界は影が減退してい、日と攻防している。
視線を僅かにそちらにアーロンが逸らす。
「……実は、我が国内は統一されておりませぬ。元は……国取りの身。ゆえに家臣が従わず豪族も貴族もすき放題に領内に籠り、連合し我らを害そうと目論んでおります。またこの時勢、我々はどちらに味方するかが問題となっております。」
そこで初めてガルノスは理解した。
「……というと、我の成果は貴国にゆきお墨付きを与えることで味方になると?」
「ハッ! 仰る通り。さすが、左様でござる。」
――フム、と瞑目する。確かに好条件であることは間違いない。が。
「どれほどかかる?」
「……ここから約二、三日ほど。」
この大事な時期、自らが戦線を離れることは一つの賭である。家臣が果たして納得するだろうか? 更にこの青年を信用すべきか疑念が払拭しきれぬ。
「問うて良いか?」
「ハッ!」
「状況はいかがか?」
渋い顔でアーロンは初めて内情をいう。
「連合に内応する貴族も増え、領内は滅茶苦茶です。元は……我々も連合に味方をしようとしておりました。ですが、先手を打たれました。故、ガルノス殿にお味方し国内を統一の後、ケリをつけるため連合を中原から払う所存です。」
なるほど、と呟く。思慮深い双眸は異様な輝きを帯び、アーロンという一個の男児の胆を冷やした。
「分かった。ゆこう。しかし……血の盟約を結ぼう。」
――血の盟約。
それは、国主などから義兄弟の契りまで幅広く信仰される一つのまじないである。
まず、片腕の腹を薄く切り血を盃に注ぐ。二名ならばその者たちの血を一つの盃に注ぎ、二人で回し飲みする。神への誓いであり、最上級の誓いである。
「必ず、味方せよ。総兵は?」
アーロンはここで若き国主の色彩を帯びた。それも、革命児のソレである……。
「二万弱ほど……。」
すると、アーロンは迷わず聖柄の短剣を腰から抜き、左腕を切る……粗末な木製の器が卓の上にある。そこに数滴垂れ落ち、それから一筋の細い赤の流れをつくった。
「ガルノス殿、誓いましょう。」
痛みに顔を歪めぬ、そして物怖じせず判断する力はまさにこの時流に突如として出現した紛れもない英雄の一人であった。そして、それを悟らされたのは目前のガルノスであった。
(この男は乱世の渦中となろうか……)
漫然と目前の若き国主をみた。それから己の腕を差し出し、切る。二つの男の血流が粗末な器に波波と満ちた。
「「我ら、契りを結ぶ」」
簡単な言葉である……それだけでよい。少なくとも、この賭けは自らの見識を試すことと同義であった。
「ガハハハハッハハハハ」
「アハハハハハッハハ」
アーロンが最後の飲み干すと、口の端に転がる血液を裾で拭き、狂人のように笑い狂った。同志となった。当面の。
当然、こんな男が国主か? と首をかしげたくなる。しかし。
一々の詳らかな動作、儀礼、言葉遣い、そのどれもが上流階級のソレであった。また、粗野に潜めた爽やかな風貌がどことなくガルノスの興味をひいた。
「成程、それで貴殿は一体何用で我に会おうと?」
短い茶色の毛を掻き、含羞む。まるで、貴公子風の雰囲気はチンピラのような外見を打ち消すほどの品格を備えていた。
「――ガルノス殿、貴殿にぜひ我が国〈箕州〉へ来て頂きたい」
「なぜ、またそのような場所へ?」
怪訝に眉を歪め、やや警戒を深める。石質の四方を囲む壁を刳り貫かれた四角の窓の境界は影が減退してい、日と攻防している。
視線を僅かにそちらにアーロンが逸らす。
「……実は、我が国内は統一されておりませぬ。元は……国取りの身。ゆえに家臣が従わず豪族も貴族もすき放題に領内に籠り、連合し我らを害そうと目論んでおります。またこの時勢、我々はどちらに味方するかが問題となっております。」
そこで初めてガルノスは理解した。
「……というと、我の成果は貴国にゆきお墨付きを与えることで味方になると?」
「ハッ! 仰る通り。さすが、左様でござる。」
――フム、と瞑目する。確かに好条件であることは間違いない。が。
「どれほどかかる?」
「……ここから約二、三日ほど。」
この大事な時期、自らが戦線を離れることは一つの賭である。家臣が果たして納得するだろうか? 更にこの青年を信用すべきか疑念が払拭しきれぬ。
「問うて良いか?」
「ハッ!」
「状況はいかがか?」
渋い顔でアーロンは初めて内情をいう。
「連合に内応する貴族も増え、領内は滅茶苦茶です。元は……我々も連合に味方をしようとしておりました。ですが、先手を打たれました。故、ガルノス殿にお味方し国内を統一の後、ケリをつけるため連合を中原から払う所存です。」
なるほど、と呟く。思慮深い双眸は異様な輝きを帯び、アーロンという一個の男児の胆を冷やした。
「分かった。ゆこう。しかし……血の盟約を結ぼう。」
――血の盟約。
それは、国主などから義兄弟の契りまで幅広く信仰される一つのまじないである。
まず、片腕の腹を薄く切り血を盃に注ぐ。二名ならばその者たちの血を一つの盃に注ぎ、二人で回し飲みする。神への誓いであり、最上級の誓いである。
「必ず、味方せよ。総兵は?」
アーロンはここで若き国主の色彩を帯びた。それも、革命児のソレである……。
「二万弱ほど……。」
すると、アーロンは迷わず聖柄の短剣を腰から抜き、左腕を切る……粗末な木製の器が卓の上にある。そこに数滴垂れ落ち、それから一筋の細い赤の流れをつくった。
「ガルノス殿、誓いましょう。」
痛みに顔を歪めぬ、そして物怖じせず判断する力はまさにこの時流に突如として出現した紛れもない英雄の一人であった。そして、それを悟らされたのは目前のガルノスであった。
(この男は乱世の渦中となろうか……)
漫然と目前の若き国主をみた。それから己の腕を差し出し、切る。二つの男の血流が粗末な器に波波と満ちた。
「「我ら、契りを結ぶ」」
簡単な言葉である……それだけでよい。少なくとも、この賭けは自らの見識を試すことと同義であった。
「ガハハハハッハハハハ」
「アハハハハハッハハ」
アーロンが最後の飲み干すと、口の端に転がる血液を裾で拭き、狂人のように笑い狂った。同志となった。当面の。
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