異世界にいったったwwwww

あれ

大戦2

翌二日、ガルノスは本軍を一挙に中原の国境に進ませた。


 電光石火の攻略により、都市国家の外郭といえる属州の城を陥落させた。その数、三つである。予てより調略により裏切りで内部を切り崩した成果でもあった。




 深夜。


 緒戦の緒戦の朗報に際し、ガルノスは大汗を布で拭きながら野営地に備え付けられた寝台で聞いた。




 「――本当か。」




 寝台の出入り口に跪いた伝令兵が肯く。


 「はい。それに応じて他の属州も揺らいでいるとの由」






 妙に表情を綻ばせた。とはいえ、油断はならぬと自らに戒めるように伝令兵へ「必ず、哨戒行動は怠るなとあやつらに伝えよ」と言い含める。






 兵は即一礼し、小走りで去った。






 英名勇断をもって名を馳せたガルノスほどの男でも、この日ばかりは心臓の動悸が早くなるのを自覚していた。




 兵馬を蓄えて連戦に備えなければならない。




 (駒は一個でも多いにこしたことはない)






 瞳を鋭く輝かせ、両眼をギョロと動かした。汗が目に染みる。






 「ふーっ、暑い暑い。」




 布をパタパタを扇ぎ、痒い風を送る。しかし、彼の頭脳は緻密な思考回路で軍勢を整える。部下の顔も思い浮かべる。誰が一体、今後、軍の中枢となるかを考えた。


 (やはり、マックスを中軍に据えるべきか……。)


 部下の能力を確実に把握せねばならぬ。恰も針の穴に糸を通すような緻密さにせねばならぬ。さもなければ、死者の兵を率いることになるのだ。


 また、更に夜が深まろうとしている。












 ガルノスは早朝、陥落した城の内の一つの視察に出かけた。通常の陥落と違い、街並は綺麗であり混乱もなく収束したことを鑑みても予想外の収穫であった。


 ガルノスがある一画の宿街に寄った。人々は別の区画にいるために静かであった。






 と、辻から宿の朽ちた扉の大きな隙間から一個の人影がみえた。






 (はて?)






 周囲は兵を動員し、怪しいものは殺すか捕らえている。となると、どこかに隠れていたのだろうか。ともかく、後ろに控えた護衛より先に彼は宿屋にはいった。








 「ほぉ……」思わず息を呑んだ。








 そこに、白皙の青年が座っていた。その着衣から察するにどこかの国に所属している騎士であるだろうが、それにしては軽い装備であった。




 「お待ちしておりました。」






 アーロン・ヴィルド・グ・エフェール。




 若干二六歳の彼は嘗て帝国から脱出し、帝国領主の父と共に親族の統治する国に身を置いていた。しかし、ある事情により国を盗った。が、その話しはまた別の稿に譲る。




 ともかく、若き国主が長椅子から立ち上がり、礼をとった。目元は涼やかで、細身であるが筋肉質であることからも分かるように戦場の騎士であることが容易に察せられた。






 その美貌に依らずとも、彼はガルノスに感嘆を与えた。



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