異世界にいったったwwwww

あれ

四十一

――ブリアンは《賢王》と言われている。


本人はそれを快く思っていないが、その称号は世俗の民が求めたある種の偶像といえる。では、一方の元帝国宰相〝パジャ“は当時どのような評価だったのだろうか?


 それを知る術はやはり大陸史誌記から引用すると、パジャはどうやら自らの存在を隠そうとしたきらいがある。というのも、どの民間文献にもパジャという名前はよく見かけるが(といっても、その数自体すくない)どうやら情報操作を行っていた可能性が指摘されている。パジャは、面白いことに影武者を幾人も雇っており、また自らの〝成果”すら隠す傾向がある。


それは、帝国の瓦解の要因となった反乱すら、この記録には正確に残っていない。というのも、彼は関係者を全て処罰したからである。そのため全て推測になってしまう。


 また、それほどに重要視されていなかった。


 更に重要なことは、ブリアンとパジャが一体どこで結びつきを強くしたのか。その答えは「北方仕置」という事件がある。パジャが全権を振るうきっかけとした事件であり、またそれを足がかりに他の領主たちに存在感を示した。


ブリアンの父は元々成り上がりのものである。常に名家名門に挟まれた領土運営を続ける中で明らかに軋轢を招いた。つまり、ブリアンの母国は火薬庫といって差し支えない。が、その多年の混乱を強権で収めたのがまさしくパジャである。彼は旧来の北方国を次々と帝国協力という名目で処断した。家柄の良いところから潰された。




 ……そして、驚くべきことにパジャはブリアンの父に空白地帯となった領土を全て譲渡し、〝パジャ“派として配置した。しかし、そんな黒衣の宰相殿も気がつかない要因があった。《ブリアン》である。後、賢き王として謳われる英雄。




 その彼もまだ、今は4歳という子供だった。しかし、その才能の燦きがパジャという最高の鑑識眼を備えた男に見出された。早くから、パジャの権限で諸国遍路及び、最高学問機関への入学斡旋をした。まるで、スポンジが水を吸うようにブリアンは知ること全てを吸収した。その当時、ブリアンの賢さを訊ねた旧友に応えた記録がある。




 『赤子が世界を把握するのに、苦労はしても、理解し咀嚼して自らの物にする。それと同じだよ』と、語った。どうやら、他人も自分と同じことができると思っている節があったらしい。


 ……ともかく、彼は天才と言えるかも知れない。



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