異世界にいったったwwwww
三
《衛》の国は、中原の東南に位置していた。
国主、ボールドウ・ガルノスは四十を超えた男である。ボールドウ家は元は都市国家から派遣された、所謂太守であった。つまり、都市国家の命令をうけ、討伐した土地や人々の隷属を手柄とし、その場所を与えられ、守るのが仕事である。
その太守である、ガルノス家初代国王は都市国家の任により与えられた仕事、つまり太守であることをよしとせず、力を蓄え、結果として独立を勝ち取った。
当時、支配をしていた都市国家も驚きを禁じえず、「我らに再び帰属するなら罪を許す」との書面を、反逆の太守は一笑にふした。
止む終えず、都市国家はガルノス討伐に向かわせた。しかし、結果としてその討伐軍の半分以上を屍と変える結果となった。平原でもっとも豊かな平地で会戦をおこない、その地に、また多くの屍を築き上げた。
それより、およそ三〇年経過した後もこの《衛》の土地にガルノス家はよく根ざした政治を行った。
余談であるが、都市国家制度は、所謂城壁に囲まれた都市と、ある程度の議会や行政府の機関があるが、それを廃絶あるいは分裂し、家臣団を中心とした君主が君臨する豪族のような国家で大規模な場合を〝大国”といった。
……だが、初代《衛》国王は戦争をよく好んだ。外遠征の殆どに費やし、国賓や財政は逼迫を強いられた。
その甲斐あってか、《衛》は勢力を広げた。
しかし、その戦争を広げたガルノス家の国主は病に倒れ、そのまま遠征地で帰らぬ人となった。
当時、ボールドウは若干一九歳にして国主となった。
「それからはや、数十年か……。」
その後、ボールドウは国主として君臨したさい、譜代家臣団ならびに豪族たちが謀反を企てた。
だが、中原に覇を唱えんと欲するボールドウであった。
ゴールド王朝を崇拝していた彼もまた、離反者に対しては容赦なく断罪をした。まず、王宮に怪しい家臣を招き入れ、兵士で囲ませ、殺した。
豪族たちには、内通していた家臣団の兵力を差し向け、殺し合わせた。
もちろん、離反の疑いを知らない連中を中心として……もし功績を上げれば恩賞を与えた。
ほかの豪族にも他国を装い使者を送り、一枚岩にさせることをしなかった。
その為、国内は四年の短さで平定をした。ボールドウ二三歳六ヶ月。その時から彼は王道を歩まんと堂々歩む英雄の一人となっていた。
彼は内戦や遠征で荒れた国内の内政に重きをおき、治水をはじめ、数少ない《衛》の北西にある港を大規模に工事させた。他国からの商人を流通させる一方で王に忠誠を誓う新たな軍団の創設に邁進した。
王都は数年のうちに、莫大な国富を蓄えた。
また、国外に対しての脅威を退けるばかりか、都市国家を破るに十分値する郡代を構築した。
若い、血気盛んな彼、ボールドウはいつしか中原の点在する勢力の中でも有数の強国となる。
彼最大の戦いは、凋落しはじめた統一王朝ゴールドにピリオドを打つ都市国家連合に属し戦った平原最大の会戦であった。
ゴールド側二〇万、都市国家連合一二万で行われた大規模な会戦は五〇日に及ぶ激戦の末に、ようやく勝利の女神はボールドウ側に微笑んだ。
内心王朝を崇拝しているとはいえ、彼も国主であった。《衛》の兵数約五千を率いて獅子奮迅の活躍をし、ついにゴールドの王朝を落とす役割をおった。
(それでこの年か……)
王朝を破った後も、他国と争い、確実に領土を広げた。
だが、未だに中原の覇者として存在できていない。……常勝軍団ともてはやされつつも、それと等しいほど敗戦も重ねた。
ボールドウは、ふと王宮の執務室で都市会議の廃絶と、盗賊などのイレギューラーなど、乱世の近きを皮膚でヒシヒシと改めて感じていた。
「中原の覇者……。」
柄にもなく、若き日の夢が瞼の裏に浮かんだ。そして、苦笑いを口元に浮かべれる。
――大陸歴1354年
後世でも根強い人気を誇るボールノウ・ガルノスは、この年の半ば、自らの名を挙げんと狙った。
国主、ボールドウ・ガルノスは四十を超えた男である。ボールドウ家は元は都市国家から派遣された、所謂太守であった。つまり、都市国家の命令をうけ、討伐した土地や人々の隷属を手柄とし、その場所を与えられ、守るのが仕事である。
その太守である、ガルノス家初代国王は都市国家の任により与えられた仕事、つまり太守であることをよしとせず、力を蓄え、結果として独立を勝ち取った。
当時、支配をしていた都市国家も驚きを禁じえず、「我らに再び帰属するなら罪を許す」との書面を、反逆の太守は一笑にふした。
止む終えず、都市国家はガルノス討伐に向かわせた。しかし、結果としてその討伐軍の半分以上を屍と変える結果となった。平原でもっとも豊かな平地で会戦をおこない、その地に、また多くの屍を築き上げた。
それより、およそ三〇年経過した後もこの《衛》の土地にガルノス家はよく根ざした政治を行った。
余談であるが、都市国家制度は、所謂城壁に囲まれた都市と、ある程度の議会や行政府の機関があるが、それを廃絶あるいは分裂し、家臣団を中心とした君主が君臨する豪族のような国家で大規模な場合を〝大国”といった。
……だが、初代《衛》国王は戦争をよく好んだ。外遠征の殆どに費やし、国賓や財政は逼迫を強いられた。
その甲斐あってか、《衛》は勢力を広げた。
しかし、その戦争を広げたガルノス家の国主は病に倒れ、そのまま遠征地で帰らぬ人となった。
当時、ボールドウは若干一九歳にして国主となった。
「それからはや、数十年か……。」
その後、ボールドウは国主として君臨したさい、譜代家臣団ならびに豪族たちが謀反を企てた。
だが、中原に覇を唱えんと欲するボールドウであった。
ゴールド王朝を崇拝していた彼もまた、離反者に対しては容赦なく断罪をした。まず、王宮に怪しい家臣を招き入れ、兵士で囲ませ、殺した。
豪族たちには、内通していた家臣団の兵力を差し向け、殺し合わせた。
もちろん、離反の疑いを知らない連中を中心として……もし功績を上げれば恩賞を与えた。
ほかの豪族にも他国を装い使者を送り、一枚岩にさせることをしなかった。
その為、国内は四年の短さで平定をした。ボールドウ二三歳六ヶ月。その時から彼は王道を歩まんと堂々歩む英雄の一人となっていた。
彼は内戦や遠征で荒れた国内の内政に重きをおき、治水をはじめ、数少ない《衛》の北西にある港を大規模に工事させた。他国からの商人を流通させる一方で王に忠誠を誓う新たな軍団の創設に邁進した。
王都は数年のうちに、莫大な国富を蓄えた。
また、国外に対しての脅威を退けるばかりか、都市国家を破るに十分値する郡代を構築した。
若い、血気盛んな彼、ボールドウはいつしか中原の点在する勢力の中でも有数の強国となる。
彼最大の戦いは、凋落しはじめた統一王朝ゴールドにピリオドを打つ都市国家連合に属し戦った平原最大の会戦であった。
ゴールド側二〇万、都市国家連合一二万で行われた大規模な会戦は五〇日に及ぶ激戦の末に、ようやく勝利の女神はボールドウ側に微笑んだ。
内心王朝を崇拝しているとはいえ、彼も国主であった。《衛》の兵数約五千を率いて獅子奮迅の活躍をし、ついにゴールドの王朝を落とす役割をおった。
(それでこの年か……)
王朝を破った後も、他国と争い、確実に領土を広げた。
だが、未だに中原の覇者として存在できていない。……常勝軍団ともてはやされつつも、それと等しいほど敗戦も重ねた。
ボールドウは、ふと王宮の執務室で都市会議の廃絶と、盗賊などのイレギューラーなど、乱世の近きを皮膚でヒシヒシと改めて感じていた。
「中原の覇者……。」
柄にもなく、若き日の夢が瞼の裏に浮かんだ。そして、苦笑いを口元に浮かべれる。
――大陸歴1354年
後世でも根強い人気を誇るボールノウ・ガルノスは、この年の半ば、自らの名を挙げんと狙った。
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