異世界にいったったwwwww

あれ

外伝1

黒馬の砦と、遠征軍と盗賊の戦闘は終結をみた。 とはえ、この当時には珍しい総力戦の様相も呈していた。都市国家は、数か月後、この事実を知る。そして、ある事件をもとに、亀裂の生じていた中原諸国、および、その他の国家が次々と平和誓約の書を破り、とうとう乱世となった。 
 黒馬の事件、と呼ばれた「戦争」は、数か月、盗賊側の占領を続けたが、近隣の都市国家が再度軍備を再編し、遠征した時には、砦を去っていた。しかし、盗賊側は、去るまえに、炎を放っており、ごうごうと燃える砦に入るまでしばらく時間を要した、と伝えられている。 
そして、進駐軍も、しばらくとどまった後、砦ともよべない残骸を後にした。 進駐軍の過ぎた後、遠く森林からその趨勢をうかがっていた長すぎるローブを羽織った三つの影が、たちどころに動き出した。
   この地形は、冷風を集めやすく、身が凍える。
  砦の残骸は、元、北の門の口へ三つの影を入れた。 馬脚はなお、回転を速める。 と、砦の中ほどで、一つの影が、動きを止め、俄かに、地に降りた。 その長い影は、頭のフードをはらり、と翻した。
  ――真希だった。 その晩、小雨が、まだ焦げ臭い土を濡らした。
  そのいくつかうち捨てられた白骨の死骸のもとまで歩み寄ると、膝を落とした。 その大小さまざまな死骸のうちに、甘栗色の長い髪の数本のこった美しい頭蓋骨と胴体が見つかった。 そして、その白骨の死骸の手には、銀紙が握られていた。 
 (ナターシャっ……)
  その傍に置かれた死骸もおそらくあの人たちなのだろう。
  薄い月明かりではなく、強烈な光を浴びせる懐中電灯の光の環が、静かにナターシャを浮かび上がらせた。
  真希はおもむろに、その頭蓋骨の額と自らの額を合わせた。
  「……いままで、お疲れさま。ありがとう。」 
もう、それ以上何も言うことができなかった。 




   《了》

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品