異世界にいったったwwwww

あれ

64

 北の門付近を駆ける数百騎の影が揺らめいた。 
「なぁ、そこのザルとかいうおっさんよ! こっちの大将をどうするつもりだよ。」 
 モグラが抗議した。 
「なに、キサマらを助けたんだ。礼をうけてもいいだろ。」 
「馬鹿言うな。」 
「ハッ、まあいい。ところで、砦に帰るのは、難しいらしいぞ。盗賊の主力が門を破って、そのまま内側になだれ込んでいる。無理だ。」
 遠目から、大地を固める多くの兵が、狭い門の隙間に群がっている。
 「……確かに、いまあの辺りに行くと、こっちも死んじまうな。このまま迂回してにげるより他、あるまいな。」 
ザルは、小脇にグリアを抱え、反対の腕で、槍の柄を肩にポンポンと叩く。 
うむ、とモグラが唸る。 
「どうしようか。今更、戻れぬ。」 
グリアの部隊の一人の騎兵が、
 「そういえば、グリアは以前、バザールまで走って逃げるという案をだしておったろう。」 
その言葉に、数人の騎兵も反応し、バザールまでゆくのはどうか? 
と訴えかけた。 
ザルは「ははあ!」と感嘆を漏らす。 
「よし、そうしよう。丁度、このザル、盗賊を裏切り、最早、どうしようもない状況。貴様らと命運をともにしよう。」 
ガハハ! と笑う。
 「となると、そうだ。このまま駆けてゆくのは、無理だろう。一度、バザールとこの砦の中間に位置する、このあたりの地理に詳しいものしか知らぬ《かの丘》までゆこう。」
 モグラが、先頭になると、後ろを振り返り、そういった。 奔る一団は、同意した。 
やりとりの一部始終を聞いていたグリアは、ただ、黙然と、痺れと対峙していた。 
(クソっ、俺が……この俺が……弱いから……!) 
グリアは、うなだれながら、北の門を呆然と見つめる。


 

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