異世界にいったったwwwww
42
その頃、黒馬の砦は激戦の渦中にあった。 ここで、遠征軍について補足する。 彼らは都市国家でも優秀な将兵を集め、大陸中の盗賊、反乱分子の殲滅にあたっていた。とはいえ、数十年前から都市国家間での交流が弱まり、その意思疎通が弱くなっていた。
近年は、もっとも力量のある人物でなければこの遠征軍の大将をつとめられなくなった。
その総督も、もはや老境を過ぎ、戦地にあるのが不思議なほどの歳になっていた。
その彼が、
「これは厄介だ。」 と、いう。
周りに、左右に武将が列をなして座っている。皆、知勇兼備で知られる諸将であった。
「かの砦は、はて、なかなかどうして崩れぬな。」
一人の将が、
「恐れながら、連中の火槍が厄介かと……」
すかさず別の誰かが、
「いや、それよりむしろあの地形だ。あの自然の要塞は辛い。」
と、口々に論じ始めた。
――フム、と腕を組んだ総督が、暫く彼らを注視し、立ち上がると、兵隊たちの様子を見にゆく旨を伝え、天幕を出た。それに続いて、諸将も背中に連なる。
野戦病院(誤解を避けるため、こう呼称する)に総督と一行がきた。
兵は皆、布で止血をして、薬効などを塗りつけている。だが、皆芋虫のように身をくねらせ、息も絶え絶えに、苦しみと悲鳴で訴える。
これは、戦場ではありふれた景色であるため、一行も総督も「ああ、大変だ。」と感じるだけで、おそらく黒馬側も同じである。
ふと、火槍で怪我をした兵隊の一人の元に総督が向かう。 そして、兵の胸元まで膝を落とすと、布を暴き、傷口を丹念に眺める。ザクロの実が裂けて砕けたように、どす黒い赤が、溢れていた。
炎症を起こしていた。
つぶさに、それを見てゆく。
総督の脳内は、既に、この戦になく、都市国家を想定した戦争について向けられていたのだ。
各門では、火槍の効果が激しく、一時は攻め手側をたじろがせた。
「よーしッ、いいぞ、もうすぐ夜だ。気を抜かず、やるぞ。」
グリアの鎧は、軽快に弾み、まるで固い皮膚のようだった。丁度、先ほどから雨が降り出して、虹色に鎧が反射した。
(暫く、火槍は使えない。)
湿ると、火槍は使い物にならない。
「なあ、グリア、ここを守っているから、はよーう、飯食え。」
モグラは、硝煙に顔を黒くし、キチキチと笑っている。
「そうしよう。」
通路は、血だまりの乾いたあとや、死骸が転がっている。 まだ死ぬ、まだたくさん仲間が死ぬ。
足早に、補給班の方に向かった。
同時刻、南の門。
「さて、一応、グロスフスMG42機関銃をいくつか送ってもらったが、まだこちらには敵さんはこない。どうしたもんか。」
煙草を揺らし、座って、肩に銃を抱える壮一。
北の門に二つを渡している。日本国から送ってもらった。本当だったらもっといいものをヨコセ、と言いたいが、何故だかお古しか渡されないらしい。
(まあ、オレの趣味だけど。ノルマンディーで使われたからっていうのが大きいな。)
火槍以外に、やはり火力が足らない。その為の対策である。
「そうだ、カルくん、君、これ使ってみる?」 壮一が隣の三〇代のずんぐりむっくりの男に声をかけた。 「いえ、自分は、この火槍がありますから。」 「ふーん、まあいいや。しかし、もうそろそろ、簡単な大砲も出来る頃だろうな。」
「ええ、タイホウ、は今火槍の部品で流用できるものを使って、なんとかしています。」
「じゃ、こちらも兵力が少ない分、頑張りますか。な、相棒」
肩を叩き、カルに組んでみる。
近年は、もっとも力量のある人物でなければこの遠征軍の大将をつとめられなくなった。
その総督も、もはや老境を過ぎ、戦地にあるのが不思議なほどの歳になっていた。
その彼が、
「これは厄介だ。」 と、いう。
周りに、左右に武将が列をなして座っている。皆、知勇兼備で知られる諸将であった。
「かの砦は、はて、なかなかどうして崩れぬな。」
一人の将が、
「恐れながら、連中の火槍が厄介かと……」
すかさず別の誰かが、
「いや、それよりむしろあの地形だ。あの自然の要塞は辛い。」
と、口々に論じ始めた。
――フム、と腕を組んだ総督が、暫く彼らを注視し、立ち上がると、兵隊たちの様子を見にゆく旨を伝え、天幕を出た。それに続いて、諸将も背中に連なる。
野戦病院(誤解を避けるため、こう呼称する)に総督と一行がきた。
兵は皆、布で止血をして、薬効などを塗りつけている。だが、皆芋虫のように身をくねらせ、息も絶え絶えに、苦しみと悲鳴で訴える。
これは、戦場ではありふれた景色であるため、一行も総督も「ああ、大変だ。」と感じるだけで、おそらく黒馬側も同じである。
ふと、火槍で怪我をした兵隊の一人の元に総督が向かう。 そして、兵の胸元まで膝を落とすと、布を暴き、傷口を丹念に眺める。ザクロの実が裂けて砕けたように、どす黒い赤が、溢れていた。
炎症を起こしていた。
つぶさに、それを見てゆく。
総督の脳内は、既に、この戦になく、都市国家を想定した戦争について向けられていたのだ。
各門では、火槍の効果が激しく、一時は攻め手側をたじろがせた。
「よーしッ、いいぞ、もうすぐ夜だ。気を抜かず、やるぞ。」
グリアの鎧は、軽快に弾み、まるで固い皮膚のようだった。丁度、先ほどから雨が降り出して、虹色に鎧が反射した。
(暫く、火槍は使えない。)
湿ると、火槍は使い物にならない。
「なあ、グリア、ここを守っているから、はよーう、飯食え。」
モグラは、硝煙に顔を黒くし、キチキチと笑っている。
「そうしよう。」
通路は、血だまりの乾いたあとや、死骸が転がっている。 まだ死ぬ、まだたくさん仲間が死ぬ。
足早に、補給班の方に向かった。
同時刻、南の門。
「さて、一応、グロスフスMG42機関銃をいくつか送ってもらったが、まだこちらには敵さんはこない。どうしたもんか。」
煙草を揺らし、座って、肩に銃を抱える壮一。
北の門に二つを渡している。日本国から送ってもらった。本当だったらもっといいものをヨコセ、と言いたいが、何故だかお古しか渡されないらしい。
(まあ、オレの趣味だけど。ノルマンディーで使われたからっていうのが大きいな。)
火槍以外に、やはり火力が足らない。その為の対策である。
「そうだ、カルくん、君、これ使ってみる?」 壮一が隣の三〇代のずんぐりむっくりの男に声をかけた。 「いえ、自分は、この火槍がありますから。」 「ふーん、まあいいや。しかし、もうそろそろ、簡単な大砲も出来る頃だろうな。」
「ええ、タイホウ、は今火槍の部品で流用できるものを使って、なんとかしています。」
「じゃ、こちらも兵力が少ない分、頑張りますか。な、相棒」
肩を叩き、カルに組んでみる。
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