異世界にいったったwwwww
12
川原には、盗賊の死屍累々があった。生き残りもすぐに逃げ去った。
お二人さん大丈夫かい?
と気さくに声をかけたのは、盗賊団を蹴散らし、馬で近寄る、縮れ毛の金髪男だ。
「ええ、お陰様でなんとか生きてます。」
壮一が苦笑いする。
「……。」
無言の真希に、金髪の男がニィと口角を上げる。
「おい、嬢ちゃん。なんだか不服だって顔だな。どうした?」
彼の視線から逃れるように壮一の背に隠れた。
「ハッ、まあいいさ。んで、おっさんどっから来た? 妙な持ち物持ってるけど、商人とかかい?」
「はぁ、まあそんなところです。」
「その後ろの嬢ちゃんの目玉の前の透明なビードロ板はなんだい?」
「め、メガネ」
深く眉間に皺がよった。
「メガネ? ふーん、面白いな。まあいい。あんたら名前は?」と、出しっぱなしの剣を鞘に収めた。
「あっ、そうですね。私が皆川壮一で、この後ろのが娘の真希です。助けていただいてありがとうございます。」
「いゃーいいって。俺はグリザイアだ。まあ、グリアと呼んでくれ。この辺を支配している。」
「というと、領主かなにかで?」
「違う。俺は国からは認められてないが、まあ盗賊団に毛が生えたようなもんさ。没落貴族ってのが一応免罪符というか、身分証明なんだ。」
壮一は内心不可解であった。こんなに気軽にぺらぺらと話す男がいるだろうか? 仮にも武力集団の長とは古今東西こんな気楽なものではない。
「しかし、よくお話してくださいますが、いいのですか?」
「ああ気にすることはねぇ。あんたらどうせゆくあてないだろう。この先に集落があるもんでさ。なに心配いらない。みんな温和な連中だからよ。」
(話聞いてないな。)
壮一が肩の力をすくめる。疑念は一応晴れた。こんなのはお人好しに違いないと、経験が告げる。
それを知ってか知らずか、案内してやるよ、といいつつ誰かを呼びはじめる。 その音に応じて人馬の姿が遠方からくる。
「紹介するよ、俺の弟のエイフラムだ。」
グリアの隣に立つ男は、エイフラムというらしい。
小汚いマントとフードを身につけており、頭部は見えづらいが、顔立ちは眉が秀で、頬は色よく、薄い唇は青く震えている。微かに吹く風が茶色い髪を弄ぶ。
瞳は大きいようだが、如何せん眠たげに半開きであった。
(本当にこの人がグリザイアとかいう男の弟なの?)
真希の内は、疑心で埋まっていた。
「おい、弟よ。こちらがソウイチさんと、娘さんのマキさんだそうだ。ホレ、挨拶、あいさつ。」
促されたエイフラムは、
「エイフラムです。」
と独り言のように言葉を弾く。 横からグリアは朗々と続けた。
「な、エイフラム。この人たちを例の集落まで頼む。」
小さく頷く。
「ああ、あの我々はどうやって?」
しまった、という顔でグリアが、
「弟、おい。その馬、お前ともうひとり乗っかるだろ。」
「……まあ。」
んじゃ、と真希を指差し、
「悪いが嬢ちゃんはあのエイフラムの後ろな。おっさん、あんたは、あのいかにもひょろそうなハゲの後ろな。おい、ハゲこっちだ。」
呼ばれたハゲは、青年であるが、なるほど頭部は美しい。髪がない。
「俺はこれからやることあるんで、先走ってろ。俺も終わり次第追いかけるぜ。」
そう言うと颯爽と部下を率いて逃げ去った盗賊団の方に向かっていった。
お二人さん大丈夫かい?
と気さくに声をかけたのは、盗賊団を蹴散らし、馬で近寄る、縮れ毛の金髪男だ。
「ええ、お陰様でなんとか生きてます。」
壮一が苦笑いする。
「……。」
無言の真希に、金髪の男がニィと口角を上げる。
「おい、嬢ちゃん。なんだか不服だって顔だな。どうした?」
彼の視線から逃れるように壮一の背に隠れた。
「ハッ、まあいいさ。んで、おっさんどっから来た? 妙な持ち物持ってるけど、商人とかかい?」
「はぁ、まあそんなところです。」
「その後ろの嬢ちゃんの目玉の前の透明なビードロ板はなんだい?」
「め、メガネ」
深く眉間に皺がよった。
「メガネ? ふーん、面白いな。まあいい。あんたら名前は?」と、出しっぱなしの剣を鞘に収めた。
「あっ、そうですね。私が皆川壮一で、この後ろのが娘の真希です。助けていただいてありがとうございます。」
「いゃーいいって。俺はグリザイアだ。まあ、グリアと呼んでくれ。この辺を支配している。」
「というと、領主かなにかで?」
「違う。俺は国からは認められてないが、まあ盗賊団に毛が生えたようなもんさ。没落貴族ってのが一応免罪符というか、身分証明なんだ。」
壮一は内心不可解であった。こんなに気軽にぺらぺらと話す男がいるだろうか? 仮にも武力集団の長とは古今東西こんな気楽なものではない。
「しかし、よくお話してくださいますが、いいのですか?」
「ああ気にすることはねぇ。あんたらどうせゆくあてないだろう。この先に集落があるもんでさ。なに心配いらない。みんな温和な連中だからよ。」
(話聞いてないな。)
壮一が肩の力をすくめる。疑念は一応晴れた。こんなのはお人好しに違いないと、経験が告げる。
それを知ってか知らずか、案内してやるよ、といいつつ誰かを呼びはじめる。 その音に応じて人馬の姿が遠方からくる。
「紹介するよ、俺の弟のエイフラムだ。」
グリアの隣に立つ男は、エイフラムというらしい。
小汚いマントとフードを身につけており、頭部は見えづらいが、顔立ちは眉が秀で、頬は色よく、薄い唇は青く震えている。微かに吹く風が茶色い髪を弄ぶ。
瞳は大きいようだが、如何せん眠たげに半開きであった。
(本当にこの人がグリザイアとかいう男の弟なの?)
真希の内は、疑心で埋まっていた。
「おい、弟よ。こちらがソウイチさんと、娘さんのマキさんだそうだ。ホレ、挨拶、あいさつ。」
促されたエイフラムは、
「エイフラムです。」
と独り言のように言葉を弾く。 横からグリアは朗々と続けた。
「な、エイフラム。この人たちを例の集落まで頼む。」
小さく頷く。
「ああ、あの我々はどうやって?」
しまった、という顔でグリアが、
「弟、おい。その馬、お前ともうひとり乗っかるだろ。」
「……まあ。」
んじゃ、と真希を指差し、
「悪いが嬢ちゃんはあのエイフラムの後ろな。おっさん、あんたは、あのいかにもひょろそうなハゲの後ろな。おい、ハゲこっちだ。」
呼ばれたハゲは、青年であるが、なるほど頭部は美しい。髪がない。
「俺はこれからやることあるんで、先走ってろ。俺も終わり次第追いかけるぜ。」
そう言うと颯爽と部下を率いて逃げ去った盗賊団の方に向かっていった。
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